「いつもタスクがごちゃごちゃして、仕事中にストレスを感じる」「仕事のアイデアが浮かんでも、ついメモを忘れてしまう」
こんなお悩みをおもちなら、「京大式カード」を試してみませんか?
アナログな情報管理法ですが、アナログだからこそ、すっきりタスク管理ができたり、アイデアをさっと記録したりできる優れものなのです。本記事では、実践例を交えながら、京大式カードを仕事で活用する方法をご紹介します。
京大式カードとは?
「京大式カード」とは、元京都大学教授で民俗学者であった故・梅棹忠夫氏が発案した情報整理術です。
B6サイズのカードに情報を書いて整理する方法で、同氏が著書『知的生産の技術』のなかで紹介したことから広まりました。*1
単語帳よりは大きく、学習ノートよりは小さいB6サイズは、文字だけでなく図やイラストを書き込めるうえ、持ち運びにも最適です。また、カードなので、並べ変えも簡単にできますね。
京大式カードを仕事に使うメリット
これまでも、STUDY HACKERでは京大式カードを使った学習法などをご紹介してきましたが *2、今回は仕事に使う方法をご紹介します。というのも、京大式カードを仕事に使うと、さまざまなメリットがあるからです。
思考の整理に最適
タスク管理をするとき、紙にToDoリストを書き出すという方法をとっている方も多いのではないでしょうか。しかし、終わったタスクにチェックをつけていくと、まだやっていない項目と完了した項目が入り混じり、見にくい状態になります。
脳内科医の加藤俊徳氏によると、日頃から頭のなかの整理整頓が苦手だと感じている人は特に、ToDoリストがやる順番に書かれていないとかえって混乱しやすくなると語っています。*3
未完了の項目だけ残して整理できれば、視覚的にもすっきりし、仕事が進めやすくなります。そこで加藤氏は、ToDoリストならぬ「ToDoカード」を提案しています。*3
これは、カード1枚にタスクをひとつだけ書くルールで、本日行なう仕事のタスクを思いつく順で書くというもの。書き終わったカードを机に並べ、やる順に並べ替えます。*3
これはまさに京大式カードと同じ手法。紙ではなく、カードでタスクを整理することで、自分がやるべきタスクを把握しやすくなるのです。
アイデア出しがはかどる
京大式カードは、アイデアを出し、整理するのにも最適です。
アイデアを出すとき、ノートに書き出している方も多いと思います。ただ、ノートの場合、書いたものを並べ替えたり、アイデア同士をまとめたりする作業はやりにくいものです。
その点、カードであれば自由自在にアイデアを整理することができるのです。また、どんなシチュエーションでも手軽に書けるのもポイント。
公立諏訪東京理科大学教授で脳科学者の篠原菊紀氏によると、「『ひらめき』と関わるのが『デフォルト・モード・ネットワーク』という神経活動」で、「ぼんやりしているとき、お風呂に入っているとき、散歩しているときなどに活性化することがわかって」いるそうです。*4
ほかにも、トイレに行く、水回りの掃除をする、料理をする、といったシチュエーションでもひらめきやすくなると述べています。*4
このようなとき、ノートを広げるのは大変ですし、スマホでアプリを立ち上げるのもひと手間かかりますよね。カードであれば、その場に常備しておいて、思いついたらさっと書き始められるので、アイデアを逃さずにいられます。
京大式カードを使ってToDoリストをつくってみた
今回は、京大式カードで仕事のタスク管理を試してみました。B5のコピー用紙を半分に切ってB6サイズにし、使用しました。ちなみに、百円均一や文房具店で「情報カード」という名前で販売されていることもあります。
本日のタスクを、1枚につきひとつ、思いつくままに記入します。
B6と紙が大きめなので、そのタスクを行なうときに気をつけるべきことも一緒にメモしておけます。
やる順番に並べ替え、作業を始めます。カードなので、一度並べ替えても、あとから簡単に順番を入れ替えられるのがとても楽でした。
終わったタスクはよけておきます。ひとつ作業が終わるごとに、1枚カードが減っていくのが目に見えるので、とても達成感があり、いつも以上に作業がはかどりました。
京大式カードでタスク管理をすると、目の前の作業に集中できる!
京大式カードをタスク管理に使用した結果、いま目の前にあるタスクへの集中力がぐっと増したのを感じました。
ToDoリストが常に整理されていて、やるべき順番に並んでいることで、「次はなにをしよう」と迷うことがなくなったからだと思います。
ToDoリストは、最初につくったものがずっと変わらないということはなく、業務のあいだに優先順位が入れ替わったり、差し込みで別のタスクが発生したりすることがあります。
京大式カードなら、臨機応変に順番を入れ替えたりカードを追加したりできるので、ごちゃごちゃすることがありません。常にやるべきことがやるべき順番で並んでいるというのは、視覚的なノイズがなく、思った以上にストレスフリーな状態で仕事に取り組めるのだとわかりました。
また、作業中に思いついたことやメモしておきたいことが出てくることがあります。
京大式カードはB6サイズと、よく使うメモ帳より大きめのサイズのため、簡単にメモを書いたり、イラストや図を書いたりすることができるのが便利でした。
筆者は、情報カードを入手できず、代用としてコピー用紙を使いましたが、もしアイデア出しのために使用するのであれば、やはり厚みのあるカードを使うべきかもしれない、と思いました。
今回のように、タスク管理として使用するなら、その日のうちに捨ててしまうためコピー用紙でも十分です。
しかし、アイデア出しに使うのであれば、保管しておきたい場合もあると思います。そのようなときは、コピー用紙だとよれやすいため、厚みのあるカードを使用するほうがよさそうです。
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京大式カードを使えば、タスク管理やアイデア出しがはかどりますよ。いつもの方法とは違うものを試してみたいと思ったら、本記事を参考に試してみてくださいね。
*1 ITメディア|元祖ライフハック! 梅棹忠夫の京大カードは現代でも通じるか
*2 STUDY HACKER|再評価!京大式カード:現代の資格試験勉強に効く伝統の学習法
*3 脳の学校|第245号 脳の整理整頓~頭のゴチャゴチャを整理しよう~
*4 日本経済新聞|「ひらめき脳」は「居眠り」と「ながら」で作られる?
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。