あなたが「不安」を手放せない2つの理由。不安を消せると言われる “あの方法” が実は間違っていた

秋山ジョー賢司さん「あなたが不安を手放せない2つの理由」01

「先が見えない」「不安定」と言われる現代社会、多くの人が「不安」を抱えながら生きていると思います。では、そもそも「不安」とはいったいどのようなものなのでしょうか。そして、どうすれば不安を手放すことができるのでしょうか

行動心理学、解剖生理学、生態学、マーケティング、コーチングなど多分野の知見をもつエグゼクティブ・コーチである、秋山ジョー賢司(あきやま・じょー・けんじ)さんに詳しく解説いただきました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

不安とは、「自分がつくり出したマイナスのイメージ」

「不安」とは、自分がつくり出したマイナスのイメージだと私は考えます。

実は、私たちがそのようなマイナスイメージをもつのには、理由があります。それは、生き物としての危機管理能力となりうるものだからです。知らない場所に行く際に、まったく不安をもたないままだったらどうなるでしょう? 危険な人がいるかもしれませんし、危険な生物に襲われてしまうかもしれません。不安をもたないまま突き進むと、その先では「死」が訪れる可能性が高まってしまいます。ですから、「不安」は、本来的に人間に備わっているものだと考えるべきです。

そんな不安というマイナスのイメージには、なかなか消せないという特徴があります。なぜなら、私たちは「不安は悪いもの」だと考えがちだからです。

不安を感じた、不安は悪いものだ、だから消さなければならない——。そう考えると、「悪いものである不安を消せない自分は駄目な人間だ……」「駄目な私は、この先にいい人生を歩めないかもしれない……」といった考えにも至ります。そうして、不安を消すどころか、逆にどんどん増幅させてしまうのです。

あるいは、不安を消せないもうひとつの理由として、世のなかでよく言われる不安を消す方法が間違っていることもあります。

その方法とは、「不安の理由を探す」というもの。「不安になる理由を見つけることができたら、不安を消すことができる」なんて言われますが、それは完全な間違いだと思います。

「どうして私は不安になるんだろう?」と考え続けることは、頭のなかでマイナスのイメージを継続的に見続けているようなものですよね。それでは、やはり不安を増幅させてしまうでしょう。

秋山ジョー賢司さん「あなたが不安を手放せない2つの理由」02

 

「私は不安だ」ではなく、「私は不安になっている」ととらえる

では、どうすれば不安を消すことができるのでしょうか? ひとつの方法は、先に触れた「不安は悪いもの」という誤解を解いてあげることです。不安は、生き物がもつ危機管理能力として私たちに備わっているもの。ですから、不安は「悪いもの」どころか、むしろ「いいもの」と言ってもいいでしょう。

そのことを知っておくだけでも、不安のとらえ方はずいぶんと変わってきます。「私は不安を感じている」「でもこれは悪いことではないぞ」と考えられ、不安を受け止めることができるはずです。

それから、「私は不安だ」という言い方やとらえ方を変えましょう。「私は不安だ」と言うと、「私という変えられない存在=不安」だととらえることになるため、不安を消すことが難しくなります。

不安とは、「状態」を表す言葉です。つまり、「私は不安になっている」と言うのが正しいのです。不安がただの「状態」だととらえることができれば、不安に対する認識も変わるのではないでしょうか。

温かいコーヒーもあれば冷たいコーヒーもあるように状態は変えられますから、「私の不安な状態も変えられる」と考えられ、不安から脱することにつながるのです。

秋山ジョー賢司さん「あなたが不安を手放せない2つの理由」03

不安を感じる条件は、「望み」をもっていること

そして、未来に対していいイメージをもつことも考えてください。今は、「先が見えなくて不安な時代」と言われますが、どうせ先が見えないのならそこからマイナスのイメージばかりをつくるのではなく、希望に満ちたプラスのイメージをつくってみてもいいのではないでしょうか。

実は、私たちが不安を感じるためには、ひとつの条件があります。その条件とは、「望み」をもっていることです。「私は生きたい」という望みをもっているから、「死ぬことが怖い」と不安を感じるわけです。

みなさんも、もし不安を感じているのなら、その裏にある望みのほうにフォーカスしてみてください。「資格試験に合格したい」という望みがあるから、「不合格になったらどうしよう」と不安を感じるように、みなさんはそれぞれに望みをもっているのです。

自分の人生に対してなんらかの「望みをもっている人」と「望みをもっていない人」のどちらになりたいですか? そして、どちらがより充実した人生を歩めるでしょうか?

そのように考えると、不安を感じたときにも、「それは私が望みをもっているからだ」と不安を受け止められます。たとえ不安を消し去ることはできなくとも、不安に飲み込まれるようなことはなくなるでしょう。

秋山ジョー賢司さん「あなたが不安を手放せない2つの理由」04

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  • 作者:秋山ジョー賢司
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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【プロフィール】
秋山ジョー賢司(あきやま・じょー・けんじ)
1967年生まれ、東京都出身。エグゼクティブ・コーチ。経営者を中心に、元プロアスリート、能楽師など、業界の第一線で活躍するエグゼクティブらに向けて、ハイパフォーマンスを発揮するためのマインドセットを指導する。行動心理学、解剖生理学、生態学、マーケティング、コーチング、NLPなどを習得し、20年の歳月を費やし開発した「コアマインドプログラム」は、劇的な変化をもたらした受講者の強い支持を受け、受講希望者があとを絶たない。また、同氏の人気番組Podcast『経営者のマインドサプリ』は、累計500万ダウンロードを突破している。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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