「マイナス思考で頭が悪くなる」という衝撃。ネガティブでも結果を出すための勉強法3つ

机にカラダをあずけ、マイナス思考のスパイラルにハマっている女性

なんでもマイナスに考えていると、本当にそうなってしまうかもしれません。朝目覚めたとき、こう考えてはいないでしょうか。

「今日も勉強がはかどらなさそう……」
「今日のテストはきっとダメだな……」

これはいますぐやめましょう。マイナス思考で予測を立てると、気が滅入るだけでなく、脳の働きにも悪影響を与えるのだとか。今回は、ネガティブな人が勉強で結果を出すための3ステップを紹介します。

「マイナス思考」が頭を悪くする?

“認知の歪み” という思考パターンの研究を、精神科医のアーロン・ベック氏から引き継いだデビッド・D・バーンズ氏は、こう述べます――マイナスの気分は歪んだ考え方(認知の歪み)によって生み出される

この “認知の歪み” には10種類あります。少しでもミスがあれば「もうダメ、完璧に失敗だ(「白か黒」「0か100」)」などと考えたり、あるいは前回よりテストの点数が悪ければ「やっぱり」と思い、いい点数をとっても「どうせまぐれだ」と考えてしまったり。やたらにネガティブな可能性や、最悪の結果を予測しがちなパターンもあります。

これが脳の働きには大問題なのだそう。

『The Journals of Gerontology』で 2018年5月15日に公開された研究では、目覚めたときに「今日もストレスが多い日になりそう」などと予測すると、その日1日のワーキングメモリのパフォーマンスが低下するとわかったそうです。

ワーキングメモリとは、ある目的を達成する(目の前のタスクをこなす)ために必要な情報を一時的に保持・処理する脳機能のこと。ワーキングメモリがよく働く人は、頭の回転が速い傾向にあると言われています。つまり、ワーキングメモリのパフォーマンス低下は、頭の回転が悪くなることを意味するわけです。

それなら、常日頃からマイナス思考になってしまうネガティブな人は、いったいどうやって勉強を進めていけばいいのでしょう?

――意外なことに、VIP(要人)の仕事の進め方がいいお手本になるようです。

テキストを頭に乗せ「どうせダメだよ」とネガティブになっている

VIPはマイナス思考を操る?

ビジネス書作家・コラムニストの肩書きをもち、大手広告代理店に勤務している後田良輔氏は、気配りのプロフェッショナルとして数多くのVIPに対応してきたそうです。同氏によれば、成功を収めているVIPらは、マイナス思考の「利点」と「欠点」をうまくコントロールしているのだとか(※参考記事では「ネガティブ思考」と表現)

ネガティブな人は失敗するといつまでもクヨクヨ悩み、起こったことについて深掘りしがちですが、そうした思考には「改善につながる気づき」なども隠れているとのこと。これがマイナス思考の「利点」です。しかし、そこから悪いほうへ悪いほうへと目が向き、そのまま停滞してしまうこともしばしば。これがマイナス思考の「欠点」です。

一方、後田氏が知るVIPらは、「改善の余地はないか?」「このままで大丈夫か?」などと考えたあと、しっかり行動に移していくのだそう。つまり、マイナス思考の「利点」と「欠点」をうまくコントロールするコツとは、

マイナス思考で深く考えたら、気持ちを切り替えて、改善に向け行動する

こと。後田氏が3,000人のVIPを観察してわかったという「ネガティブ思考の切り替え方」を参考にしながら、ネガティブな人が勉強で結果を出すための3ステップを紹介しましょう。

外を見ながらネガティブ思考の切り替えを行っている男性

ネガティブな人が勉強で結果を出すための3ステップ

◎ ステップ1:「わからないこと」を文字にする

後田氏によると、成功しているVIPたちには、問題の事実関係などを書き出して「見える化」する習慣があるのだそう。それにより現状を俯瞰でき、やるべきことを客観的に考えられるからです。しかし、マイナス思考の人はこれができず、視野を狭くしたままクヨクヨと悩み続ける傾向にあるとのこと。そのため後田氏は、まず紙に書き出してみるようすすめています。

ちなみに、週3日アルバイトをしながら東大に合格したという布施川天馬氏は、「わからないところを、わかるようにすること」が勉強の本質だと考え、わからない部分を紙に書き出し「見える化」しているのだとか。

つまり、勉強でわからない部分を文字にすることは、客観性を失いがちなマイナス思考の欠点をうまくカバーしてくれるうえ、勉強法としても有効なのです。

わからないところを書き出している女性

◎ ステップ2:「何をすればよいか?」と自問

後田氏の言葉を参考にすると、たとえば「成績が上がらない、どうしよう」などと悩んでいても状況は改善しませんが、「成績を上げるためには何をすればよいか?」と自問すると前に進めるのだとか。

なぜならば、脳には質問の回答にふさわしい情報をかき集め、自動的に考え始める傾向があるからです。

じつは前出の布施川氏も “わからないところ” を紙に書き出したあと、今度は「何を勉強すれば “わかるようになる” のか」を考え、書き出しているとのこと。何をすべきか明確になれば、マイナス思考の人も気持ちが切り替わり、行動に移せるはずです。

ノートブックパソコンを膝に起き、勉強について自問する男性

◎ ステップ3:「できたこと」を細分化する

マイナス思考の人はなんでも悪い方向に考えやすく、「白か黒」「0か100」で物事を判断しがちなので、「〇〇科目がダメだった、もう全部ダメだ」などと思い込んでしまうことがあります。

だからこそ、成し遂げたことを見逃さず直視するためにも、「できたことの細分化」が必要なのだとか。

たとえば、勉強でしっかりと理解できた一部分、覚えられた単語、これだけはわかるという数式や文法など、細分化して浮き彫りになった「できたこと」を挙げていくわけです。教科書やノートに印をつけていくだけでもいいでしょう。

そうすれば、気持ちを少し前向きな方向に切り替えられるとのこと。勉強意欲も促進され、結果を出すための道のりを見通しよくしてくれるはずです。

***
うまくマイナス思考をコントロールして、勉強の成果に結びつけてくださいね。

(参考)
Wikipedia|認知の歪み
Oxford Academic|The Journals of Gerontology: Series B|Waking Up on the Wrong Side of the Bed: The Effects of Stress Anticipation on Working Memory in Daily Life
坪見博之(2020),「目的志向のワーキングメモリ」, 2020年度日本認知科学会第37回大会.
リクナビNEXTジャーナル|ネガティブ思考はこう断ち切る!成功者に学ぶネガティブ思考の切り替え方とは?
中途採用サポネット|生産性の高い人材育成に効果的!ワーキングメモリを鍛えるといい理由
東洋経済オンライン|「お金かけずに東大生」の勉強法が効率的すぎた

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