お金がない、学校に通えない。“圧倒的不利” でも東大やハーバードに合格した3人の最強独学術

極貧から難関大学へ合格した人に学ぶ最強独学テクニック01

「経済的にダブルスクールは難しい」
「意識が高い仲間や優秀な講師など、十分な学習環境を整えられない」

こういった理由で、難関試験への挑戦を諦めようとしている人はいませんか? それは早計かもしれません。

「独学」は、そうした一般的に不利だとされる人にこそ向いている勉強法です。ひとくちに独学と言えど、その勉強方法はさまざま。今回は、経済的・地理的に厳しいなか、東大・ハーバード大などの名門大学に独学で合格してきた人のノウハウをご紹介します。

【1】ほかの人の「合格体験記」を参考にする

塾で何講座も受講できるほどお金がない。教材を何種類も買うのももったいない。そういう人でもやり方次第で、費用を極力抑えて難関試験に合格することは可能です。“学びのイノベーター” 本山勝寛氏のエピソードを紹介しましょう。

厳しい家計状況のために早いうちからアルバイトを始め、高校3年生になる直前で東京大学受験を決めた本山氏。独学で見事東大に合格、さらにハーバード大学の大学院にまで合格しました。そんな本山氏は、独学を成功させるため、他者の合格体験記を参考にしていたと伝えています。

その目的は、どの参考書や問題集を買うべきか徹底的に考え、無駄な教材に余計なお金を使わないようにするため。

本山氏の受験勉強は、東大・ハーバード大学院に合格した人の体験記を見て、彼らがどのように勉強してきたかを知るところから始まりました。合格に結びついた参考書や勉強法など、本山氏と同様に予備校へ通っていなかった人の体験をもとに共通するパターンを見つけ、参考にしたのです。

本山氏によれば、独学を成功させたいなら「有効な戦術を事前に練る」ことが大切。自分の戦略をまったくの一から確立させるよりも、同じ境遇で成功した先輩たちの学び方をたどるほうが、時間的にも金銭的にもずっと効率的ですよね。成功事例を研究してこそ、正しい戦略を練ることができるというわけです。

また本山氏は、合格体験記を読むことには、モチベーションを高く保てるというメリットもあると言います。合格体験記には、先輩たちが経験した苦労や失敗も書かれているもの。それを読んでおけば、スランプに陥ったとしても「こういうときもある。諦めなければ必ず目標を達成できる!」と前向きに考えて、努力を続けることができるそうですよ。

極貧から難関大学へ合格した人に学ぶ最強独学テクニック02

【2】入門書は「3冊」読む

不利な状況にあっても効率よく独学を成功させたいなら、本の選び方や読み方にも気を配る必要があります。

東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏は、中学校卒業後、父親の仕事の関係でブラジルに移住しました。そのため高校には行かず、日本から取り寄せた教科書と参考書で独学の末、大学入学資格検定に合格し、慶應義塾大学経済学部(通信教育課程)に入学したそうです。大学時代はシンガポールに住み、「大学から送られてくる1冊のテキストを自分で読んで勉強する」という独学を継続。最終的に、東京大学大学院への進学を果たしました。

当時インターネットもなく、海外にいて図書館へも行けない――そんな不利な状況のなかで柳川氏は、分厚くて難解なテキストの要点を自力でつかむための読み方を、自分なりに手探りで身につけていったと言います。

たとえば、テキストを最初に読む際、わざとマーカーやペンを持たず読むという方法。文字だらけのテキストは、最初はどこも重要に思えてしまい、線を引くうちにマーカーだらけになってしまうもの。それを防ぐために、マーカーを持たずに読んで内容をきちんと咀嚼し、自分なりに頭のなかで捉えようとするようになったのだそうです。

また柳川氏は自身の経験をふまえ、独学を極めるための読書法として次のふたつをすすめています。

  • 入門書を3冊読む
    入門書は初学者用に書かれているため、新しい分野を学ぶ際、まず全体像をつかむのに適しているそう。分野の基礎的な内容や背景を知ることで、深く学ぶための基盤を固めることができると言います。さらに、紹介されている論文や資料を芋づる式に読んでいけば、楽に学びを得ることができるそうです。

