試験が近づいているけど、勉強に取りかかれない。資格をとらなくちゃいけないけど、勉強する意欲が湧いてこないし、失敗が怖い……。
そんなときは、ちょっとした言葉が心の支えになってくれますよ。
今回は、7人の識者らによる、勉強に取り組む勇気を与えてくれる名言たちを選びました。ぜひ、いまの心に響く一節を見つけて、前進する力にしてくださいね。
マリッサ・メイヤー氏
I always did something I was a little not ready to do. I think that's how you grow. When there's that moment of 'Wow, I'm not really sure I can do this,' and you push through those moments, that's when you have a breakthrough.(私はいつも、まだ準備が整っていないと思うことにも取り組んできました。そうしてこそ、人は成長するのだと思います。「私にこんなことができるだろうか」と思うとき、それに取り組むことでブレークスルーを起こせるのです。)
(引用元:Entrepreneur| Marissa Explains It All: 5 Motivating Quotes From Yahoo's CEO ※カッコ内の和訳は筆者が補った。以下同じ)
これは、「できっこない」と勉強を諦めたくなったときに、ぜひ思い返したい言葉。あなたは、資格取得や昇進などへ挑戦する機会に恵まれたのに、「どうせ無理。いまのままでいい」……と諦めてしまった経験はありませんか?
この諦めに関係するのが、ボストン大学のウィリアム・サミュエルソン氏らが提唱した「現状維持バイアス」。自分にとって有益なものであっても、未知である場合それを受け入れられないという、心理的抵抗のことです。
米Googleで初の女性エンジニアとして活躍し、のちに米Yahoo! のCEOも経験したマリッサ・メイヤー氏の語ったこの言葉は、前例のない輝かしいキャリアを積み重ねてきた彼女だからこそ見いだせた、現状維持バイアスを打ち破る術と言えるでしょう。
アンソニー・ロビンズ氏
絶対に失敗しないとわかっていたら、あなたは何をするだろう。少し時間をとって、この問いに真剣に考えてほしい。絶対に成功するという確信があるなら、あなたは何を追求し、どんな行動をとるだろうか。
(引用元:アンソニー・ロビンズ著, 河本隆行監訳(2005),『人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン』, 成甲書房. ※強調は筆者が施した。以下同じ)
こちらも、失敗を考えると勉強意欲をもてない……というときに、自分へ言い聞かせたい言葉です。
世界一のコーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズ氏は、2007年にForbes誌で、世界で最も影響力をもつ著名人「Celebrity 100」に数えられたほどの一流実業家。そのロビンズ氏が説くのは、「失敗するかもしれない」という恐れの壁を取り払うこと。
「失敗するかも」と考えて何もしないでいるより、上の問いを通じて「自分が本当に成功させたいこと」を考えて実行することのほうが、よほど意味があるというもの。
前述のメイヤー氏の言葉に通じるところがありますが、「自分のレベルはこんなもの」と思わずに、本当に叶えたい目標を素直に自分に問うてみましょう。そうすることで、大きな目標のために勉強を重ねることができるはずです。
本田圭佑氏
1年後の成功を想像すると、日々の地味な作業に取り組むことができる。僕はその味をしめてしまったんですよ。
(引用元:Number Web|本田圭佑の名言)
目先の楽しみに気をとられて勉強意欲が落ちたときは、この言葉を思い出してください。
プロサッカー業界で数々の偉業を成し遂げてきた本田圭佑氏が、長期的な視点で取り組むことの大切さを語った言葉です。
アメリカの教育者ロバート・グリスウォルド氏によると、「セルフイメージが人間の感情と行動をコントロールする」そう。ポジティブなセルフイメージをもてば、現実の自分もいい方向に変わっていくのです。
ですので、勉強のやる気が下がりかけたときこそ、「こうなりたいから勉強するんだ」というビジョンに立ち返りましょう。本田氏のように、成功した将来の自分を思い描くことで、その姿にふさわしい勉強行動をとれるようになるのです。
茂木健一郎氏
フロー状態で勉強せよ。最高に集中していて、しかもリラックスしている。勉強することが、蜜の味になる。そのような内的感覚をつかみ、毎日の勉強で実現するように心がけよ。
(引用元:Twitter|@kenichiromogi )
勉強に集中できないことが続くなら、この言葉のように「勉強が蜜の味になる」体験を目指してみましょう。
脳科学者の茂木健一郎氏によると、最高に集中した「フロー状態」に入って勉強すると、時間の経過を感じなくなり、勉強すること自体が報酬になるのだそうです。体感してみたいと思いませんか?
茂木氏は、フロー状態に入るためには「課題とスキルが一致していること」が必要だと言います。つまり、課題の難易度と自分の能力値に大きな差がないようにする、ということ。いまよりもっと勉強に集中するために、簡単すぎたり難しすぎたりしない、適度なレベルの課題設定を意識してみてください。
アルフレッド・アドラー氏
「やる気がなくなった」のではない。「やる気をなくす」という決断を自分でしただけだ。「変われない」のではない。「変わらない」という決断を自分でしているだけだ
(引用元:小倉広(2014),『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉 』, ダイヤモンド社.)
