仕事でのミス、受験での失敗。人は一度「失敗」を経験すると、それに怯えてしまいがちです。ひょっとすると、一回の失敗のせいで、怖くてもうチャレンジできない……なんていう人がいるかもしれません。
でも……それはもったいない! 失敗は成功の母という言葉がありますが、あれって本当なんです。失敗した過去なんて、忘れましょう! どんどんチャレンジすればいいんです。
失敗への恐怖を一掃する。そんなStudy Hackをご紹介します。
まず肝に銘じてほしいこと「誰もが失敗を経験している」
まずみなさんに知って欲しいのは、「誰もが失敗を経験している」ということ。著名人の伝記を読めば、必ずといっていいほど、めちゃくちゃ大きな失敗談が一つや二つ載っています。もちろん、そんな失敗をひっくり返すくらいの偉業を成し遂げているのが彼らなのですが、類稀なる才能を持っていても失敗を繰り返してしまう。それはまぎれもない事実です。
それなら、私たち一般人が失敗を避けられるわけがない。それを心得ましょう。
失敗を乗り越えるために、失敗を繰り返せ!?
失敗した経験を乗り越えるためには、それと似た経験をあえてしてみるとよい……。 そう語るのが、自然科学研究機構生理学研究所の柿木氏です。
彼曰く、嫌な記憶は上書きすれば消えてしまうんだとか。
もちろん、まったく異なる種類のことを記憶しても上書きはされませんが、似たような行動で、しかもそれが楽しかったときには、その時の記憶が残って、以前のイヤな記憶は薄れたり消えたりします。たとえば野球の試合でひどいデッドボールをくらってしまい、自分の近くに球がくると自然に腰が引けてしまうようになってしまった……というとき。こうしたトラウマ体験を克服するには、コーチなどにあえてデッドボールぎりぎりの内角球を投げてもらうようにします。
(引用元:柿木隆介著(2015),『どうでもいいことで悩まない技術』,文響社.)
そして偶然でも、その内角球を打つことができれば、前のデッドボールの記憶は一瞬で消える……。ですから、失敗を恐れるなら、その状況をあえて何度も繰り返せばいいのです。
上司に叱られたのなら、その上司と仕事する機会を積極的に持ちましょう。プロジェクトでヘマしたなら、その時の同僚に話をよく聞いてみてください。優秀な先輩に注意された状況は、絶対に忘れないでおきましょう。そうした「失敗の擬似体験」を繰り返していくうち、もし一回でも成功できたならしめたもの。あなたの脳内から失敗の痛みは綺麗に消えていくはずです。
自ら自分のトラウマに飛び込んでいく、そのくらいの意気込みでいきましょう。
失敗を乗り越えるとは、一体どういうことか
失敗を乗り越えたい、いやな経験を忘れたい、それはどういうことでしょうか。
筆者が以前事務作業の短期アルバイトをしていた時の話です。送信するはずのものと全く違ったデータを本部に繰り返し送信し、上司から大目玉を食らったことがありました。叱られた直後は、失敗してしまった自己嫌悪感、情けなさ、上司に対する間違った不満、いろいろな感情が湧いてきたのをよく覚えています。もちろん「こんな失敗忘れてしまいたい」と思ったものです。しかし、なぜ「忘れたい」のかよくよく考えてみると、それは単に叱られたのが嫌だったり、能力の低さを認めたくないからだったりするように思います。
失敗を乗り越える、というのは、失敗を忘れることとは全く違います。もしあなたが単に「忘れたい」だけならば、その考えは改めるべきでしょう。失敗したくないのは誰でも同じ。違うのは、そのあとどう行動するかです。失敗を忘れるのではなく、しっかりと見つめ、次に進む。その心意気こそが大切なのかもしれません。
*** 筆者の大好きな言葉の中に、マイケル・ジョーダンが残したこんなものがあります。
「私は、自分のバスケットボール人生の中で、9,000回以上のショットをミスしている。300もの試合を負けてるし、任された決勝シュートを26度も外した。私は人生の中で何度も何度も繰り返し失敗してきた。そして、それこそが私が成功した理由だ」
(引用元:ばんくもっしゅ|偉人たちの過去の失敗から学ぶ逆境の乗り越え方)
おそらく失敗に嘆いたことなどないであろう彼の、力強く真に迫るひとことです。私たちは9,000回も失敗したでしょうか。300回も致命的なミスを重ねたでしょうか。
私たちが嘆いているミスなんて、彼からすれば、まだまだなのかもしれません。
(参考) 柿木隆介著(2015),『どうでもいいことで悩まない技術』,文響社. ばんくもっしゅ|偉人たちの過去の失敗から学ぶ逆境の乗り越え方