「仕事が忙しくて、まとまった勉強時間がとれない」
「スキマ時間に勉強せよと言われても、どこにそんな時間があるのかわからない」
このように、勉強時間がない状況に悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
今回は、そんな忙しい毎日でも勉強の時間を確保できる時間管理術「グレー時間クレンジング」をご紹介します。筆者の実践例も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。
- 「勉強したくても時間がない」は本当か? 今度こそ勉強するための3つの方法
- 「グレー時間クレンジング」とは?
- 実践! 勉強に使えるグレー時間を徹底的に洗い出してみた
- 「グレー時間クレンジング」を実践したら、勉強時間が格段に増えた!
現代ビジネス|「デキる人」がやっている、ダラダラ時間を「ゼロ」にするシンプルなワザ
HRドクター|失敗しない時間管理術で、仕事もプライベートも時間を有効活用するポイントを解説!
プレジデントオンライン|"よいToDoリスト"を作る3つのポイント
ダイヤモンド・オンライン|「ジム通いも勉強も……」やりたいことが多すぎる悩みへの超納得の回答
「勉強したくても時間がない」は本当か? 今度こそ勉強するための3つの方法
「勉強したくても時間がない」――私たちはこの悩みをどうすれば解決できるのでしょうか?
さまざまな独学メソッドをまとめた『独学大全』著者の読書猿氏は、「与えられた24時間」をどう「配分するか」が大切だとしたうえで、これまで多くの識者が伝えてきた時間管理術は次の3つにまとめられると話します。
1. 時間の使い方の実態を把握する
2. やるべきことを整理し、無駄を省く
3. 優先順位をつける
(引用元:現代ビジネス|「デキる人」がやっている、ダラダラ時間を「ゼロ」にするシンプルなワザ
それぞれについて、具体的にご説明しましょう。
1. 時間の使い方の実態を把握する
まずやるべきは、自分がどう時間を使っているのか実態を把握すること。なぜなら、普段の過ごし方を把握しなければ、勉強に費やせる時間を見立てられないからです。
具体的には、7つの習慣®認定担当インストラクターで研修講師の宮本靖之氏がすすめる、「使った時間を記録する」というやり方が参考になるでしょう。重要なのは「すべてのタスクを洗い出す」こと。「無駄な時間、優先順位が低い事柄を洗い出」しやすくなるそうですよ。(カギカッコ内引用元:HRドクター|失敗しない時間管理術で、仕事もプライベートも時間を有効活用するポイントを解説!)
たとえば、次のような感じです。
9:00〜9:25 ネットニュースを読みながら通勤
9:25〜9:30 席に着いて始業準備
9:30〜10:00 社内ミーティングに参加
さらに、「計画と実績のズレ」を「定期的に振り返」ることも大切だと、宮本氏(カギカッコ内引用元:同上)。通勤中に経済ニュースをチェックしておく予定だったのに、なんとなくSNSを眺めて時間をつぶしてしまった……というような、「やろうと思っていたこと」と「実際にやったこと」の差を定期的に確認するということです。こうすると、より精度の時間の使い方ができるようになっていくわけですね。
2. やるべきことを整理し、無駄を省く
次に行なうのは、やるべきこと=タスクの整理です。
『ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250』の著者で理学博士の堀正岳氏によると、「タスクを書き出」して「客観視できるようにするだけで、頭脳にかかっていた負荷が減り」、実行力が高まるそうです。ただし、「時間と集中力の限界」があるので、「できればいいこと」は含めず「やるべきこと」のみを洗い出すといいとのこと。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|"よいToDoリスト"を作る3つのポイント)
たとえば、平日に語学学習を取り入れたいとき。
- 単語帳を毎日1ページ分覚える
- 資格試験の過去問を毎週月曜日に1回分解く
上記のように「やるべきこと」に絞って書き出します。文法もやっておいたほうがいいだろうか、リスニングの時間もとれたらいいな……など「できればいいこと」はあえて省略。こうして書き出してみると、頭のなかだけで考えるのに比べて、本当にやるべきタスクがより明確になるはずです。勉強に取り組みやすくなるでしょう。
3. 優先順位をつける
そして最後にやるのが、優先順位決め。読書猿氏は、「人間の時間も能力も有限ですから優先順位をつけ一部をあきらめるしかない」と述べます。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「ジム通いも勉強も……」やりたいことが多すぎる悩みへの超納得の回答)
たとえ「これだけはやるべき」というタスクを整理してあったとしても、その数が多すぎて「あれもやるべき」「これもやるべき」となってしまうと、どれから手をつければいいのか迷うばかりでしょう。だから、優先順位が必要なのです。
たとえば、通勤中にやるべきこととして「経済ニュースをチェックする」「英単語を覚える勉強をする」「ビジネス書を読む」という3つがあったとします。このとき、
- 行きの電車では、経済ニュースのチェックを優先する。終わったらビジネス書を読む。
- 帰りの電車では、英単語を覚える勉強を優先する。終わったらビジネス書を読む。
というようにあらかじめ決めておけば、スムーズに勉強に取り組めるでしょう。いつ何をするかが決まっていれば、時間を無駄にすることはないはずです。
「グレー時間クレンジング」とは?
