仕事の依頼、企画の提案、取引先とのコミュニケーション、友人関係や恋人関係など。ビジネスにおいてもプライベートにおいても、私たちは “いかにうまく言葉を伝えられるか” がモノを言う世の中を生きています。

依頼が通らない、言葉足らずで誤解されやすい、人を説得するのが苦手……。こんなふうに、言葉に関するコンプレックスを抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、著書『伝え方が9割』シリーズが127万部を突破、さまざまな広告賞も受賞されている人気コピーライター 佐々木圭一さんに、言葉の極意をうかがいました。佐々木さん曰く「伝え方には技術がある」とのこと。伝えベタな人のための「上手な伝え方」に迫ります。

あなたも損してない? 伝えベタな人の共通点とは?

お願いしても断られてばかり。伝えたいことがうまく伝わらない。そんな “伝えベタ” な人には共通点があると、佐々木さんは指摘します。

伝えベタで悩んでいる人の多くは、思ったことをそのまま相手に伝えてしまっています。相手がどう受け取るか考えずに口に出しているので、こちらの意思が伝わらなかったり、不用意に相手を傷つけてしまったりして、ミスコミュニケーションにつながりやすくなるのです」

では、そんな独りよがりのコミュニケーションに陥りがちな人は、どうすればよいのでしょうか。

「そういう人たちは、往々にして相手に無関心なんですね。コミュニケーションの第一歩は、相手のことを想像することです。相手の好きなものは何なのか、相手がいま何に興味を持っているのかなど、相手に思いを馳せてみてください。

あるいは 相手が褒めてほしそうなところを褒める” というのもおすすめです。初対面の人であっても、見た目の中で特に気を配っているポイントなど、きっとどこかにあるはず。相手のことを考える練習にもなります。ぜひ意識して探し出してみるようにしてください。

そのうえで話をすると会話も弾み、相手にとって気持ちの良いコミュニケーションが取れるようになりますよ」

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伝え方次第で結果が変わる。お願いが実現しやすくなる3ステップとは?

お願い事をしても断られてばかりの伝えベタな人も、伝え方をちょっと変えるだけで結果を変えることができる。佐々木さんはそう言います。

「『お願いを実現させる伝え方』に近づけるには、3つのステップがあります。

ステップの1つ目は “自分の頭の中をそのまま言葉にしない” こと。例えば、デートしたい相手がいるとしましょう。そんなときは『デートしたい』と思っても、そのまま口に出してはいけません。

ではどうすればいいのか。ここで、2つ目のステップとして “相手の頭の中を想像” してみてください。わかりうる限りの情報で、『何が好きなのか?』『どんな性格なのか?』と、相手の頭の中を考えてみるのです。 例えば、相手は『興味のない相手とはデートしたくない』と思っている一方で、『初めてのものが好き』『イタリアンが好き』だとわかったとしましょう。

そして、3つ目のステップとして “相手のメリットと一致するお願いをつくる” ということをしてみるのです。今回の場合は、『初めてのものが好き』『イタリアンが好き』という相手の頭の中をもとに、『驚くほど旨いパスタどう?』と、相手の望みに合わせた言葉でお願いするのがいいですね。

すると、ただ『デートしたい』と伝えるよりも、YESをもらえる可能性が高くなるんです。自分の真の目的はデートでも、この部分はあえて口に出す必要はありません。2人でパスタを食べに行くことは、結果的にデートと同じことなんですから。

お願いを実現させる答えは、自分の中にはない。相手の中にある——これを日頃から意識しておくことが、上手な伝え方をするうえで非常に大切ですよ」

今日から実践できる! 伝え方改善のためのヒント

先ほどのデートの例以外にも、私たちは日常で、頼み事をする必要のあるシーンに多々遭遇します。上手な伝え方で角を立てずに頼み事ができる人と、下手な伝え方をして頼み事を聞いてもらえない人のあいだには、具体的にどんな差があるのでしょうか。佐々木さんは「頼まれた側の気持ちになることが大事」だと言います。

「例えば、大学生の場合。旅行に行くために、9月にアルバイトを休みたいとします。繁忙期だったりすると、休みたいとは言いにくいですよね。この場合、店長に何と言えば快諾してもらえるでしょうか?

