暗記に最適な勉強のスケジュールをご提案! 科学的根拠あり「効率よく記憶できる時間帯」

暗記に最適な勉強スケジュール01

「毎日勉強しているのに、単語や専門知識などがなかなか覚えられない」
「いつ暗記をすれば効率良く記憶できるのか知りたい」

そんなあなたに向けて、この記事では、脳科学の研究者や記憶のプロたちが断言する「記憶に最適なタイミング」をご紹介します。さらに、それを踏まえて「暗記の成果が出やすい1日の勉強スケジュール」をご提案! 

学生はもちろん、忙しいなか勉強に励むビジネスパーソンでも、無理なく効率的に暗記ができるようになる勉強時間の選び方について、解説していきましょう。

暗記におすすめの時間帯1. 就寝前

効率よく暗記したいなら、絶対に欠かせないのが就寝前の勉強です。ドイツのリューベック大学が発表した研究結果によれば、覚えたことを忘れないためには、覚えた後にすぐ寝るのがよいとのこと。

脳内では、覚えたての記憶はすぐには定着せず、ひとまず海馬に蓄えられます。蓄えられた記憶が脳の“ハードディスクドライブ”である大脳新皮質へ移ると、長く残る記憶として定着。なにかを覚えたあとにすぐ寝ると、この一連の流れが一晩のうちにスムーズにおこなわれるのだそうです。

脳研究者で東京大学薬学部教授の池谷裕二氏も、この睡眠前の暗記を推奨しています。池谷氏いわく、暗記をしたら「忘れないようにとにかくすぐ寝る」のが鉄則。勉強したあとは、スマートフォンやテレビを楽しみたくなるかもしれませんが、我慢して控えましょう。余計な情報が入ってきて記憶が上書きされてしまいます。

就寝前は記憶のゴールデンタイムです。勉強するなら、まずは寝る前の暗記作業を習慣にしましょう。

暗記に最適な勉強スケジュール02

暗記におすすめの時間帯2. 早朝

起きてすぐの早朝も、記憶効率を高めるうえで重要な時間帯です。脳科学者の茂木健一郎氏によれば、朝の脳は睡眠によって前日の記憶が整理されていて、1日の中で最も冴えているのだそう。

そんな早朝には、まず、前夜に暗記したことを復習するとよいでしょう。『記憶する技術』ほか多くの著作がある弁護士の伊藤真氏いわく、前夜覚えたものと同じ内容を翌朝に復習すると、より記憶が定着しやすくなるとのこと。新しい知識をインプットするなら、復習のあとにすべきだと言います。

これには、記憶の保持率が関係しています。精神科医で受験アドバイザーの和田秀樹氏によると、人の脳は暗記してから9時間経つと記憶の保持率が急激に下がるため、暗記したことは9時間以内に復習するとよいのだそう。

前日の就寝前に暗記したことを早朝に復習すれば、覚えたいことを確実に記憶できます。早朝の勉強はまず前の晩の復習から始めましょう。また、クリアな朝の脳は新しい記憶を取り入れるのにも適しているので、復習のあとは新たな暗記物に取り組むのもおすすめです。

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暗記におすすめの時間帯3. 昼寝のあと

もし昼休みに暗記系の勉強するのであれば、昼寝のあとをおすすめします。なぜなら、午前中の仕事・学業により疲れた脳をいったんリセットさせたほうが、より記憶しやすくなるから。

前出の茂木氏いわく、脳の働きは朝にピークを迎えたあと、日中の活動で多くの情報を処理することにより段々とパフォーマンスが落ちていきます。その原因は「ワーキングメモリ」が情報過多になってしまうため。

ワーキングメモリとは、脳が作業や動作に必要な情報を一時的に記憶し、処理する能力のこと。主に前頭前野がその働きを担います。早稲田大学教授で脳科学者の枝川義邦氏によれば、朝から仕事や勉強をしていると、昼過ぎにはワーキングメモリが情報であふれ、前頭前野の機能が低下してしまうのだそう。この状態では、新たな情報を記憶することはできません。そのようなときに、前頭前野を休ませてワーキングメモリをリセットできる効果的な手段が、昼寝なのだと枝川氏は言います。

とはいえ、長時間の昼寝はNGです。世界記憶力選手権で日本人初の「記憶力のグランドマスター」の称号を得た池田義博氏が言うには、脳をリフレッシュさせるための昼寝は、15~30分が効果的。それ以上寝ると、かえって疲労を増加させてしまうそうです。

それから、昼寝は食事のあとに行ないましょう。横浜市立大学附属病院副病院長の寺内康夫氏によれば、食後は全身の血液が胃腸に集まり、脳への血流量が一時的に不足するため、眠くなってしまいます。眠くては勉強どころではありませんからね。

ここまでの解説を踏まえ、昼休みは「まず食事→昼寝で脳をリフレッシュ→暗記物の勉強」の順で時間を使いましょう。枝川氏いわく、昼寝ができないなら何も考えずにボーっとして過ごすだけでもいいそうですよ。情報であふれた脳にさらに情報を詰め込もうとしても、記憶はできません。昼休みは勉強の前の仮眠を習慣にしてください。

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暗記におすすめの時間帯4. 夕食前の空腹時

お腹が空いているときも、記憶に適した時間帯です。研究により、満腹状態のときよりも空腹を感じているときのほうが記憶力が高いことが明らかになっているのです。

英スウォンジー大学医学部准教授のジェフリー・デイビース氏は過去の研究結果から、空腹感をもたらすグレリンというホルモンが記憶機能を強化する、と話しています。また、東京都医学総合研究所が2013年に発表した研究成果によれば、空腹時に血糖値が下がってインスリンの分泌量が減ると、記憶が定着しやすいとのこと。インスリンによって抑制されていたCRTCというタンパク質の一種が、空腹状態になることで活性化し記憶力が上がるのだそうです。

