勉強をしているとき、「1度にたくさんのことを覚えられたらどんなに楽だろう」と思ったことはありませんか?
復習することはもちろん大切ですが、せっかくなら効率良く勉強したいですよね。そこでオススメなのが、「青ペン書きなぐり勉強法」です。これは、その名の通り、青ペンで書いて書いて書きまくる勉強法のことを指します。
板書を行う授業の印象が残っていると、ノートは“シャーペン”で“丁寧”に書くものだという感覚がある人は多いはず。実際、こういったノートは復習する際にとても役に立ちます。
しかし、青ペン書きなぐり勉強法では、ノートを復習で用いることを意識していません。何度も復習するのではなく、一度の勉強でなるべく多くのことを覚える。これが青ペン書きなぐり勉強法のスタンスになります。
どうして青ペン?
まず「青ペン」で書くことに2つのメリットがあります。
1.セロトニンが分泌される 人間の脳は、色を見ることで脳内物質を分泌します。赤を見ると「アドレナリン」が分泌されるのに対し、青を見ると「セロトニン」が分泌されます。
このセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、日光を浴びることでも分泌されるのです。ポジティブな思考になったり、ストレスが軽減されたりと体調にいい効果を及ぼします。青ペンで勉強をしていると自然と体調が良くなるのなら使わない手はありませんよね。
2.効率的に記憶することができる ボールペンで書くと、シャーペンと違って消すことができません。これが覚えるときには非常に重要なのです。
例えば、単語の意味を覚えるとき、意味は通常「意味記憶」に分類されますが、そこに何らかの体験が加わると「エピソード記憶」に保存されます。そして、「エピソード記憶」に分類された記憶ほど、より良く覚えられるものなのです。
「ここで書き間違えた」というのも立派な体験のひとつであり、エピソード記憶に分類されるきっかけにはなりますが、間違えた部分を消しゴムで消すという行為は、せっかくの体験に蓋をしてしまう行為でもあります。これでは、エピソード記憶に保存されるきっかけを奪ってしまうことになるのです。
その点、ボールペンであれば消してしまう心配はありません。よく「間違いを恥ずかしがるな」と言いますが、まさにその通りで間違いをも糧にして効率的に記憶することができます。
どうして書きなぐり?
「書きなぐる」ことのメリットもまた、エピソード記憶と関わっています。
本当に覚えたい部分だけ覚えようとしても意味記憶にしかなりません。周りにある、一見無駄な部分と紐づけることで、より強固な記憶になるのです。
昔、学校の教科書で偉人の顔に落書きをしたことはありませんか? もしあるとしたら、その偉人については他の偉人よりもよく覚えているのではないでしょうか? “落書きをした”という体験と偉人が紐づけられて脳内に記憶されているので、何の体験もない他の偉人に比べて強く記憶されているのです。
従来の板書中心の勉強法だと、どうしても必要な情報のみで見やすくノートにまとめることが求められます。しかし、それは「体験」をそぎ落とす行為に他ならず、時間をかけて作っても記憶に定着しにくい勉強法なのです。
ゆえに、思いついたことすべてを書きなぐって体験を増やした方が結果的に記憶につながります。
実践するためのコツ
では、実際にどのように勉強すれば良いのでしょうか?
使用する青ペンは、すぐに書けるようにノック式、できればインクが見えるタイプがオススメです。たくさん書いているとインクが減っていくのが目に見えてわかり、これだけ使ったという実感が湧いて、モチベーションにつながりやすくなります。
ノートは、持ち運びのできる範囲で大きいものを選びましょう。書きなぐるにあたっては、文字の大きさなど気にするべきではありません。しかし、小さすぎるノートだと1ページに書ける分量が少なすぎて、書きなぐりが実践しにくくなってしまいます。
また、PCのあるデスクで使う場合は、リングタイプのノートにした方がスペースをとらないのでオススメですよ。何かを覚えたいとき以外にも、何か書き留めておいたり、思考を整理したりするためにも使えます。
この勉強法で大切なのは、どれだけやったか確認することです。
書きなぐっているため、復習に役立つノートとは言えませんが、決して捨てずに取っておきましょう。どれだけ書きなぐったかが一目でわかるようにしておくと、その後のモチベーションに繋がりますし、いざという時の自信にもなります。ボールペンに関しても、同様にとっておくと良いでしょう。
また、そういった「物量」をSNSにドヤ顔で投稿するのも1つのモチベーション維持の手段です。
綺麗に書くノートも大事ですが、時間のない社会人の方はやはり、この青ペン書きなぐり勉強法の方が断然おすすめです。早速帰りに青ペンを買って、始めてみてはいかがでしょうか?
■この記事が連載『Study Hacker Days』でマンガになりました! 「おぼえたいなら青ペンで!」 ゆるクス漫画家 木下晋也のマンガ Study Hacker Days【第2回】
(参考) 東洋経済ONLINE|頭がいい人は、なぜ「青ペン」を使うのか? Wikipedia|エピソード記憶