やる気が出ないことを環境や他人のせいにしてはいませんか?
「アドラー心理学」を確立したオーストリアの精神科医アルフレッド・アドラー氏によれば、やる気を出すのも出さないのも自分の選択。
アドラー心理学では、あらゆる出来事に対して「どう認知し、意味づけするか」によって、とらえ方や反応が左右されると考えます。たとえば、叱られたことを「悪いこと」と認知すれば「悲しい」と感じ、「自分のためになることだ」と認知すれば「ありがたい」……という具合。だからこそ前向きな意味づけが重要なわけです。
「時間がないから、勉強する気が起きない」などというのも、アドラー氏に言わせると「自分の選択」。時間がないことを、スケジュールを見直す機会ととらえれば、勉強に費やせる時間を探す行動に移れます。
「やる気が自然に湧いてくる」のを待つのはやめましょう。本当に勉強したいのなら、行動を覚悟するのみなのです。
養老孟司氏
自分が変わると、世界も違って見えるんです。だから、私は若い人が退屈だと言っているのを聞くと、多少腹が立つんですね。退屈だっていうのは、要するに世の中がずっと変わってないと思っている。世の中は変わってないんじゃない、自分が変わってないんです。自分自身が変わってしまう、それが、学ぶということです。
(引用元:長野県|学びの県づくりフォーラムVol.2 養老孟司さんと考える これからの時代に必要な学びとは?)
「そもそもなんのために学ぶのだろう?」と思ったときに読み返したいのが、解剖学者・養老孟司氏のこちらの言葉。
みなさんは、「試験に合格する」のような「目の前の目標」を達成するために勉強をしているかもしれません。ですが、養老氏いわく、学びの本質は「自分自身が変わること」。
学びを深めるなかで、自分の世界に対する見方がどう変わったか、自分自身はどう変化したか、という視点に立てれば、「ほかでもない『自分のため』に勉強しているのだ」という思いがはっきりするでしょう。
目の前の勉強が苦しくなったときや、長く勉強し続けても出口が見えない感じがするときに、やる気を取り戻せるはずですよ。
エリック・ホッファー氏
“In times of change, learners inherit the earth, while the learned find themselves beautifully equipped to deal with a world that no longer exists.”
(変化の時代において、学び続ける人が世界を制し、学ぶことをやめた人は、知識が通用する世界がもはや存在しないことに気づくのである。)
(引用元:Goodreads| Quotes by Eric Hoffer )
「勉強なんて」という気持ちになったときは、この言葉を思い出して原点に立ち返ってはいかがでしょうか。
アメリカの社会哲学者エリック・ホッファー氏が青年期〜壮年期を過ごした第二次世界大戦の時代に比べると、現代は落ち着いているとはいえ、テクノロジーや消費活動などにおいて激しい変化が起きていることはたしか。
いまは、10年前に学んだことがもはや役に立たない、ということも珍しくない時代。ただでさえ忙しい日々を送っていると、つい「勉強どころじゃない」と言いたくなるかもしれません。ですが、時代を問わず、学び続けることは社会を生き抜くために必須なのです。
***
勉強意欲を失ってしまったときには、お気に入りの言葉をぜひ思い出してみてくださいね。
(参考)
Entrepreneur|Marissa Explains It All: 5 Motivating Quotes From Yahoo's CEO
Britannica| Marissa Mayer
William Samuelson, Richard Zeckhauser (1988), “Quo Bias in Decision Making”, Journal of Risk and Uncertainty, Vol.1 pp.7-59.
アンソニー・ロビンズ著, 河本隆行監訳(2005),『人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン』,成甲書房.
Forbes| The Celebrity 100
Number Web|本田圭佑の名言
KEISUKE Honda Official Website|PROFILE
ロバート・グリスウォルド著, 弓場隆訳(2017),『一流の人に学ぶ お金の引き寄せ方』,かんき出版.
Twitter|@kenichiromogi
茂木健一郎 公式ブログ|ずっとフローでいる方法
茂木健一郎 公式ブログ|フローとゾーン
新潮社|茂木健一郎
小倉広(2014),『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉 』, ダイヤモンド社.
長野県|学びの県づくりフォーラムVol.2 養老孟司さんと考える これからの時代に必要な学びとは?
Goodreads|Quotes by Eric Hoffer
【ライタープロフィール】
平野ももこ
大学ではフランス文学を専攻し、物語のなかの人の心を中心に研究。出版社を経営していた祖母の影響もあり、純文学、心理学、ビジネス書など幅広く読む大の読書家である。現在は、メンタルケアやカウンセリングを勉強中。バレットジャーナルの実践を通じ、生活改善に成功し続けている。