ここまでにご紹介した3つの時間管理術をスムーズに実践できる方法として、読書猿氏がすすめるのが「グレー時間クレンジング」です。(以下、本項中カギカッコ内引用元:前出の「現代ビジネス」記事)
そもそも、グレー時間とはなんでしょう? 読書猿氏は、次のように時間を3色で表しています。
「ホワイト時間」:「完全に自由に使える時間」
「グレー時間」:「行動の一部を制限されているが、自由にできることもある時間」
「ブラック時間」:「完全に拘束されている時間」
たとえば、ある営業パーソンが会社から取引先へ電車で向かう時間は、“取引先” という仕事上の目的地へ移動しているので、ブラック時間と解釈できそうです。しかし、電車内で読書やニュースのチェックをしても問題ないという点で、ホワイト時間とも言えるでしょう。このように、ホワイト時間とブラック時間のあいだにある時間を、読書猿氏はグレー時間と呼んでいます。
そうしたグレー時間をすべて洗い出し、「見つかった『空き時間』を活用」して「時間の『質』を高め」るテクニックが「グレー時間クレンジング」です。この方法なら、仕事が忙しくて勉強時間がとれない……と感じている人でも、勉強にあてられるグレー時間の存在に気づけるはず。
読書猿氏によれば、具体的な手順は次のとおり。紙1枚とペン1本あればできます。
- 「24時間分の行動を、1枚の表に書」く
- 「時間ごとの自由度を評価し、表の中に書」く
- 「グレー時間にできそうなことを考えて、スケジュールに」書く
次の項では、筆者がグレー時間クレンジングを実践した模様をご紹介しましょう。
実践! 勉強に使えるグレー時間を徹底的に洗い出してみた
今回筆者は、大学で授業を受ける日と自宅で仕事をする日の2パターンで「グレー時間クレンジング」を実践してみました。
まず、大学で授業を受ける日のパターンがこちらです。
たとえば、授業中の自由度はほぼないので1%。バスで帰宅中の自由度は、高めの50%としました。この時間は、特に自由度が高いグレー時間だと判明したので、時事や本を紹介するラジオを聞く、易しめの入門書を使って勉強する、などあらかじめ決めておいた勉強にあてることに。時間を有効に使えましたよ。
そして、自宅で仕事をする日のパターンがこちら。
この洗い出しをしてみて気づいたことがありました。それは、休憩時間の使い方がこれまでかなりもったいなかったということ。“休憩” だからと、いままではスマートフォンチェックをするなどしてなんとなく時間を潰してしまうことが多かったのです。ですが、仕事中とはいえこの時間の自由度は80%。これは勉強にあてられると思い、動画や音声教材で勉強することに決めました。
「グレー時間クレンジング」を実践したら、勉強時間が格段に増えた!
グレー時間クレンジングを数日間続けてみたところ、1日の勉強時間が格段に増えました。
通学時や昼食時はこれまで勉強をしていなかったのですが、その時間は完全には拘束されていない貴重なグレー時間と判明。専門書をレビューするラジオを聴いたり、短めの入門書を読んだりと、無理のない方法を取り入れ、有効に勉強時間を生み出しました。
さらに、グレー時間を活用した勉強を続けていると、勉強に対するハードルも低くなりました。というのも、長時間取り組むことだけが勉強ではないと気づけたから。「短時間でも勉強は勉強だ!」と認識を変えられたことによって、1日の学習量が増えたと同時に、勉強を継続しやすくなりました。
筆者も実践したように、グレー時間に行なう勉強の最初の一歩としては、ラジオや入門書を活用することをおすすめします。概要や事例が簡潔に解説されている場合が多く、短時間でも効率的に勉強できるつくりになっているからです。慣れたら、自分で勉強の難易度や量を調整していくとよいと思います。
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グレー時間の存在に気づくことができれば、忙しいなかであっても多くの時間を勉強にあてることができます。「勉強なんて毎日できない……」と自信をなくすこともありません。「勉強したいけど時間がない」と悩む人は、ぜひグレー時間を洗い出してみてください。