なぜ社会人こそ歴史を学び直すべきなのか。偉人エピソードに共感できたら「大人になった証」

ビジネスパーソンが歴史の学び直しをするべき理由01

キャリアアップやスキルを磨くための “大人の学び直し” が注目されている昨今。すべてのビジネスパーソンにすすめたいのが「歴史」の学び直しです

学生時代は、暗記科目としての印象が強かった歴史の授業。そのため、苦手意識を持つ人もいることでしょう。しかし、歴史の学び直しでは暗記に頭を悩ませる必要はないのです!

職種や業種を問わず、すべてのビジネスパーソンが歴史を学び直しすべき理由と、効果的な学習方法を説明しましょう。

「歴史の学び直し」が大人にこそ必要な3つの理由

なぜ、ビジネスパーソンに歴史の学び直しが必要なのでしょうか。その理由は、主に3つあります。

1つは、時事問題に対する理解が深まり、営業先の商談をスムーズにしたり、新たな企画でビジネスチャンスをつかんだりすることに役立つから。『ニュースの“なぜ?”は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問』の著者・茂木誠氏は、日々報じられるニュースの背景がわかり、問題の本質を捉えることができるといいます。

「アメリカの二大政党である、共和党と民主党はどう違うのか?」「イスラム教の二大宗派、スンナ派とシーア派は何が違うのか?」こういった「世界の常識」を知っておくと国際ニュースの「本質」が見えてきます。

(引用元:茂木誠(2015),『ニュースの“なぜ?”は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問』, SB新書.)

たとえば、2019年11月にローマカトリック教会のフランシスコ法王が長崎市を訪問することが報じられました。このように、ローマ教皇の言動は些細なことも含めてたびたび注目されます。歴史を知らないと「名前は聞いたことがあるけど、なぜここまで注目されるのか」思うしれません。しかし歴史を知っていると、次のような背景からローマ教皇の権威がいかに高いかということがわかります。

  • イエス処刑の30年後、使徒のペテロがローマの大火災の罪を着せられ処刑された
  • 313年、ミラノ勅令によってキリスト教が公認され、ペテロの墓を探し出された
  • “ペテロの上に教会を建てよ” というイエスの言葉に従い、サン・ピエトロ大聖堂を建立
  • ローマ教皇はペテロの後継者、イエスの代理人という位置づけで大聖堂を守っている

ビジネスパーソンが歴史の学び直しをするべき理由02

2つめの理由は、マーケティング市場の拡大や企業のグローバル化によって、さまざまな国籍や宗教観の人たちと関わる機会が増えたことです。

たとえば、世界最大手のガラスメーカー・AGC(旧:旭硝子)は多国籍企業として有名ですし、旅行業の近畿日本ツーリストはイスラム教徒が働きやすいよう礼拝室を用意しています。「自分の勤務先は日本人しかいないから関係ない」と思うかもしれませんが、今後こうしたグローバル企業と関わりを持つ可能性は否定できないでしょう。

3つめの理由として、世界史著作家・宇山卓栄氏は「歴史の知識は判断材料になる」といいます。

たとえば、あなたがリーダーとして達成が難しい課題にチームで挑むことになったときは、桶狭間の戦いで有名な織田信長のエピソードが役に立つかもしれません。織田信長は、2万5,000という圧倒的な兵力に2,000の兵力で挑むにあたり、いかに部下のモチベーションを保つか戦略を練ったのだそう。具体的には、信長は完全勝利を目標に定め、達成されたあかつきには「戦いに参加したもの全員が末代まで英雄として語り継がれる」と明確なリターンを部下に提示したとのこと。

このように、今後どうすればいいのか判断に迷ったときも、歴史の学び直しは役立ちます。

ビジネスパーソンが歴史の学び直しをするべき理由03

歴史の学び直しは「日本史A」「世界史A」の教科書をベースに

効率的に歴史の学び直をするならば「日本史A」と「世界史A」の教科書が最適だと、ジャーナリストの池上彰氏や元外交官の作家・佐藤優氏は述べます。理由は、分量がコンパクトで要点がわかりやすくまとめられており、ビジネスパーソンが時事問題を把握するうえで最も必要な近現代史に比重が置かれているためです。

まずは「日本史A」「世界史A」で基本と大まかな流れを押さえたうえで、あとは自分の興味や必要な分野を深く掘り下げていく方法が、いちばん効率的でしょう

(引用元:東洋経済オンライン|池上彰+佐藤優「最強の歴史学び直し」勉強法

特定の分野を掘り下げると、難しい専門用語も増えていきます。より詳しい説明が必要なときは、サブテキストとして山川出版社の『日本史用語集』や『世界史用語集』も活用するとよいそうですよ。

続いて、歴史を学び直しするためのコツも説明しましょう。

日本史と世界史の流れをリンクさせ、世界全体の流れをつかもう

日本では明治以降、日本史と世界史を別個のものとして教えるようになりました。『一気に同時読み! 世界史までわかる日本史』の著者で歴史作家の島崎晋氏によると、これは世界的に珍しい例なのだそうです。

しかし、これではグローバリズムな考えが浸透しにくいと島崎氏はいいます。つまり、歴史の学び直しすべき理由のひとつである「企業の多国籍化やさまざまな宗教観への対応」への十分な効果が期待できないということです。

現代では、世界の出来事はただちに世界各国に配信され、日本の諸産業にも影響することで、世界の中の日本ということが実感できる。情報の伝播に時間がかかった時代でも同じことで、日本は独自で歴史を積み重ねてきたものではなく、世界と連動していたのだ。

(引用元:島崎晋(2016),『一気に同時読み! 世界史までわかる日本史』, SB新書.)

