インプットから「1しか得られない人」と「10も得られる人」の決定的違い。 “振り返り” できていますか?

インプットから学びを得る方法01

「せっかくセミナーに参加したのに、仕事で実践できなかった……」
「これまでの経験を新しい仕事に活かせずミスばかりしている……」
みなさんにも思い当たる節があるのではないでしょうか。

グロービス経営大学院経営研究科副研究科長の村尾佳子氏は、たとえ質の高いインプットをしたとしても、そのつど「振り返り」をしていなければ、仕事に活かせる気づきを見過ごしてしまうと指摘します。「振り返り」と聞くと、何かをインプットしたあとに、きっちり時間を設けて行なうものというイメージが強いかもしれません。しかし村尾氏によれば、それに限定せず、何かを経験している最中に、短い時間でもよいので自分が感じたことや考えたことを言語化することも含めて「振り返り」なのだとか。

ということは、振り返りを日々行ないながら仕事を進めているビジネスパーソンと、ただぼんやり時間が過ぎるのに任せているビジネスパーソンとでは、成果に差が出るのも当然。今回は、過去の経験やインプットしたことを確実に今後に活かすための「振り返り」の方法をご紹介しましょう。

1.「何を」振り返るのか

振り返りの目的を明確にする

漠然と振り返ったところで、効果は薄いでしょう。どんなテーマについて気づきを得たいのかを最初に明確化しないと、学びをうまく抽出できないからです。

たとえば、あるプロジェクトについて振り返るとき、目的を設定しなければ「まあまあうまくいったよね」というだけで終わってしまうかもしれません。しかし、「担当業務で繰り返し起こしている失敗をできる限り減らすため」という目的を設定して振り返りを行なえば、たとえうまくいったように見えていた事柄でも、さらに改善できるポイントがきっと見つかるはず。「結果的にはなんとかなったが、前提知識を周囲に共有できておらず連携がとれない場面があった」など、課題を見いだせれば、今後取り組む際に気をつけるべき点が明らかになってきます。

自分自身を層別に認識する

また、内省する際は、目に見える「行動」だけでなく、目には見えない「知識」「能力」「思考のクセや価値観」についても一緒に振り返ってみましょう

たとえば、プレゼンがうまくいかなかったとき、そのときの行動だけに注目すると「時間配分が足りなかった」「緊張して自信がなさそうな印象だった」といった点が挙げられます。しかし、それだけだとなぜそうなってしまったのか、具体的な原因はわかりません。

一方で、知識や能力、価値観のような見えない部分まで深掘りすれば、「関係者へのヒアリングが足りず現状を把握しきれていなかった」「わかりやすく伝えるための論理的思考力が足りなかった」といった課題を把握でき、改善すべき点が明確になります。

インプットから学びを得る方法02

2.「いつ」振り返るのか

振り返りは重要だと認識していても、それを習慣化するところまでできている人はそう多くないでしょう。そんなときは、「日単位」のみならず、「週単位」「月単位」「数ヶ月単位」「年単位」「数年単位」といった具合に、定期的に振り返るタイミングを決めておきましょう。

たとえば日単位なら、終業前の10分をその日の振り返りに使い、反省点などを挙げてみてください。また月単位であれば、自分が解決するべき中期的な課題や目標を月初に挙げておき、結果がどうだったか月末に振り返るというのもよいかもしれません。そうすれば、自然と振り返りの習慣が身につきますよ。

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3.「どこで」振り返るのか

「いつ」振り返るのかに加え、それを行なう場所もあらかじめ決めておくと、頭を「振り返りモード」にすぐ切り替えられます

たとえば、静かに集中できる自室やリラックスしながら考えられるバスルームなど、自分に合った振り返りの場所を見つけてみてください。また、日々のちょっとした振り返り以外にも、1年のうちにまとまった数日間、どこかひとりになれる場所へ出かけて長期的な目標に対する振り返りを行なうのもおすすめです。

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4.「誰と」振り返るのか

自分ひとりで振り返りをする機会が多いかもしれません。しかし、目的に応じて、誰かとともに振り返りを行なうと、より深い学びを得られる場合があります。

たとえば、直近で実施した企画について、先輩や上司と一緒に振り返りを行なうとしましょう。その際、もしかすると、自分とは異なった解釈が出てくるかもしれません。自分は「企画は大成功だった」と思っていても、先輩は「企画内容を詰めていく際に、本来の目的から逸れることが多くあった」、上司は「各部署間での調整がなかなかうまくいかなかった。最終的には合意をとったが、反対意見も出ていた」などと違う視点から考えている可能性もあります。

このように複数人で振り返りを行なうと、ほかの人の解釈から新たな気づき得られ、視野が広がるでしょう。あわせて、他人と意見を交わしながら振り返ると、そもそも自分の認識を他者に理解できるレベルで言語化しておく必要があり、有意義な振り返りとなる可能性が高まります。

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5.「どのように」振り返るのか

経験を意味づけ、学びを抽出し、一般化する

経験を振り返るプロセスで重要なことは、いくつかの経験から自分にとって共通の意味を引き出すことです。村尾氏は、経験したことを意識的につなぎ合わせ比較しながら、そこから自分の行動や考え方の癖を抽出することが大切だと伝えています。

たとえば、ある日には営業で数十件の電話をするも新規顧客開拓へなかなかつながらなかった一方で、別の日にはたった数件目で新規顧客を獲得できたとします。振り返りの際は、このような差が生まれたのはいったいどうしてなのか、何が影響を与えていたのかについて自分の行動を比較しながら振り返るべきです。

今回の件だと、最初は自社のサービスについてばかり話していたためすぐ断られてしまうことが多かったものの、相手が抱えている課題を聞き出すところから始めてみると成約率が伸びたというような傾向が見られるのかもしれません。こうしたことがわかれば、今後に活かせる可能性は高まるでしょう。

客観視しながら、可視化する

振り返りを頭のなかだけで行なうのは記憶に残りにくいため、おすすめしません。ぜひ紙とペンを用意して、経験したことをいくつかの要素に分解し、できれば定量的に評価してみてください。

村尾氏は、「正しい現状把握」→「課題点や成功要因の認識」→「今後取り組むべきことの明確化」の順に振り返りを行なうことをすすめています。たとえば、「今月は5件の新規顧客を獲得できた」→「営業電話を場当たり的に10件かけても成功率は0%だったが、ターゲットを絞り込んで10件かけてみるととりあえず話を聞いてもらえる確率が上がった」→「今度は、ターゲットに刺さりそうな具体的な企画を考えてもち込むようにしてみる」といった感じです。

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インプットしたことを今後に活かすためには、インプットしただけで終わらせず、過去の経験とひもづけて必ず「振り返り」を行なうようにしてみてください。

監修:グロービス経営大学院

(参考)
グロービス経営大学院(2014), 『グロービス流 ビジネス勉強力』, 東洋経済新報社.
GLOBIS知見録|毎日、寝る前に自分の「今日」を振り返る

【ライタープロフィール】
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