“弱メンタル” を改善する。一流スポーツ選手に学ぶ「メンタルの鍛え方」

どんなにプレゼンテーションが得意な人でも、人前で話すときにまったく緊張しない人はいません。苦手意識があればなおさら、大きなプレゼンテーションなどではひどく緊張し、思考停止に陥ってしまうのではないでしょうか。不安のあまり数日前から寝不足になり、体調を崩すこともあるかもしれません。

しかし、それで本来の実力を発揮できないのは、とてももったいないこと。そうならないためにも、大事な場面でいつもどおりの力を発揮できる一流のスポーツ選手から、メンタルを鍛えるコツを学びとりましょう。

ビジネスにおけるメンタルの重要性

スポーツでは、メンタルが選手のパフォーマンスに大きな影響を与えます。どんなに練習を重ね技術を磨き、体力をつけても、本番で緊張したり怖気づいたりすると、本当の力を出せないまま試合が終わってしまうからです。一度のミスで動揺し、パフォーマンスが悪くなるのもメンタルが大きく影響しています。

それは、ビジネスシーンでも同じ。大勢の人々から向けられる視線、迫りくる期限、重くのしかかる期待、人からの威圧感などで不安や緊張が高まり、平静であればスムーズにできることが、驚くほどできなくなってしまうことがあります。

スポーツ選手が行うメンタルの鍛え方・持ち方

では、世界を舞台に活躍するスポーツ選手は、どのようにメンタルを鍛えているのでしょう。

テニスの錦織圭選手

穏やかな性格の錦織圭選手に対し、コーチのマイケル・チャン氏は「勝てない相手はもういないと思え」と、まるで洗脳するように何十回も言い続けるそうです。そして、トップ選手とゲームを行う際には「お前はショーをしに行くんじゃない、勝ちに行くんだ」とけしかけるそう。そのおかげで錦織選手もそう思い込むことができ、自分を信じられるようになったのだとか。その成果は、マイケル・チャン氏がコーチについたあとの活躍で多くの人が目撃してるはずです。

野球のイチロー選手

スポーツ心理学の専門家で滋賀大学の豊田教授が「競技意欲テスト」でイチロー選手を測定した際、失敗や緊張に対する不安度が非常に低かったのだとか。その結果についてスポーツ心理学者の児玉光雄氏は、イチロー選手は「失敗しても自分、うまくいっても自分という考えである」と判断したそう。また、米国スポーツ心理博士の布施努氏は、イチロー選手のコメントなどから、「『結果は思いどおりにコントロールできないが、そこに至るまでの姿勢は自分でコントロールできる』とイチロー選手は考えている」と推察しています。専門家にも注目されるイチロー選手のメンタルの持ち方は、ぜひとも参考にすべきでしょう。

サッカーの本田圭佑選手

サッカー日本代表の本田圭佑選手は小学生の頃から、起床時間や就寝時間、脈拍数や体重、食事や体調、練習の反省などを記す「本田ノート」を書き続けているのだとか。九州大学の学術協力研究員・河津慶太氏は、本田選手の強い精神力や揺るぎない自信は、そのノートから生まれているといっても過言ではないといいます。この「本田ノート」は、スポーツ心理学の「セルフモニタリング」にあたるとのこと。自分の行動・思考・感情などを観察するので、気づき、モチベーションの維持などに効果的だそうです。

フィギュアスケートの羽生結弦選手

金メダリストの羽生結弦選手も、「セルフモニタリング」にあたる「発明ノート」を書いているといいます。毎日のように、スピード、タイミング、感覚など、練習で気になったことや思いついたこと、試してみて良かったこと、悪かったこと、疑問点などを書き記していくそう。これにより覚えておくべきことが記憶に残り、客観性が生まれ、成功するうえでポジティブな効果をもたらすといいます。

スポーツ選手に学ぶメンタルの鍛え方

では、一流スポーツ選手のメンタルの鍛え方・持ち方を、どうビジネスに応用していけばいいでしょう。『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』の著者、木部智之氏が実践してきた方法もあわせて参考にすると、次の通りになります。

1.「自分観察ノート」をつける

本田選手や羽生選手のように、木部氏も「自分ノート」を書くそうです。活字にすることで自分を客観的に分析できるのだとか。たとえば仕事やコミュニケーションでの失敗、それで生じたネガティブな感情、良かったこと、アイデア、反省など、なんでも書いていくといいでしょう。頭の中を整理できて、“気づき” も増え、「不安・恐怖・緊張・焦り」といった自分の感情に対し客観的になれるはずです。

また、日々の感覚・体調を書き記していくこともおすすめします。高血圧症患者500人に対する意識調査では、家庭で血圧測定する習慣があり、家庭血圧測定値をより重視している患者ほど、血圧コントロールが良好だったそう。同じように、日々の状態を書き記すことで、プレゼンテーションなどに対する緊張もコントロールできる可能性があります。

2.「自分スイッチ」をつくる

錦織選手はマイケル・チャンコーチの強い言葉を繰り返し聞いたことでメンタルが鍛えられ、それがそのまま奮起のスイッチとなりました。木部氏も心がくじけそうになったときのために、自分の支えとなる「言葉や音楽」を用意しているそう。その中のひとつは、「イバラの道でも道は道や、歩け!」だそうです。「自信を高める」「緊張をほぐす」「不安をやわらげる」「気が楽になる」トリガーとなる自分スイッチを持ちましょう。

3.「結果」に注力しすぎない

イチロー選手のように、成功も失敗も同等に受け止め、結果よりも、そこに至るまでの自分の姿勢に注力するようになれば、あらゆることに冷静になれます。そこで、まずは自分の恐怖心をあおる「結果」「評価」から、目を背けてみてください。結果を求められるビジネスパーソンですが、過程は自由です。

結果や評価から目を背けると、規範になるのは「自分の達成感」になるはず。たとえば、うまく喋れないかも、成果を出せないかも、という恐怖がつきまとうプレゼンテーションの結果や評価から目を背け、いかに自分が努力できるかに注力するのです。きっと、自分のコントロール下で自信が生まれ、結果もあとからついてくるはずですよ!

*** メンタルは鍛えられるものだといいます。ぜひ、リラックスして本来の力を発揮してくださいね!

(参考) onyourmark MAG|“ゾーン”に入りやすいメンタルをつくりあげる 錦織圭 MUSTER【マスター】スポーツメディア型Q&Aサービス|サッカー日本代表・本田圭祐のメンタルを作ったセルフモニタリング術「本田ノート」 Study hacker|気づきを成長に変えるために。羽生結弦選手を支え続けた『発明ノート』の偉大なチカラ。 高校野球ドットコム|誰も書かなかったイチロー (1-2) 試合で役立つメンタルマネジメント 東洋経済オンライン 経済ニュースの新基準|1日3分でメンタルを強くする方法ベスト3 心のトレーニング法 ミクスOnline|家庭で血圧測定 ほぼ毎日が3人に1人 減塩意識にも効果 高血圧患者500人調査 児玉光雄著(2018),『「勝てる人」になる技術 奇跡をもたらすメンタル・トレーニング法』,ゴマブックス株式会社.

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