社会で生きていく限り、逃れることができないのがストレス。多くの人がさまざまなストレスやうっぷんを抱えて生きていることでしょう。そして、誰もがそのストレスを解消しようと色々なことを試みているはず。例えば趣味に没頭したり、スポーツで汗を流したり、旅行に出かけたり。もちろん、それにより多少は気持ちがスッキリしますが、全てのストレスを解消するのはなかなか難しいものです。

そこで今回は、少し視点を変えたストレスとの向き合い方をご紹介します。ストレスに負けてしまう前に、ストレスを「味方にする」方法です。

ストレスにもメリットがある?

「ストレス」と聞くと悪いイメージしか浮かびませんよね。確かに、ストレスは私たちに悪い影響を及ぼすことがあります。例えば元気がなくなったり、食欲がなくなったり、眠れなくなったり……。それに、過度なストレスはうつ病や蕁麻疹など、病気の原因となってしまうことも。

そもそもストレスとは、何らかの刺激を外部(他者・環境など)から受け、困難や災難を感じたり予期したりすること。医学や心理学では、こころや体にかかる刺激をストレッサーといい、それにさまざまな反応で適応しようとすることをストレス反応といいます。人間をはじめとした動物は、ストレスに対して本能的に身体的な反応をします。ストレスがあるときは、活動の自律神経(交感神経)が活性化され、安息の自律神経(副交感神経)は阻害されている状態です。

こうしてみるとストレスはまるで悪者ですが、実は一方で良い面もあります。

ストレス反応は、困難や災難に対処もしくは備えて覚醒レベルや集中力を高め、こころや体をフル活動させる働きです。つまり、ストレスに対応できる状態にしてくれるのです。また、逆をいえば、あまりにもストレスがないと緊張感に欠けた状態になり、注意力が散漫になってケアレスミスを起こしやすくなります。気を抜いて作業をしているとき、普段なら絶対にしないようなミスをしてしまったことがある人は多いはず。したがって、適度にストレスを抱えていた方が緊張感によって気が締まり、ミスも少なくなります。

このように、ストレスは一概に悪者とはいいきれないのです。では、そんなストレスと上手に生きていくにはどうすれば良いでしょうか。

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脳ストレスを利用して目標達成

“できる人”はストレスとの付き合い方がうまい。そう感じざるを得ないエピソードがこちらです。

IT企業の社長など、いわゆる若手の“勝ち組”たちが集まって、カート場で忘年会が催されたのですが、彼らの多くは、特にルールがあったわけでもないのに、それぞれ自分の目標タイムを決め、それが達成できると、満足してカートを降りてしまうのだそうです。普通なら「1秒でも速く走ろう」とか、「あいつよりもいいタイムを出すぞ」とムキになったり、あげくにそれが叶わず、悔しい思いをしたりしがちです。でも彼らはそういう乗り方をしません。

(引用元:日本ブレインヘルス協会|脳ストレスを味方につける、賢いアタマの使い方

目標を定めるということは、脳にある程度のストレスを与えます。しかし、程よいストレスは脳を活性化させ、良い結果を導き出します。ある実験によれば、「達成率50%以上」の目標設定がもっとも丁度良いストレスとなり、脳にドーパミンを分泌させ活性化に導くのだそう。もう少し頑張れば達成できるほどのことであれば、ストレスを利用して自分の潜在能力を引き出すことができるのです。

例えば、いつも3時間かけて終わらせている仕事を2時間半で終わらせる目標をつくる。一年間でTOEICの点数を100点上げたいなら、ひとまず「次回のテストでは30点アップ」という身近な目標をつくる。このように、高すぎない身近な目標を課し、軽度なストレスを上手に利用することが自分のステップアップにつながるはずです。

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ストレスへの意識を変える

ストレスとうまく付き合い、利用していくためにも、ストレスへの意識を変えていきましょう。

スタンフォード大学マインド&ボディ・ラボのアリア・クラム博士や、イェール大学エモーショナル・インテリジェンス・センターの創立者ピーター・サロベイ、『幸福優位7つの法則』の著者ショーン・エイカーは、「ストレスに対する意識の持ち方」がストレスを良いものにも悪いものにも変えるという考えを示しています。つまり、意識の持ち方次第で、体に及ぼす影響が異なってくるというのです。

また、健康心理学者のケリー・マクゴニガルは、アメリカで3万人の成人に「去年どれくらいストレスを感じたか」 「ストレスは健康に害になると思うか」等のアンケートをとって8年間の追跡捜査を行いました。その結果、過度なストレスを経験した人たちのなかで、ストレスが健康に害を及ぼすと思っていた人たちの死亡リスクは43%高いとわかりました。反対にストレスが無害だと思っていた人達は、たとえ過度なストレスを受けていても、参加者のなかでもっとも低い死亡リスクだったのです。この研究結果は、「ストレスが健康に良くない」と考えることこそが健康に悪影響だと示しています。

そのほかの研究でも、「ストレスからの良い影響を描いたビデオ作品」を見た人々の方が、「ストレスからの悪い影響を描いたビデオ作品」を見た人々よりも、健康状態と仕事のパフォーマンスが高まったという結果が出ています。

ストレスに対してポジティブなイメージを持つだけで、ストレスを向上要因に変えることができるのです。つまり、ストレスが害をもたらすのは、ストレスが害だと思い込んでいるから。あくまでもストレスは、体に活を入れるための本能的な反応だと考えるべきでしょう。

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勉強や仕事、人間関係などでストレスを感じたときには、冷静に「成長のチャンスだ」「向上要因だ」とこころのなかで繰り返してみてくださいね。それに、達成率50%の目標を設定することや、ストレスに対してポジティブなイメージを持つことは、どちらも、すぐにはじめられること。ストレスを味方につけて上手に生活していきたいですね。

(参考)
厚生労働省|ストレスとは
HAPPY W|「ストレスは悪いもの」はウソ!?意識次第でストレスはメリットに
TED|ストレスと友達になる方法
Wikipedia|ケリー・マクゴニガル
日本ブレインヘルス協会|脳ストレスを味方につける、賢いアタマの使い方
Harvard Business Review|How You Can Benefit from All Your Stress
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