「まったく勉強が頭に入らない!」そのとき、やっていいこと・ダメなこと。

魔の時間にやってはいけないこと・やるべきこと01

なぜか勉強内容が頭に入らない。いくらテキストを読んでも理解できない……。

こうした勉強の “魔の時間” に陥ってしまったときは、気合いや精神論に頼らず、合理的なやり方で対処することが大切。勉強内容が難しすぎるのか、脳が疲れているのか――状況や困り事に合わせた4つの打開策をご紹介しましょう。

内容が難しすぎるなら「× インプットし続ける」⇒「◎ アウトプットに力を入れる」

テキストや本の内容が難しく、頭に入らない……。そんなときは、文章を何度も読むなどの「インプット」に注力するのではなく、自分の言葉を使って「アウトプット」したほうが、理解が早まるかもしれません。

特にファインマンテクニックは、効果的なアウトプット型学習法のひとつ。ある概念についてテキストなどをなるべく参照せずに、自分の言葉で説明を書き出すという方法です。

複雑なアイデアをほかの人へシンプルに伝えることから「偉大な説明者」とも呼ばれていた、ノーベル賞を受賞した物理学者のリチャード・ファインマン氏にちなんで名づけられました。

学習法などに関する著作家のトーマス・フランク氏は、ファインマンテクニックの実践手順を、以下のように紹介しています。

  1. 紙の上部に、理解したい概念をひとつ書く。
  2. 他人に教えるような要領で、その概念についての説明を書く。
  3. 知識が不足していて書けない箇所があれば、テキストなどを見て理解を深めたうえで説明を書く。
  4. 専門用語や難しい言葉で説明した箇所があれば、より単純な言葉で書き直す。

学習中の概念をファインマンテクニックでアウトプットしていくと、自分の言葉に落とし込む過程で理解が進むのに加え、「自分がまだ何を理解できていないのか」も明確にできるそう。

以下が、ファインマンテクニックで勉強した紙面の様子です。歴史の学び直しをしているというライターが、「大宝律令」について上記の手順で書き出しました。(詳しくは『本当に理解できる勉強法「ファインマンテクニック」が効果的。やっぱり丸暗記は無意味だった』を参照)

魔の時間にやってはいけないこと・やるべきこと02

(画像引用元:STUDY HACKER|本当に理解できる勉強法「ファインマンテクニック」が効果的。やっぱり丸暗記は無意味だった

この例では、黒字部分が「人に説明するつもりで書いた箇所(手順2)」。赤字部分が「不足している知識を補った箇所(手順3)」。ここからさらに「単純な言葉に置き換える(手順4)」わけですが、この赤字部分を見るだけでも、いまどんな知識が足りないのかがよくわかりますよね。

内容が難しくて勉強が進まないときは、インプットからいったん離れ、その時点で覚えている情報をもとにアウトプットしてみましょう。やみくもにテキストを読み続けるよりもずっと勉強がはかどるはずです。

魔の時間にやってはいけないこと・やるべきこと03

 

勉強に飽きたなら「× 同じ科目を頑張る」⇒「◎ 別の科目に切り替える」

ある勉強に “飽き” を感じ、集中力や能率が下がっているときは、同じ内容を無理に勉強し続けようとせず、さっさと別の内容に切り替えてしまうことをおすすめします。

脳科学者の茂木健一郎氏によれば、脳は短時間しかひとつのことに集中できないそう。加えて、新しいこと・予測がつかないことを好む性質が脳にはあると言います。

したがって「飽きた」と感じたときは、その心の声に素直に従って、勉強内容をコロコロと変えていくのがよいのだとか。すると、常に新鮮な気持ちで勉強に取り組めるのです。

たとえば、資格試験の過去問を解くのに飽きたら、別の教養本を開いてみる。それにも飽きたら、識者のポッドキャストを聴いて勉強してみる。そうしてどんどん切り替えていけばいいのです。

「勉強=忍耐」という先入観にとらわれ、気の進まない科目を意地でもやり続けようとするのは時間のムダ。集中力が切れたときは、勉強内容を変えて気分も切り替えましょう。

魔の時間にやってはいけないこと・やるべきこと04

やる気が出ないなら「× 未知の内容に挑む」⇒「◎ 知っている内容を復習する」

なぜかやる気が出ず、勉強に身が入らない。そんな状態になったときは、作業療法士で脳に詳しい菅原洋平氏が提唱する「ハーフタスク」法が、ひとつの助けになるかもしれません。

