みなさんは、自分の今の生活に満足できているでしょうか。仕事もプライベートも、どちらも充実していて、心から楽しめているという人はどれくらいいるでしょうか。
「ブラック企業」という言葉が流行語となるような現代社会においては、生活イコール仕事になってしまい、プライベートを満喫するなんて程遠いという人も多いでしょう。では、忙しい社会人は、どうすれば毎日の生活を充実させられるのでしょうか。今回は、そのヒントについてお伝えします。
「ワーク・ライフ・バランス」という考え方
仕事とプライベートの充実を表す言葉に「ワーク・ライフ・バランス」というものがあります。ワーク・ライフ・バランスは「仕事と生活の調和」とも言い、
個人のライフスタイルやライフステージに応じた多様な働き方の実現を目指す考え方
(引用元:コトバンク|ワーク・ライフ・バランス)
のことを指す言葉で、主に、仕事・学業と私生活を分けた時間の使い方について言い表す際に用いられます。最近では、趣味のために私生活を大事にするというだけでなく、育児や介護など人生において訪れる様々な局面で、仕事上の責任を果たすとともに多様な生き方を実現する、という文脈で、このワーク・ライフ・バランスの重要性が説かれています。
確かに、仕事・学業だけでもなく、プライベートだけでもなく、それぞれの時間をしっかり確保できている生活は、メリハリがあって理想的ですよね。しかし、ただそれぞれの時間を取っているというだけでは、ワーク・ライフ・バランスとは言えません。この考え方では、私生活のための時間の確保すらままならない人はワーク・ライフ・バランスとは無縁の生活を生きるしかないことになってしまいます。
では、どのようにすれば、私たちは充実した生活を送ることができるのでしょうか。
ワーク・ライフ・バランスの鍵は「相乗効果」
ケンタッキー大学の元学長で、経営学教授であるクリスティーン・M・リアダン氏は、人生において重要かつ効果的なのは「仕事や学業と私生活の相乗効果の追求」だと言います。
相乗効果を追求するというのは、プライベートだからといってただ趣味や家族サービスにのみ時間を費やすのではなく、仕事と私生活の良い意味での相互作用を起こすこと。例えば、イギリスの多国籍企業であり、音楽や映画館事業をはじめとする多分野の事業を展開するヴァージン・グループ。この会長であるリチャード・ブランソン氏はこれまでに、家庭で子どもたちと仕事について話している時に最高のアイデアのいくつかを思いついたのだそうです。
また、仕事と生活の相乗効果は「ワーク・ライフ・シナジー」とも呼ばれます。ワーク・ライフ・バランスを推進する企業を経営しながら、2人の育児もこなしている小室淑恵氏は、ワーク・ライフ・シナジーについて次のように語っています。
「ライフでインプットをするからこそ、発想力が広がって、人脈が広がって、健康的でいられる。ライフが充実するからこそ、仕事でアウトプットの質も上がる。効率的に働き早く帰ることで、またライフが潤う……。スタートは必ず、ライフの充実から。二者は、ぐるぐると好循環する関係なんです」
(引用元:THE HUFFINGTON POST|「19時に帰ったら、全てが変わった」小室淑恵さんに聞くワーク・ライフバランス【Woman's Story】)
単純に仕事とは別にプライベートの時間を取ればよいのではなく、人生という大きな視点から仕事と私生活の両方をとらえ、それぞれを充実させることが、ワーク・ライフ・バランスの実現のための鍵だと言えるでしょう。
プライベートの時間を、明日への投資と捉えよう
仕事とプライベートを分けたからといって、それぞれを断絶させるのでは、ワーク・ライフ・バランスの実現には程遠いことが分かったと思います。たとえプライベートの時間であっても、仕事や学業のことを全く考えないというのはもったいないことなのです。
例えば、プライベートの時間は、仕事や、自分の将来への投資のための時間として使いましょう。
洋画鑑賞が趣味で、私生活では何本もの洋画を見ているのなら、ただストーリーを追うだけではなく、セリフで用いられている外国語の表現や意味を調べれば、よりその洋画が楽しめるようになり、さらに語学の勉強にもなるでしょう。英語が好きになって、英語の勉強がはかどるかもしれません。
また、ガーデニングが趣味で自分で野菜を育てるのが好きなら、ただ料理に使う材料としてだけ見るのではなく、より美味しく育てるための方法について学んだり、ガーデニングのトレンドなどを調べたりしてみてください。トレンドを知ると、ビジネスで顧客の嗜好に関するよい材料になる可能性があります。お子さんがいる方なら、親子で過ごす時間を充実させることもできるでしょう。
*** 相乗効果を追求した生活は、ただ仕事と私生活のための時間を確保するだけの生活よりも、より豊かな人生になるということがお分かりいただけたと思います。ぜひ相乗効果が期待できるような時間の使い方を意識してみてください。
(参考) コトバンク|ワーク・ライフ・バランス DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー|仕事と人生で重要なのは「バランス」ではなく「有効性」 内閣府|仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章 THE HUFFINGTON POST|「19時に帰ったら、全てが変わった」小室淑恵さんに聞くワーク・ライフバランス【Woman's Story】