「悪口ばかり言う人」とはまじめに関わる必要なし。同調すると脳が毒される。

ネガティブ感情は感染する

どこの職場にも、愚痴や妬み、悪口ばかりの集団はいるものです。そして皆さんのなかにも、心では「嫌だな」と思いつつ、自分がターゲットにされたり人間関係にトラブルが発生したりすることを恐れて、惰性で仕方なく関わり続けている……なんて人もいるのではないでしょうか?

多くの人が気づいているかもしれませんが、やはりネガティブな話題ばかりの人間とは距離を置くべきです。感情は感染することが脳科学的にも証明されており、なかでもネガティブな感情は強力な感染力を持っています。しかも、ネガティブな感情によってもたらされる脳内物質には麻薬のような中毒性があり、一度はまると、そこから抜け出せなくなる可能性もあるのだとか……。

対策について詳しく説明しましょう。

感情が伝染する原因は脳内の「ミラーニューロン」にあり

赤ちゃんの無邪気な笑顔を見ると嬉しい気持ちになったり、同僚が上司に怒られているのを見ると自分も落ち込んだり……。このように、感情によってもたらされる「空気感」が感染することは脳科学によって認められており、専門用語では「情動感染」と呼ばれています。これは、共感を起こす脳内の「ミラーニューロン」によるものです。

ミラーニューロンによる情動感染は、喜怒哀楽すべての感情によって起こります。しかし、トロント大学生命倫理学教授 ケリー・ボウマンによれば、ネガティブな感情が最も感染しやすいのだそう。愚痴ばかりいう同僚や、部下を怒鳴りつけてばかりの上司がいると、オフィスの雰囲気が悪くなるのもこのためです。

また、愚痴・妬み・悪口ばかりの人は、総じて過剰なストレスを抱えているもの。なんと、これらの他人のストレスも感染すると、脳神経外科医の菅原道仁氏はいいます。これは「セカンドハンド・ストレス(周囲から受けるストレス)」と呼ばれており、ストレスを感じている人を見るだけで、ストレスホルモンのコルチゾールが増加するという研究報告もあるのだそう。

「そういえば、悪口ばかりの同僚の話を聞いたあとはやたらと疲れる……」という経験を持つ人もいるはず。だからこそ、ネガティブなことばかり口にする人とは、距離を置くべきなのです。

ネガティブ感情は感染する02

どの職場でも悪口集団が発生する原因は「脳内麻薬」にあり

ネガティブな話題ばかりの悪口集団はどの職場でも存在し、ときに彼らの存在は猛威を振るいます。そのため、彼らの言葉に傷つき仕事に支障をきたす人も少なくありません。なぜ、悪口集団はここまで強大な力を持つのでしょうか。そこにも脳科学的な理由があります。

放射線医学総合研究所・高橋英彦主任研究員らの研究によると、妬みとそれに関連する他人の不幸は、脳内でドーパミンの分泌を促すのだそうです。ドーパミンは快楽物質や脳内麻薬とも呼ばれており、脳内で中毒を起こすことがあります。いわゆる「他人の不幸は蜜の味」は脳科学的にもありえるのです。

部下や同僚の失敗など、他人の不幸によってドーパミンが分泌されたら、そのままネガティブな引き金によって中毒性が増していきます。そのため悪口が快感になり、結果として悪口集団が猛威を振るっていくというわけです。

本来、ドーパミンは、成功体験のようなプラスの出来事で分泌されるもの。それがネガティブな理由によって分泌されてしまっては、キャリア形成やあなたに対する人物評価において、大いにマイナスになりえます。

ネガティブ感情は感染する03

ネガティブ感情を感染させる悪口集団と、どうやって付き合う?

ネガティブな話題ばかりの悪口集団との付き合いはデメリットだらけとわかっても、同じオフィスで働く以上、完全に付き合いを断ち切ることはできません。彼らの感情に感染せず、適度な距離で付き合うにはどうすれば良いのでしょうか?

