自宅勤務で「やる気が出ない」ときはどうすべきか。ダメダメ思考を強制終了できる方法があった!

リモートワークでやる気を出す方法01

「家で仕事をしていると集中がすぐに途切れてしまう」
「家でWeb会議をしていても身が入らず、時間を無駄にしているような気がする」
自宅勤務を続けるなかで、このような悩みにぶつかった人は多いはず。リラックスするために過ごす「家」という空間で、やる気をもって仕事をするにはどうすればいいのでしょうか?

今回は、自宅勤務でやる気が出ない原因と、それでも仕事へのやる気を出すためのヒントをご紹介します。

自宅勤務でやる気がでない理由

新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見えないなか、自宅勤務が続いている人も多いことでしょう。家で仕事をする際に「仕事モード」へ切り替えられないのには、主に3つの原因が考えられます。

【原因1】無意識にリラックスしてしまう

自宅で仕事をしていると、オフィスにいるときよりもリラックスしてしまい、仕事へのやる気がなかなか出てこないという状況は誰しもあるはず。

自宅で仕事をするときは、周囲の社員からの目や職場のきびきびした雰囲気がなくなるため、「仕事をこなす」という意識がどうしても鈍くなってしまいがちです。労働安全衛生総合研究所の岩切一幸氏らの研究(2007)によれば、オフィス勤務時と自宅勤務時を比べた場合、自宅勤務時のほうが「心拍数」「交感神経活動」が低下することから、精神的緊張が弱くなるのだそう。

オフィスでいつも無意識に感じている一定の緊張感が失われてしまうと、仕事モードに移行できないのも納得でしょう。

【原因2】雑音のせいで集中できない

家族がいる人が家で仕事をする場合、テレビから聞こえる音や掃除機がかけられる音、子どもの話し声など、さまざまな生活音が耳に入ってきますよね。山口大学大学院理工学研究科の藤井健生氏らの研究(2002)により、雑音があると作業量が低下すること、そして話し声など「意味のある雑音」のほうが、「意味のない雑音」よりも作業を妨害することが明らかになっています。

生活音が聞こえてくるのは仕方のない部分もありますが、家で聞こえる音は仕事とは関係のない内容が多いため、仕事に集中できなくなってしまうのももっともだと言えるでしょう。

【原因3】孤立した感覚になってしまう

慶應義塾大学理工学部の本田新九郎氏らの論文(1997)では、自宅勤務における問題点として「コミュニケーションの機会の減少からくる心理的負担」「社会からの疎外感」を挙げ、仮想オフィス環境の有効性を説いています。社員間での何気ないコミュニケーションが、仕事でやる気を出すためには必要とされていたのです。

また、ペーパーロジック株式会社によるアンケート調査では、回答した企業のうち45.9%が、「自宅勤務では対面よりもコミュニケーションをとるのが難しい」と感じていることがわかりました。普段と異なる環境でコミュニケーションがうまくとれないという状況も、自宅勤務を難しくさせている要因のひとつでしょう。

リモートワークでやる気を出す方法02

自宅でやる気を出す方法とは?

では、自宅勤務において、どうすれば仕事モードに切り替えられるのでしょうか。3つのヒントをご紹介します。

【ヒント1】思考を強制終了させる

心理カウンセラーの笹氣健治氏は、「やる気を出せない」ということは「仕事を頑張りたい」「成果を出したい」という気持ちの裏返しであり、「面倒だ」「やりたくない」思考を強制終了させることで仕事に取りかかることができると説明しています。コツは、実際に思考をやめる「きっかけ」をつくること。たとえば、以下のような行動が挙げられます。

  • 顔の前で拍手するようにパンと叩き、「ストップ!」と大きめの声を出す
  • 頬を両手でパチンと叩く
  • 冷たい水をコップ1杯分飲み干す

笹氣氏は、思考が一瞬止まったら、すかさずやるべき仕事へ取りかかるようにするべきだとも補足しています。手を叩いたり声を出したりして思考を止め、すぐに仕事へ移行しましょう。

【ヒント2】作業用BGMで生活音対策

東京大学薬学部教授の池谷祐二氏は、「音楽」をBGMとして聴くことには利点があるとしています。特に、雨の音や波の音、川のせせらぎ、鳥の声などの「自然音」をBGMとして聴くことで、仕事が進みやすくなるのだそう。

脳の集中力には波があるので、集中が切れてしまうことがあります(中略)でも、音楽がかかっていたら、それを少し聞くと気晴らしになるので、座ったまま、短時間で気分転換ができる。そうして、またスムーズに仕事に戻れます。

(引用元:新R25|「集中力を上げる効果はない」とわかっていても、脳研究者が仕事中にBGMをかける理由

BGMは、耳に入ってくる余計な生活音を遮断する効果もあります。自宅勤務時なら、ほかの社員の迷惑になることもないため、実践しやすいでしょう。

リモートワークでやる気を出す方法03

【ヒント3】同じような悩みをもつ人とのつながりを広げる

産業医の大室正志氏は、物理的に一緒にいないのに心理的に一緒にいようとすることはそもそも難しいと指摘したうえで、価値観や課題意識を共有しやすい人との付き合いを増やすべきと提案しています。

自宅勤務のような、物理的に孤独になりやすい状況にあるなら、たとえば「コミュニケーションが少なくなって寂しい」「作業効率の高め方について困っている」といった悩みを同じく抱えている人を見つけてみよう、というわけです。同僚や友人など、ビジネス・プライベート関係なく探してみましょう。どんなつながりが自分にとってストレスなく過ごせるのか注意すれば、仕事もはかどるようになるはずです。

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仕事のパフォーマンスを自宅でも維持できるよう、お伝えした3つの方法をぜひ実践してみてください。

(参考)
TELEWORKERS|働き方の呼称を解説!「テレワーク」と「リモートワーク」の違いとは?
J-stage|在宅勤務およびオフィス勤務における作業者の心拍数,心拍変動(HRV),身体活動量
J-stage|有意味・無意味外来雑音が単純精神作業者に及ぼす影響
本田新九郎(1997), 「在宅勤務者の疎外感の解消を実現した位置アウェアネス・アウェアネススペースに基づく仮想オフィス環境」, 情報処理学会論文誌, 38巻7号, pp1454-1464.
paperlogic|「リモートワーク・テレワーク」に関するアンケート調査を実施
マイナビウーマン|仕事のやる気が出ない! 原因とやる気スイッチの押し方
Panasonic|テレワークで集中できない人に!在宅でも家族を気にせず仕事するには?
新R25|「集中力を上げる効果はない」とわかっていても、脳研究者が仕事中にBGMをかける理由
BUSINESS INSIDER JAPAN|リモートワークで進む孤独大国化。個の時代の新たな病、孤独問題への処方箋

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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