皆さんは作業を続けていてぼーっとしてきたとき、眠くなったとき、どのように対処していますか?
大きく伸びをしたり、顔を洗ってみたり……。色々な方法で眠気を撃退し、集中力を取り戻そうとしていると思います。
ですが実は、ただ単に「目が覚める」だけでは不十分かもしれません。なぜなら、長時間作業を続けていると、脳の働きが鈍ってしまうから。脳が鈍った状態では、目を覚ますことに一時的に成功したとしても、脳の働きまで完全に復活するとは限りません。せっかく目を覚ましてリフレッシュするなら、集中力だけでなく、脳のパフォーマンスも上げたいですよね?
そんなときには、意外な解決策、「音読」を試してみてください。
脳を活性化するには、黙読より音読
音読をしている時、人間は前頭前野を中心に脳全体を活発に働かせていると言います。前頭前野は判断力や思考力を司る通称脳の司令塔とも言われる部分で、脳の中でも重要な役割を担っている部分です。
読むなら黙読でも良いのでは、と感じるかもしれませんが、実は音読と黙読とでは、脳の働きに大きな違いがあります。
それは、音読のほうが同時に複数の感覚を動員していて、脳内で複数の処理を行っているということです。
音読で使用される感覚は、文字を読み取る「視覚」とそれを再び聞く「聴覚」。そして、音読で生じる処理とは、「文字を読み取る」「読んだ文字の意味を理解する」「理解した文章を声に出す」「声に出した文章を音として聞く」「音として聞いた文章を再び理解する」と多岐にわたります。
音読は、これら非常に多くの処理を同時にこなす複雑な行為。これにより前頭前野を中心として脳全体が満遍なく利用され、結果的に脳が活性化されるのです。
黙読には音が関わりませんので、音読ほどの複雑さはありませんよね。だから、脳の働きを高めるには黙読より音読のほうがおすすめだというわけです。
また、音読による脳の活性化作用を後押しするために、なるべく早いペースでの音読にチャレンジしてみてください。音読の速度が上がれば、それだけ脳の処理を追いつかせるのが大変になりますが、人間の脳は音読の速度に追いつこうとして処理能力をどんどん引き上げます。
速いペースでの音読に慣れれば、他の作業のペースまで底上げされることでしょう。
音読する内容は何でもOK
音読で重要になるのは、読み取り、声に出すという行為なので、音読する内容は何でも大丈夫です。
例えば書類の作成中に眠くなってしまったのなら、その書類の内容を声に出して読み上げてみるのが手っ取り早いでしょう。自分が今している作業に関するものでなくても構いません。小説、雑誌、新聞などでもいいですし、何かの取扱説明書でも、音読の効果は発揮されます。
ただ、音読には、内容が記憶に残りやすいという側面もあります。読み取って声に出すことで、その情報は脳内に2回出現したことになり、記憶がより強固になるためです。ですから、せっかく音読するなら役に立ちそうなネットのニュースや、自己啓発系の資料、読みかけの本の続きなんかを音読してみると一石二鳥かもしれません。
音読にはストレスを軽減する効果も
音読には幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを分泌する効果もあり、それによりストレスも軽減できると言います。
長時間作業を続けていると、ストレスが溜まってきますよね。そんな時は、音読でストレスを発散させましょう。気持ちが安定して、その先の作業をモチベーション高く進めることができるはずです。
さらには、セロトニンが分泌されることで、脳のアンチエイジングにも効果的だと言われています。脳を高度に使うだけでなく、脳のアンチエイジング効果まで期待できる音読は、いつまでも脳を若々しく保つのに最適な作業であると言えるかもしれません。
音読で自制心まで鍛えられる
音読によって刺激される前頭葉は、感情を制御する部位としても非常に大きな役割を担っています。
なので、音読で前頭葉が刺激され活性化すると、音読する人の感受性が豊かになり、感情を制御する自制心までもが発達することになります。その結果、行動に対する積極性や自主性も増進するのです。
それに加え、前頭葉はコミュニケーション能力との関係性があることも指摘されています。前頭葉が鍛えられると、コミュニケーション力まで増し、人間関係も円滑になるということ。音読には、驚くべき効能が秘められていると言えますね。
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たかが音読、されど音読。声に出して読んでみるだけで、“読む”という行為は、黙読の何倍もの効能を発揮します。 さまざまな効果のある音読、是非試してみてはいかがでしょうか。
(参考) 良好倶楽部|見落としがち!実はすごい音読の効果3選 HappyLifeStyle|音読をすると、脳の活動が活発になる。 Science Portal|第9回「講義3 音読や計算がもたらす効果 脳を鍛える実践法」 ビジネス読書会ブログ|一石二鳥の読書法。音読が最高にオススメできるワケ Wikipedia|前頭葉