インターネットが普及し、誰もがメディア側になれる現代。自分の言葉やアイデアに自信がない人は、“情報の洪水” とも呼ばれるこの世の中に、自信をなくしたり辟易したりしているかもしれません。

しかし、誰もがアウトプットできるこの時代について、ベストセラー『伝え方が9割』を著書に持つ佐々木圭一さんは「大きなチャンス」と形容します

心を動かす言葉、心を動かすアイデアを生み出すには、どうすればいいのでしょうか?

人気コピーライターの “伝えベタ” だった過去

現在、人気コピーライターとして活躍する佐々木さんも、じつは学生時代は伝えベタで苦労したのだそう。大手広告代理店を就職先に選んだのも、「コミュニケーションを仕事にしている会社に入って苦手を克服したい」という明確な思いがあったから。しかし、現実はそう甘くはありませんでした。

「伝えるのが苦手だったにもかかわらず。入社後はいきなりコピーライターに配属されてしまい、軽いパニックになりました。大学院での専攻は機械工学ですし、文章を書いた経験もなかったので、すぐに壁にぶち当たりました。コピーを書いても書いても、上司に「ないな」と捨てられる。紙の無駄遣いという意味で、“最もエコでないコピーライター” というあだ名までつけられました」

しかし、伝え方に “法則” があると気づいてからは、がらりと変わったのだそう。

心を打つ言葉や感動的な言葉と出会うたびに、ノートに書き写していたんです。すると、名言と呼ばれる言葉は構造が似ていることに気がつきました

映画やテレビを観ていて『この台詞いいな』と思ったり、知人と話をしているときに『今いいこと言ったな』と感じたりすること、ありますよね。そういった言葉をとにかくたくさん書き写して、膨大な量の言葉を見ているうちに、曖昧だった仮説も確信に変わりました。心を動かす言葉に法則を見つけたんです。それからは、数々の広告賞も頂けるようになりました」

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コピーライター直伝 心を動かす「言葉の法則」

佐々木さんが見つけたという法則とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

「『考えるな、感じろ』(燃えよドラゴン)
『事件は会議室で起きているんじゃない! 現場で起きているんだ!』(踊る大捜査線)

このような、誰もが知っている名台詞を見ていて、“考える” と “感じる”、“会議室” と “現場” など、正反対のワードを組み込むと非常に印象的な言葉になることに気づきました。『伝え方が9割』では “ギャップ法” という技術名で紹介しています。

ほかにも、『これは私の勝利ではない。あなたの勝利だ』(オバマ元大統領就任演説)なども、ギャップ法が用いられている有名な言葉ですね。本当に伝えたいのは “あなたの勝利だ” という部分なのですが、あえて “あなた” と反対の言葉である “私” を用いることによって強いギャップが生まれ、より効果的に “あなたの勝利だ” を伝えられるようになるのです。

もうひとつ紹介したいのが『サプライズ法』という技術。『あ』『そうだ』『びっくり』『ほら』など、驚いたときに発するワードを入れるだけで印象的な言葉になります。『そうだ 京都、行こう。』(JR東海)や『あ、小林製薬』が有名な例ですね。

『そうだ 京都、行こう。』は、『そうだ』がなければ、ただの『京都、行こう。』ですし、『あ、小林製薬』も、『あ、』がなければ『小林製薬』と企業名しか残りませんよね。

これらのコピーは、驚きのワードがなければ非常にシンプルな言葉になってしまいますが、サプライズワードを入れるだけで、一気にインパクトが生まれるんです。皆さんもすぐに試せる方法だと思いますよ」

優れたアイデアは誰でも生み出せる

企画を考えようとしても行き詰まってしまう……。平凡なアイデアしか生み出せない……。そんな悩みを抱えている方も多いはず。この現状から脱するにはどうすればいいのでしょうか。

「ずっと机に向かってアイデアを考えていても、いいものはなかなかできません。行き詰まったら場所を変えるのが効果的だと思います。ちなみに私は、ノートを持ってランニングをしながら考えています。頭の中に流れる血液が増えて、いつも良いアイデアが浮かぶんです。走るのが苦手ならば、歩きながら考えるのもおすすめですよ」

そして、アイデアの作り方にもコツがあるのだと、佐々木さんは言います。

アイデアを作るには、『いいアイデアをたくさん見ること』『なぜそのアイデアがいいか考えること』『自分のアイデアを出すときに、ひとつではなく量をたくさん出すこと』の3つが大切です。この3つを心がけるだけで、今までにない新しいアイデアを生み出しやすくなりますよ。

特に3つ目に関して言えば、若い人はアイデアをひとつしか出さない人が比較的多い。でも、1個目でいいものが出る可能性って、じつはとても低いんですね。自分で『これがいいだろう』と決めてしまうのではなく、まずはアイデアをたくさん出してみること。そのあと、チームメンバーや上司に優れたものを選んでもらうという形を取れば、最終的に “いいアイデア” が炙り出されてくるのではないでしょうか」

このように、心を動かす言葉の法則やアイデアの作り方を発見した佐々木さんは、現在に至っても日々、上手な伝え方を探しているのだと言います。

「例えば先日、紙パックの豆乳飲料を飲んだ際、飲み終わってパックをたたもうとしたら『たたんでくれてありがとう』と書いてありました。たたまなければ決して見えない場所に。日常生活の中でそういうすてきな伝え方に出会うと嬉しくなりますし、私自身のアイデアの源にもなっているように感じています

【プロフィール】
佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター。
上智大学大学院を卒業後、株式会社博報堂入社。伝説のクリエイター、リー・クロウ率いる、米国TBWAを経て、2014年クリエイティブ ブティック「ウゴカス」を設立。日本人初、米国の広告賞「One Show Design」で金賞を獲得。カンヌ国際クリエイティブアワードにて計6つのライオンを獲得し、国内外で合計55のアワードを受賞。著書『伝え方が9割』はビジネス書ランキング年間1位(紀伊國屋書店新宿本店調)シリーズ127万部突破。「世界一受けたい授業」「情熱大陸」などTV出演多数。日本のコミュニケーション能力をベースアップさせることを、ライフワークとしている。

【佐々木圭一さん 講座のお知らせ】
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「コピーライティング集中講座 第3期 10/2(火)〜」申し込み受付中!
一番の人気ポイントは、ご自身(自社商品)のコピーを、
講座中につくれてしまうこと。受講者の方が考えたコピーに対して、
佐々木本人が、直接フィードバックして完成させます。
https://www.ugokasu.co.jp/copywriting/
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人気コピーライターとして活躍する佐々木さんにも伝えベタだった過去があるとは驚きですね。「ギャップ法」や「サプライズ法」を実践してみたくなった方も多いのではないでしょうか。

良い言葉、良いアイデアは作れます。佐々木さんの教えをヒントに、ぜひ今日からの仕事に役立てていきたいものですね。

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