公認心理士・産業カウンセラーの大美賀直子氏は、大前提として絶対に同調・同情しないことと述べます。今後も話を持ちかけられないようにするためです。ちょっと冷たいくらいの態度で「そうなんですか」などといって受け流すのがよいのだそう。あなたの冷静さが、相手を冷静にさせることにもつながると、大美賀氏はいいます。

また、タレントの中居正広氏は、話題を意図的に変えたり、悪口の対象をあえて援護したりするそうです。なかなかテクニカルですが、『察しない男 説明しない女』の著書でコミュニケーションの専門家・五百田達成氏は、これを高く評価しています。話の流れでなんとなく悪口に同調したとしても、周囲はそれがあなたの意志だととらえてしまうためです。

心理カウンセラーの植西聰氏は、悪口の対象を援護することには、周囲の空気を変えるメリットもあるといいます。

悪口に対して『違うんじゃないの?』という態度を取る人が1人でも出てくると、そちらについてくる人も出てきます。ですから、悪口を言われている側の肩を持つのは、場の空気を変えるためには有効な手段です

(引用元:NEWSポストセブン|中居正広が実践 他人の悪口に巻き込まれない方法が高評価

いきなり悪口の対象を援護するのが難しい場合は、「イエスバット型話法」を用いるとよいと植西氏はいいます。その名の通り、一度は「そうですね」と同調したうえで、「でも、こういうところもありますよね」とひっくり返す話法のことです。

たとえば、同僚たちが「上司のAさんは融通が利かない」といっていた場合。「Aさんは生真面目すぎるところがありますからね」と同調したうえで、「でも、仕事で絶対に手を抜かないので、勉強になるところもありますよね。あと生真面目だから、相談したら結構親身になって話を聞いてくれるんですよ」と返してみてはいかがでしょうか。これならうまく話題をポジティブに転換することができそうですね。

ネガティブ感情は感染する04

自分の中に妬みの感情が生まれたときの対処法

周囲とは関係なく、自分の中に妬みや愚痴の類いの感情が生じることもあります。そんなときはどのように対処すればよいのでしょうか。

先述の脳神経外科医・菅原氏は、「妬みは願望の裏返しととらえるのがよい」と述べます。自分の願望だと気づけば、「目標」に置き換え、今後のやる気につなげることができます

たとえば、部下に慕われる同僚を見て妬みの感情が生まれたら、「自分はもっと部下とのコミュニケーションを良好にしたい」願望があると認めましょう。そのうえで、同僚や好かれる上司の態度を見れば、部下への指導やフォローの仕方に関して気づきが得られるかもしれません。

また、ポジティブ心理学の第一人者のショーン・エイカー氏らは、自己肯定感を高めることも大切だといいます。「自己肯定感を高める」というと、考え方を変えるといった大きなことをしなければいけないと考える方もいるかもしれませんが、じつは運動を習慣化するだけでもよいのだそう。運動による達成感で、脳内伝達物質・エンドルフィンが分泌されると、自己肯定感アップにつながるとのこと。通勤時間や休日を使って、ウォーキングなど体を動かしてみましょう。

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職場での人間関係は、多くのビジネスパーソンが悩むところです。ネガティブな空気に感染しないよう、上手に距離を置き、キャリアアップにつなげましょう!

文 / かのえかな

(参考)
菅原道仁(2017),『脳外科医が教える 一生疲れない人の「脳」の休め方』, 実務教育出版.
科学技術振興機構(JST)|妬みや他人の不幸を喜ぶ感情に関する脳内のメカニズムが明らかに
All About|愚痴・悪口常習者との付き合い方って?
NEWSポストセブン|中居正広が実践 他人の悪口に巻き込まれない方法が高評価
ハーバード・ビジネス・レビュー|他人がまき散らすストレスに“感染”しない4つの方法

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