勉強ができる人の共通点。東大生たちも大事にする “あの感覚” を勉強で得る方法を考えてみた

納得感いっぱいの笑顔で勉強する学生もしくはビジネスパーソン

自分が納得して行なえる勉強法は、効果が出やすいといいます。とはいえ、「どう納得感を得たらいいのかわからない」「納得感そのものがピンとこない」という方も多いでしょう。そこで今回は、納得感のある勉強について探ってみました。

東大生は自分の勉強に納得感がある

現役東大生で株式会社カルペ・ディエム代表の西岡壱誠氏は、オリンピック選手も育てたという陸上競技の監督から、こんな話を聞いたそうです。

――「自分に合っていると感じられ、納得しながら努力できるような練習法は、どんなに理論上優れた練習法よりも、効果が出やすい」――

西岡氏自身も、強制的に勉強(やらされている感覚で勉強)していたときは成果が出なかったそうですが、“大きな目標” と “自由に勉強する視点” を与えられ、自主的に勉強するようになってからは徐々に勉強が楽しくなり、見事東大にも合格できたそうです。そのプロセスで納得感も覚えたのだとか。

また、西岡氏が東大の同級生らに勉強法を尋ねたところ、やはり自分が一番納得できる、独自のやり方を実践している人が多かったとのこと。それが、もともとは人に教えてもらったやり方だとしても、自分なりの解釈で工夫し、改造したうえで取り入れているそうです。

ところで、その「納得感」とはどういったものなのでしょう?

「納得感」とはいったい何か?

西岡氏が自主的に勉強するようになった背景には、そのとき受験勉強とは関わりのなかった音楽の先生が、「やるならトップを目指しなさい」「自由にやりなさい」といった言葉をくれた――というエピソードがあったそう。

単純に解釈すると、西岡氏の「納得感」をつくりあげたのは “大きな目標” と “自由な選択” であったわけです。

また、長崎県立大学教授の橋本優花里氏らによると、勉強の場において「納得感」は、主体的学びの原動力と考えられているとのこと。橋本氏らは、同じく学びを動機づけるという「満足感」と、「納得感」との違いがこれまで言及されていなかったため、学生たちの言語データを収集・分析するかたちで調べたそうです。その結果、次の内容がわかったのだとか。

  • 「満足感」と「納得感」は、いずれも学んだことを理解したときに得られる感覚
  • ただし「満足感」は、アウトプットが有効であったときに得られる感覚 ⇒テストの結果がよかった
  • 「納得感」は、インプットとの関わりで生まれる感覚 ⇒わかった(物事が明らかになった)

(※第24回大学教育研究フォーラム(2018)論文集「納得感とは何か」より)

これまでの内容をまとめると、「納得感」は大きな目標を定め、目標に向かって主体的かつ自由に勉強し、それを理解できた際に生じる感覚を指すのではないでしょうか。もっとかみ砕いて言えば、その人らしい独自性の高いやり方で、物事を明らかにしていく際に生まれるものと言えます。

それが誰かのやり方でも、自分に合うようアレンジして、オリジナルの勉強法にしてしまえばいいわけです。

自分らしく、自由に勉強する様子の学生あるいはビジネスパーソン

「これならできる」と思える独自性が納得感を生む

また、2006年3月に日経クロステックで公開された記事には、株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング代表取締役の松村卓朗氏による、こんな言葉が紹介されています。

「優れた戦略を立案しても、実行主体となる現場が納得していなければ成功の確率は低い。逆に戦略自体の新規性は低くても、現場が十分納得して取り組んでいれば大きな成果につながる可能性は高い

(引用元:日経クロステック(xTECH)|大切なのは「納得感」だった ※太字による強調は編集部が施した)

前出の西岡氏が紹介した、陸上の監督の言葉にも似ていますよね。

そして、日経BP総合研究所 主席研究員の小林暢子氏は、この松村氏の言葉を受け、実践者が「これなら自分でもできる」と納得するように働きかけることも、ファシリテーションスキル(会議やミーティングを円滑に進める技法)のひとつではないかと述べています。

これを個々の勉強に例えた場合、勉強を円滑に進められるよう働きかけるのも、実践者も、ともに自分自身。前項では納得感を「独自性の高いやり方で、物事を明らかにしていく際に生まれるもの」と解釈しましたが、上記の内容も加味すると、以下のようにとらえることができます。

――勉強における納得感とは、「これなら自分でもできる」と思える独自のやり方で、物事を明らかにしていく際に生まれるものである――

図書館で「自分にもできるやり方」で勉強し、納得感を得ている様子の学生あるいは若いビジネスパーソン

自分に合う勉強法を考え、実践してみた

そこで筆者も、納得感を得られるような勉強をするべく、少し工夫してみました。

改まって勉強する雰囲気がとても苦手で、仕事や家事や介護でいつも忙しいけれど、「これなら自分でもできる」と納得しながら勉強できる方法は何かと考えたら、こんなふうになりました。名づけて、4コマ漫画ならず「4コマ勉強」です。

簡単にページを分割でき、文字もなんとなく整っているように見える方眼ノートの片ページを、横に4コマになるよう分割し、1日に何かを「4つ理解し、覚える」ようにします。

筆者のオリジナルで納得感のある勉強法「4コマ勉強」

1マスにひとつの内容が入りますが、同じ内容を自分の言葉で書き換えた場合も1マス使います。また、自分の言葉であることが明確にわかるよう、ブルーのペンで色分けしてみました。

もちろん4マス以上勉強する意欲があるときは、迷わず勉強します。ただし、4マス以上なら8マス、それ以上なら12マスと、4マス単位は守るようにします。

そうすれば、「さらに4コマやるのは無理かなぁ」などと切り上げるタイミングがわかりやすいので、集中力が途切れているのにダラダラ続けることがないし、4コマぶん勉強しただけでも、区切りよく気分がスッキリして、達成感もあるからです。

筆者のオリジナルで納得感のある勉強法「4コマ勉強」において、1日に4コマ以上勉強したかたち。

(※ノート内参考:筒井義郎著, 佐々木俊一郎著, 山根承子著, グレッグマルデワ著(2017),『行動経済学入門』, 東洋経済新報社.)

どこかで見たような方法を、自分に合うようアレンジした勉強法を実際にやってみると、ストレスがなく、記憶にも残りやすいと感じました。小さな達成感も、ちょっとした楽しさもあります。これが納得感ならば、今回のチャレンジは成功ですね。

みなさんには、みなさんらしい勉強のやり方がきっとあるはずです。それが誰かのまねでも、以前からある勉強法でも、自分にいいように工夫してみれば、きっと納得感を得られます。いい結果はあとからついてくるでしょう。

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勉強における「納得感」を探りました。よろしければ勉強のヒントにしてくださいね。

(参考)
長崎県立大学学術リポジトリ|納得感とは何か―主体的学びを後押しする心理学的概念を探る
東洋経済オンライン | ドラゴン桜で理解「東大生が勉強好きになる秘密」
日経クロステック(xTECH)|大切なのは「納得感」だった

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