家でも快適に働ける人とそうでない人の違い。「気づいたらこんな時間…」が絶対NGなワケ

在宅ワークで燃え尽きないために01

新型コロナウイルスの影響で、家で仕事をする機会が増えたという人は多いはず。しかし、「満員電車に乗る必要がなくなった」「まわりが静かなので仕事がはかどるようになった」などポジティブな意見がある一方で、「生産性が下がってしまった」「生活リズムが狂ってしまった」といった悩みも尽きません。

在宅勤務で快適に仕事ができる人と、疲れたりやる気がなくなったりする人には、どんな違いがあるのでしょうか。また、在宅勤務で仕事の質が低下してしまった場合、どうすれば回復させられるのでしょうか

今回は、在宅勤務で注意するべき点取り入れるべき行動をご紹介します。

「気づいたら1日中働いていた」なんてことはありませんか?

無意識のうちに就業時間が伸びていませんか。意外かもしれませんが、在宅勤務の落とし穴のひとつは「働きすぎること」にあります。『リモートワークの達人』著者であるジェイソン・フリード氏とデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏いわく、在宅勤務の際に特に注意すべきは働きすぎて燃え尽きてしまうことなのだそう。

オフィス勤務であれば、始業時間までに職場に行き、就業時間になれば帰宅します。ときには残業することもありますが、「◯時までには帰りたいな」という目標を念頭にメリハリをつけて仕事に取り組むことが可能です。一方で在宅勤務の場合、それが難しいというデメリットが。仕事を終わらせる区切りが曖昧になってしまうのです。

仕事をしながら昼食をすませ、そのままだらだらと作業を続け、夜になってそろそろ仕事を終えようと思ったタイミングで気がかりなことを思い出し、同僚に連絡をとる――はっきりとした終わりがないからこそ、つい時間を超過してまで働いてしまいがち。1日や2日ならよいかもしれませんが、何日も続けば、疲れきってやる気が削がれ、燃え尽きてしまいかねません。

フリード氏とハンソン氏は、つい働きすぎてしまう人へのアドバイスとして、1日の終わりにその日の作業を振り返り、「1日分の働きをしたか?」と自分に問うことをおすすめしています。答えが「イエス」であれば、たとえキリの悪いところでも手を止めて「今日は1日分働いた」とすっきりした気持ちで仕事を終えられるでしょう。もしも答えが「ノー」ならば、その日は調子が悪かったということなので、自分自身に「なぜ仕事が進まなかったのか?」「それはなぜか?」と繰り返し質問するのがよいのだとか。

仕事がうまく進んだ日は気分よく終えられますし、調子が悪かったのであれば、その原因を自己分析して改善方法を考えるきっかけを得られます。続けていけば自然と自分のペースがつかめるようになり、在宅であってもオフィスにいるように切り替えられるようになるでしょう。

在宅ワークで燃え尽きないために02

睡眠時間は管理できていますか?

オフィスへ通勤していた頃に比べて、生活がだらけてしまっていませんか。通勤が不要になったぶん、始業時間ギリギリまで寝たり夜更かししたり……。在宅勤務の影響で生活リズムが変わり、睡眠時間が減ってしまっている人は要注意です。

アリゾナ大学、ペンシルベニア大学、コロンビア大学などの共同研究によると、睡眠時間と仕事の生産性は密接に関係しているとのこと。同研究では、22歳から60歳の成人1,007名が被験者となり、健康・職場の人間関係・金銭的ストレス・忙しさ・不安の度合い・うつ傾向・心配事・運動不足などの項目によって被験者それぞれの「生産性スコア」を算出したうえで、睡眠時間との関係性を調査しました。その結果、睡眠時間が短すぎたり長すぎたりすると生産性が下がることが判明。7〜8時間の睡眠時間が理想的のようです。

また、1日中家にいるため日の光をほとんど浴びないという人も要注意。昼間にあまり日光を浴びないと、体内リズムが崩れてしまうからです。朝起きたら、まずはカーテンを開けて日の光を浴びましょう。また、仕事を終わらせる時間を決め、遅くまでパソコン作業をするのも避けるべき。パソコンの強い光は「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌を抑制してしまうため、寝つきにくくなってしまいます。

仕事の生産性のためにも健康のためにも、睡眠時間の管理はしっかり行ないましょう。

在宅ワークで燃え尽きないために03

椅子やテーブルの配置は人間工学に基づいていますか?

作業環境も重要です。なかにはキッチンのテーブルやリビングのローテーブルで作業している人もいるかもしれませんが、フリード氏とハンソン氏いわく、人間工学的な視点を取り入れた快適な環境をつくることが在宅勤務のコツとのこと。なぜならば、椅子や机などの作業環境によって、気分や疲れ具合が変わってくるから。コーネル大学のアラン・ヘッジ教授が提唱する、人間工学に基づいた快適な座り姿勢とデスク環境をいくつかご紹介しましょう。

まず机は、キーボードやマウスに対して肘が90度に曲がっているのが理想的。腕の曲がりすぎや伸ばしすぎを防ぐために、椅子や机の高さを調整しましょう。次に椅子については、後ろに寄りかかりすぎたり前のめりになりすぎたりするのはNG。理想は100〜110度ほどで、背筋を床と垂直に伸ばすのではなく、若干後ろに傾けるのがよいのだとか。体にしっかり合う椅子を選ぶか、高さやリクライニングが調整できるものを選びましょう。また、前のめりになってパソコンを覗き込む姿勢は厳禁。パソコンを見るために首を曲げる必要がないのがベストです。

気分に応じて、いくつかの環境を使い分けるのもよいでしょう。人の体は、長時間同じ姿勢を保つようにはできていないため、場所や姿勢をときどき変えたほうがよいのです。心理学者のロバート・ビョーク氏によると、違う部屋に移動したり、図書館やカフェなどに行って環境を変えたりすることで、集中力も上がり、さらに記憶を呼び起こす能力も上がるのだとか。1日中家にいる場合でも、定期的に違う部屋に移動したり、姿勢を変えたりしましょう。

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在宅勤務時の働き方や作業環境などに気を配り、仕事効率を上げていきましょう。

(参考)
東洋経済Online|在宅で「働きすぎな人」が実はやっていないこと
Oxford Academic|Work Productivity Loss Associated with Sleep Duration, Insomnia Severity, Sleepiness, and Snoring
東洋経済Online|在宅勤務が招く3つの乱れを放置してはダメだ
T-PEC|朝日を浴びて体内時計をリセット
Cornell University Ergonomics Web|Ergonomic Guidelines for arranging a Computer Workstation - 10 steps for users
Wired|Everything You Thought You Knew About Learning Is Wrong

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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