  • 同じ本を2回読む
    1回め→内容をざっと頭に入れる。すべてを理解できなくても問題ない。
    2回め→「逆のケースはどうか」「この部分は前に主張されていたことと矛盾していないか」など、著者の主張を疑ったり批判したりしながら読む。
    このように読めば、学習内容をより理解できるようになるとのことですよ。

不利な状況にあって、本を読むしか勉強法がない……。そんな人こそ、ぜひ柳川氏のすすめる独学術を試してみてください。

極貧から難関大学へ合格した人に学ぶ最強独学テクニック03

【3】「7日間=1サイクル」で勉強する

「専門のスクールに通えない」という不利な状況は、勉強サイクルの工夫によっても打ち破れます

これまで700個以上もの資格試験に合格してきたという、東京大学卒の資格コンサルタント・鈴木秀明氏。出身地は、全国区の塾や予備校がない富山県の片田舎だそうで、高校時代はそもそも、塾に通うこと自体ができなかったと言います。

幸い高校では定期的に模試があり、そこで鈴木氏が見いだしたのが、自分を定期的に追い込むという勉強法。このやり方で勉強に取り組んだ結果、独学だけでよい成績を挙げ、東京大学だけでなく早稲田大学や慶應大学など、受験した大学すべてに合格したのだそうです。

つまり、適切なやり方で定期的に追い込むことができれば、名門塾に通わなくてもまったく問題ないということ。ここから生まれたのが、鈴木氏の提唱する7日間勉強法です。その流れはとてもシンプルで、「捨てる」「詰め込む」「追い込む」の3ステップのみ。

  1. 捨てる:出題されない問題を過去問から選定する
    全試験範囲を網羅しようとするのは非効率的。過去の傾向から出題されなさそうな範囲は「勉強しなくてもよい範囲」として除外します。この選定作業は、長くても最初の2日間程度で終わらせ、次以降のステップに多くの時間を回します。

  2. 詰め込む:重要度がそれほど高くないところから勉強する
    除外したところ以外の範囲を、残りの期間で「重要度の低い順に」勉強します。

  3. 追い込む:絶対に忘れたくない重要なところを前日に勉強する
    よく出る範囲や大事な範囲は、試験直前に追い込み形式で勉強します。覚えていないと試験でどうにもならない用語などを直前に集中して勉強することで、効率よく記憶に留めておくことができると鈴木氏は説きます。

もちろん、難しい試験の場合は、7日間ではとうてい足りないと感じることもあるでしょう。そのときは「6日間の詰め込み+模擬試験」の7日間を1サイクルとして何周も回すとよいとのこと。

東大入学後に資格試験の勉強をするようになった経験も加わり、鈴木氏は、どれだけ時間があってもついだらけてしまい、試験直前にならないとスイッチが入らないことに気づいたそう。

そこを割りきって「試験の1週間前になったら勉強を始める」と決めておけば、直前期に特有の高い集中力によって、勉強の密度を圧倒的に高められると語ります。

スクールに通いたくても通えない……そんな人は、「7日間勉強法」で独学を成功させましょう!

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経済的・地理的な不利にもかかわらず、東大やハーバード大に独学で合格した経験をもつ3名の勉強法を紹介してきました。現在でもそのメソッドを用いて第一線で活躍している彼ら。ぜひその独学術を実践して、あなたの今後に役立ててください。

(参考)
マイナビニュース|「最強の独学術」にある成功の方程式。_極貧のなか、独学で東大&ハーバードに合格! /学びのイノベーター・本山勝寛
ダイヤモンド・オンライン|【東大・柳川×『独学大全』】高校に行かなかった東大教授が語る「偏差値が高い人ほど、独学でつまずく」本質的な理由
プレジデントオンライン|高校に通わなかった東大教授が語る「独学の極め方」
ダイヤモンド・オンライン|なぜ、7日間の勉強で試験に受かるのか?(前編)
鈴木秀明(2017), 『効率よく短期集中で覚えられる 7日間勉強法』, ダイヤモンド社.

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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