歴史を学び直しする際は、日本史と世界史を切り離さず、つながりを把握することが大事なのですね。

書店では、日本史と世界史を同時に学べる書籍も数多く出ています。たとえば島崎氏の『一気に同時読み! 世界史までわかる日本史』は、日本史・ヨーロッパ史・中国史・イスラム史の年表を縦に並べて時系列を分かりやすくしたうえで、それぞれの主な出来事の詳細を紹介しています。河合敦氏の『いっきに!同時に!世界史もわかる日本史』も同様の構成で、イラストに手塚治虫氏の漫画を引用することで親しみやすくしており、おすすめです。

一気に同時読み!世界史までわかる日本史 (SB新書)

一気に同時読み!世界史までわかる日本史 (SB新書)

 
いっきに!  同時に!  世界史もわかる日本史 (じっぴコンパクト文庫)

いっきに! 同時に! 世界史もわかる日本史 (じっぴコンパクト文庫)

 

歴史を学ぶことで判断材料が増えるといいましたが、世界と日本の今を理解してこそだと島崎氏はいいます。それに、「足利尊氏が室町幕府を開いたころ、イギリスとフランスの間で百年戦争が始まった」といったつながりがわかると、よりいっそう、歴史の勉強が楽しくなりそうですね。

偉人たちの人物像について深く学ぶ

子どもの頃に学ぶ歴史は暗記の要素が強く、偉人たちの名前さえも記号のように暗記していたのではないでしょうか。しかし、歴史の学び直しを暗記で終わらせるのはもったいないですよ。

『2時間でおさらいできる日本史』の著者・石黒拡親氏は、偉人たちの人物像について深く学ぶこともすすめています。

小中学校のころにはわからなかった「人間のありよう」が、大人になった今ならわかるのだ。

(引用元:石黒拡親(2010),『2時間でおさらいできる日本史』, だいわ文庫.)

たとえば、エリザベスが王位を継承することを拒み続けたことで知られる、イングランド女王メアリー1世。なぜ彼女がエリザベスを拒み続けたのか、歴史を学んでみると、エリザベスの母(アン・ブーリン)の出現によって実母が追いやられ、自身もつらい目に遭わされてきたことによる憎しみの過去が見えてきます。

その後、イングランドの黄金期を築きあげた女王エリザベス1世は「私は国家と結婚した」という言葉を残したことで有名ですね。しかし、そんな彼女にも、政治にすべてをささげた女性というイメージの裏に叶わなかった幼馴染との恋があり、彼女はその幼馴染からもらったラブレターを生涯大切に保管したという話も残されています。

こうした偉人の側面に共感したり、理解を示したり、あるいは疑問を抱きながら学べるのは、さまざまな経験をしてきた大人の特権です。なかにはビジネスシーンで役立つ偉人のエピソードも。

たとえば、平清盛は大河ドラマなどでは悪役として描かれることが多いですが、じつは部下への心配りに長けていたのだそう。彼は、部下が失態を犯しても決して人前で叱ることはせず、人がいないところで丁寧に諭していたと伝えられています。このように、歴史上の人物からビジネスのヒントがもらえることもあるのですよ。

ビジネスパーソンが歴史の学び直しをするべき理由04

【おまけ】歴史の学び直しにおすすめの本

最後に、歴史の学び直しにおすすめの書籍を何冊か紹介しましょう。まずは世界史。前出の宇山氏おすすめの3冊です。

(042)世界史で読み解く現代ニュース (ポプラ新書)

(042)世界史で読み解く現代ニュース (ポプラ新書)

 
仕事に効く教養としての「世界史」

仕事に効く教養としての「世界史」

 
国家の盛衰 3000年の歴史に学ぶ(祥伝社新書)

国家の盛衰 3000年の歴史に学ぶ(祥伝社新書)

 

次は日本史。東京女学館大学国際教養学部専任講師・西弥生氏がすすめる、シリーズものの本たちです。

Story日本の歴史 増補版

Story日本の歴史 増補版

 
日本史へのいざない―考えながら学ぼう

日本史へのいざない―考えながら学ぼう

 
中世の神と仏 (日本史リブレット)

中世の神と仏 (日本史リブレット)

 

特定の分野を掘り下げたいときに、これらの書籍を手に取るのもよさそうですね。

***
時事問題の本質を捉えたい、知識や教養を高めて視野を広げたい……。そんなビジネスパーソンは、ぜひ歴史の学び直しを始めてみませんか?

文 / かのえかな

(参考)
茂木誠(2015),『ニュースの“なぜ?”は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問』, SB新書.
東洋経済オンライン|歴史を知識自慢で終わらせないための心得
リクナビNEXTジャーナル|仕事に役立つ「戦国武将」15の名言!織田信長・真田幸村から軍師・黒田官兵衛まで
東洋経済オンライン|池上彰+佐藤優「最強の歴史学び直し」勉強法
島崎晋(2016),『一気に同時読み! 世界史までわかる日本史』, SB新書.
石黒拡親(2010),『2時間でおさらいできる日本史』, だいわ文庫.
ダ・ヴィンチニュース|平清盛は部下ファーストの先駆者だった!? 日本史の偉人から学ぶ“一流の気くばり力”
プレジデント・ウーマン|「世界史&日本史」一生モノの教養を身につけられる18冊

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