ここで『旅行に行くので休みを下さい』だとNG。ストレートすぎて、店長もあまりいい気持ちにはならないと思います。

そこで、『9月の前半と後半だと、どちらのほうがお店的には負担が少ないですか?』と伝えてみてください。ポイントは、どちらを選ばれてもいいものを2つ並べること人は、選択肢があると、思わず選んでしまうのです。さらに、こう伝えれば、お店のことも考えてくれているんだな、と感じてもらえます」

相手に “選択の自由” を与えることで、承諾してもらいやすくなる。たしかに、ストレートにお願いするよりも、快く受け入れてもらえそうですね。

「次は、ビジネスパーソンの場合。上司であるAさんの指示が曖昧で、もっと的確な指示を出してほしいと思っているとします。上司と部下の関係となると、目上の人には頼み事をしづらいものです。Aさんに何と言えば、明快な指示を出してもらえるでしょうか?

ここで『明快な指示を出してください』はNG。先ほどと同様、あまりにもストレートすぎるため、上司の気分を損ねてしまうかもしれません。関係性も崩れかねません。

しかし、『Aさんに少しでも近づけるように頑張りたいんです。この仕事の目指すところを詳しく教えていただけませんか?』だとどうでしょう。部下からこう言われて、嫌な気持ちになる上司はいませんよね。上司の “部下に認められたい” “尊敬されたい” という欲求を満たしつつお願いすることで、仕事も関係性も、うまく行きやすくなるんです」

上司に何かを頼む場合には、“自分が部下から同じことを頼まれたらどう感じるか” を常に想像しながら言葉に出していくことが大切だと、佐々木さんは念を押します。

「最後に、同じくビジネスパーソンの例として、クライアントにお願いしたい場合についても考えてみましょう。あるビジネスパーソンは、クライアントのBさんに、新商品の提案をしたいと思っています。でもBさんは忙しいようで、いつも『また今度ね』とはぐらかされてしまいます。この場合、なんと言えば提案の時間を取ってくれるでしょうか。

ただ『新商品が出ました! 提案の時間を下さい!』ではNGですね。興味がない、時間がないなどの理由で、すぐに断られてしまいます。

上手な伝え方は、ずばり『Bさんに一番にお伝えしたいお話があります。月曜日の午後と火曜日の午前ならば、どちらがよろしいでしょうか?』。

『一番に伝えたい』と言われると、自分だけ特別扱いされたようで嬉しくなりますよね。さらに、どちらを選ばれてもいい選択肢を2つ提示することで、『じゃあ、こっち』と選んでもらいやすくなるんです。これも、先ほど挙げた大学生の例と同様、“選択の自由” を与える方法ですね。提案の時間をくれる可能性がぐっと高まるはずですよ」

【プロフィール】
佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター。
上智大学大学院を卒業後、株式会社博報堂入社。伝説のクリエイター、リー・クロウ率いる、米国TBWAを経て、2014年クリエイティブ ブティック「ウゴカス」を設立。日本人初、米国の広告賞「One Show Design」で金賞を獲得。カンヌ国際クリエイティブアワードにて計6つのライオンを獲得し、国内外で合計55のアワードを受賞。著書『伝え方が9割』はビジネス書ランキング年間1位(紀伊國屋書店新宿本店調)シリーズ127万部突破。「世界一受けたい授業」「情熱大陸」などTV出演多数。日本のコミュニケーション能力をベースアップさせることを、ライフワークとしている。

【佐々木圭一さん 講座のお知らせ】
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「コピーライティング集中講座 第3期 10/2(火)〜」申し込み受付中!
一番の人気ポイントは、ご自身(自社商品)のコピーを、
講座中につくれてしまうこと。受講者の方が考えたコピーに対して、
佐々木本人が、直接フィードバックして完成させます。
https://www.ugokasu.co.jp/copywriting/
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たとえ伝えベタであっても、技術さえ身につけられれば伝え上手になれます。コミュニケーションに自信がない人も、伝え方を少し工夫してみてはいかがでしょうか。

佐々木圭一さんインタビュー、続編では「言葉とアイデアの生み出し方」について詳しく探っていきます。お楽しみに。

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『その言い方、損してない? 人気コピーライター直伝「結果が変わる伝え方」』
名言は作れる! 人気コピーライターが語る、“心を動かす” 言葉とアイデアの生み出し方