菅原氏によれば、人間は未経験の課題や、結果が見えづらい課題を前にすると「無理だ」と感じ、やる気を失ってしまうとのこと。そこで力を発揮するのがハーフタスクの考え方です。

ハーフタスクとは「半分は経験済みのタスクである」こと。次の手順で進めます。

  1. いま直面している課題を細分化し、「経験済みのもの」と「未経験のもの」に振り分ける。
  2. 「やったことがあり、できるとわかっているもの」「やったことがなく難しそうなもの」1:1くらいになるように課題を調整。
  3. 「できるもの」を先にこなしてから、「初めてのもの」へ移る。

このようにすると、「できた!」という勢いのまま、難しそうな作業にもスムーズに取りかかれるのだそうです。

これを勉強にあてはめると、以下のような具合になるでしょう。

  • 問題集で勉強する場合
    解き方を知っている問題に取り組んでから、初めての問題を解く
  • 参考書で勉強する場合
    既習の単元の復習をしてから、新しい単元に入る
  • 読書をする場合
    知っている内容の章を先に読んでから、知らない内容の章に移る

前出の茂木氏によれば、達成感を得ると脳内に「ドーパミン」という報酬系物質が分泌され、やる気や集中力がより高まるそう。ハーフタスク法によって達成感を得ることは、このドーパミンの効用を享受できることにもつながるはずです。

やる気が出ないときは、「できた! これならもっとできる!」という実感をもてるよう、ハーフタスクの考え方に沿って勉強の難易度を調整してみてください。

魔の時間にやってはいけないこと・やるべきこと05

なぜか頭が働かないなら「× 無理して頑張る」⇒「◎ いったん昼寝する」

休日に朝から勉強していたら頭が回らなくなってきた。そんなとき、脳には疲労がたまっているのかもしれません。午後の早いうちに昼寝をして脳を休ませてあげるといいでしょう。

睡眠専門医の白濱龍太郎氏によれば、脳のパフォーマンスのピークは「起床から4時間後」。それ以後は右肩下がりに低下していくそうです。当然、集中力も作業能率も落ちることに……。

そのように鈍ってしまった脳の働きを回復させるには、「昼寝」というシンプルな方法が効果的。白濱氏は、たった15~20分程度寝るだけで充分頭がさえ、勉強のパフォーマンスが上がると述べています。

実際、短い昼寝の効果はたしかなもの。睡眠専門医の坪田聡氏によると、26分間の昼寝で認知能力が34%、注意力が54%向上したという研究結果が、NASAから出されているのだそうです。

なお昼寝をする際は、白濱氏・坪田氏が説く以下のポイントを心がけるとよいでしょう。

  • 昼寝に適した時間は「13時前後~15時」
    ……早めに寝ておけば、夜の睡眠を妨げない。

  • 昼寝の前にコーヒーを飲む
    ……コーヒーの香りでリラックスできる。ちょうど昼寝が終わる頃にカフェインの覚醒作用を得られる(カフェインが効くには20~30分かかる)。

  • 椅子に座った体勢で眠り、20分で起きる
    ……机に突っ伏す、背もたれに寄りかかるなど、横にならない姿勢であれば眠りが深くなりすぎずにすむ。

  • ネクタイやベルトをゆるめる
    ……身体を締めつけないことでリラックスできる。

上記のポイントを守ればスッキリと目が覚め、勉強疲れをリフレッシュできるはずです。

***
「どうしても勉強が頭に入らない!」と行き詰まったときは、上に述べた4つのアプローチによって打開を図りましょう。

(参考)
College Info Geek|How to Use the Feynman Technique to Learn Faster (With Examples)
茂木健一郎 (2017), 『膨大な仕事を一瞬でさばく瞬間集中脳』, すばる舎.
菅原洋平 (2016),『図解 脳のスゴい力を最大限に引き出す方法』, 日本文芸社.
東洋経済オンライン|「コーヒー後の昼寝」が脳を劇的に回復させる訳
ダイヤモンド・オンライン|NASAも認める「昼寝」の驚くべき効果
日経ビジネス|寝起きからシャキッと頭が冴える昼寝の長さは?

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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