そんな空腹状態で最も効果的に勉強できる時間帯は夕食前です。早朝の勉強がよいことは前述の通りですが、あまり長い時間はかけられませんよね。昼食前は脳の機能が低下していますし、ビジネスパーソンの昼休みは限られています。そこで、まとまった時間がとれるうえに空腹状態の利点を生かせるのが夕食前だというわけです。

筆者が夕食前の暗記法としておすすめしたいのは、夕食の時間を少し遅らせて、家族や友人に口頭でテストをしてもらうという方法です。教育者・教育評論家の石田勝紀氏いわく、記憶力がいい人にはおしゃべりな人が多いのだそう。講義で学んだ内容の記憶の定着率が、講義をただ聞いただけの場合はたった5%だったのに対し、グループ討議では50%、ほかの人に教えた場合は90%もあったという、アメリカの調査機関によるデータもあるのだと言います。

そこで、仕事が終わったら、食事の前に友人や家族に参考書を渡して、口頭で問題を出してもらいましょう。「これは今朝暗記したから覚えてた!」「そのあたりは苦手なんだよね……」などと、暗記した内容を話してみてください。石田氏いわく、感情を伴うことも記憶の強化には効果的なので、楽しんだり悔しがったりしながら話せば、より記憶が定着しやすくなるでしょう。

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効率よく記憶できる、1日の勉強スケジュールをご提案!

では、以上の解説を踏まえて、「暗記の成果が出やすい1日の勉強スケジュール」をご提案します。ビジネスパーソンが平日に暗記のための勉強をすることを想定し、効率よく記憶ができる勉強のスケジュールを円グラフにしました。

青い部分が暗記するのに最適な時間。緑の部分が暗記の効率に影響する時間。黄色はビジネスパーソンの生活上の行動です。

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暗記タイム1の「就寝前」は、記憶のゴールデンタイムです。睡眠時間を削らずに済むように、早めに勉強を始めましょう。グラフでは30分となっていますが、もっと長くてもOKです。逆に、使える時間がたった5分間しかないという場合でも、継続すれば暗記できる量は莫大なものになります。短時間でもぜひ参考書や単語帳をめくりましょう。

暗記タイム2の「早朝」では、前夜に覚えたことを復習します。時間に余裕があれば、ほかのことを暗記してもよいでしょう。

暗記タイム3は「昼寝のあと」です。昼休みには、食事と仮眠をきちんと済ませてから勉強を始めてください。

仕事が終わったら、なるべく早めに「夕食前」の暗記タイム4に入れるようにしましょう。ここは社会人が唯一まとまった勉強時間を確保できる時間帯ですし、夕食があまり遅くなると寝る時間も遅くなりかねないので、帰路の時間をなるべく短くするのが大切。友人と勉強するならカフェなどに、そうでなければ自宅にまっすぐ向かってください。そして、家族や友人に問題を出してもらいながら勉強しましょう。一人暮らしであれば、友人などとオンラインでつなぎ問題を出してもらうのもよいですね。

今回はビジネスパーソンの平日のスケジュールを想定しましたが、円グラフの緑と青の部分をしっかり押さえれば、休日の暗記スケジュールも組みやすいはずです。働き方が違う人や学生でも、この円グラフをベースにすれば、効率の良い暗記スケジュールが組めますよ。

***
平日の忙しいビジネスパーソンでも、脳の疲労軽減や記憶力アップのために生活習慣を整えることで、暗記の効率は高められます。睡眠時間を削ったり食事を抜いたりしてやみくもに勉強する必要はないのです。今回提案した暗記スケジュールを実践すれば、以前よりも暗記が得意な人になれるはず。ぜひお試しください。 

(参考)
AFPBB News|記憶定着には「すぐ睡眠」が効果的、独研究
プレジデントオンライン|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー
株式会社日立ソリューションズ|忙しいビジネスマンへ!絶対に挫折しない!和田式オトナの勉強術 Chapter 7 効果や知識の定着 忘れない脳をつくる和田式「暗記術」
PHP Online 衆知|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方
NIKKEI STYLE|記憶力が今すぐアップ 効果絶大の4つのコツ
株式会社日立ソリューションズ|忙しいビジネスマンへ!絶対に挫折しない!和田式オトナの勉強術 Chapter08 効果や知識の定着  繰り返しを重視せよ「復習のススメ」
PHP Online 衆知|脳科学者が教える「記憶の作業台」の整理法
LITALICO発達ナビ|ワーキングメモリとは?生活に不可欠な役割、発達障害との関係、調べ方、対処法をご紹介!
ダイヤモンド・オンライン|脳が働く最強の時間帯は2つある
クロワッサン オンライン|Vol.58 食事の後、眠くてしかたありません。【40歳からのからだ塾WEB版】
Swansea University|Research finds effects of calorie restriction on the brain may help promote healthy ageing and combat neurodegenerative disease
Hornsby, Amanda K.E., Yushi T. Redhead, Daniel J. Rees, Michael S.G. Ratcliff, Alex Reichenbach, Timothy Wells, Lewis Francis, Katia Amstalden, Zane B. Andrews and Jeffrey S. Davies (2016), “Short-term calorie restriction enhances adult hippocampal neurogenesis and remote fear memory in a Ghsr-dependent manner,” Psychoneuroendocrinology, Vol. 63, pp.198-207.
国立研究開発法人科学技術振興機構|空腹状態になると記憶力があがる仕組みを発見
東洋経済オンライン|記憶力がいい子は「3つの技術」を使っている

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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