「PREP法」なら誰でも論理的な文章が書ける!

PREP法で文章を書こう

PREP法とは、「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論」の文章構成です。最初と最後に要点を説明するため、読み手・聞き手に説得力を感じさせるメリットがあります。

PREP法を修得すれば、要点をつかんだわかりやすい文章が書けるだけでなく、説得力のあるプレゼンテーションができるようになりますよ。「文章を書くのが苦手……」「説明がわかりづらいと言われる……」と悩んでいる方は、ぜひPREP法を練習してみましょう。

今回は、PREP法に基づく文章構成と、同じく便利な「SDS法」についてご説明します。

PREP法とは

PREP法とは、以下の順番で展開される文章構成のことです。

  1. 結論(Point)
  2. 理由(Reason)
  3. 具体例(Example)
  4. 結論(Point)

それぞれの段階の頭文字を順番に並べると「PREP」となるので、PREP法と呼ばれます。最も大事なこと(結論)を最初に提示し、最後にもう一度強調するのが、PREP法の特徴です。

PREP法の構成

PREP法のメリット

PREP法は、「文章術の基本」と言ってもいいほど、よく知られています。以下のようなメリットがあるからです。

説得力がある

コミュニケーションに関した講演・研修などを手がける株式会社グローコム代表取締役社長の岡本純子氏によると、「説得力をもって語りたいときには、結論を先に力強く語ることが重要」なのだそう。

主張したい【結論】を最初に伝えておけば、読み手・聞き手は、あなたの意図をよく理解してくれるでしょう。【理由】や【具体例】を説明しているあいだ、「なるほど、それが【結論】につながるのか」……と話の展開を理解できるので、最後に【結論】を再び聞いたとき、「たしかに、そのとおりだ」と納得しやすいのです。

短時間で伝わる

PREP法は、【結論】から述べるという特徴があるため、言いたいことをすばやく伝えられるというメリットがあります。もし、最初に【結論】を言わず、以下の流れで話したらどうなるでしょうか。

  1. 理由
  2. 具体例
  3. 結論

なんのことを話しているか、さっぱりわからないはずです。主張したいことが最後までわからないため、聞いて(読んで)いるあいだ、「で、何が言いたいの?」「これはなんの話なの?」とイライラしてしまうのではないでしょうか。

一方、【結論】を最初に提示しておけば、あなたの主張が一瞬で読み手・聞き手に伝わります

文章が書きやすくなる

「伝わる文章の書き方・講師」として活動する赤羽博之氏の著書『きちんと伝わる! センスのよい文章の書き方』(日本能率協会マネジメントセンター、2019年)によると、PREP法を「方程式」として活用すれば、文章を書くスピードが速くなるのだそうです。

「文章をなかなか書き進められない。手が止まってしまう……」という場合、原因のひとつには「何をどんな順番で書けばいいのかわからない」があるのではないでしょうか。そんなときは、PREP法をテンプレートとして用いましょう。「結論→理由→具体例→結論」という型が決まっているので、あとは手持ちの情報を当てはめていくだけです。

「PREP法を使っても、まだ文章が書けない……」という場合、自分のなかで【結論】に至っていないか、【具体例】として提示できる情報が不足しているのではないでしょうか。主張したいことを決めたり、足りない情報を集めるなどして、PREP法のテンプレートを埋めていきましょう。

このように、PREP法には多くのメリットがあります。PREP法を用いて、論理的で説得力のある文章を書ける/話ができるようになれば、ビジネスでも学業でも一目置かれますよ。

PREP法のメリット

PREP法の具体例

では、PREP法を用いて書いた文章の具体例を紹介していきましょう。以下の文章をご覧ください。

私は日記を書くのが好きです。日記を書くと、気持ちが落ち着きますから。考えていることを言語化すると、モヤモヤした思考が明確なかたちになるので、自分が何に不安を覚えたり悩んだりしているのか客観視できます。それに、姿勢を正して机に向かい、「きれいな字を書こう」と意識することで、気持ちが引き締まる気がするんです。だから、私は日記を書くのが好きですね。

以上の文章を分解し、構造を確認してみましょう。

【結論】
私は日記を書くのが好きです。

【理由】
日記を書くと、気持ちが落ち着きますから。

【具体例1】
考えていることを言語化すると、モヤモヤした思考が明確なかたちになるので、自分が何に不安を覚えたり悩んだりしているのか客観視できます。

【具体例2】
それに、姿勢を正して机に向かい、「きれいな字を書こう」と意識することで、気持ちが引き締まる気がするんです。

【結論】
だから、私は日記を書くのが好きですね。

このように、ひとつの結論に対して理由を提示し、その理由に対して複数の具体例を挙げています。理由も複数提示すれば、さらに説得力が高まりますね。

PREP法を使って文章を書く際には、「最初と最後で同じ主張を繰り返す」ことをイメージしてみてください。

PREP法の具体例

PREP法の活用シーン

PREP法は、日常や学業での情報発信はもちろん、ビジネスにおいても大いに役立ちます。新入社員の研修でも教えられる場合があるほどです。シーンごとにPREP法を活かす方法を見てみましょう。

就活

これから就活に挑む学生なら、ぜひPREP法をマスターしておきましょう。志望動機や小論文を書いたり、面接で自己PRを話したりするのに使えますよ。

就活予備校「就活コーチ」の廣瀬泰幸氏によると、PREP法は自己PRを書くのに適しているそう。キャリアコンサルタントの平野恵子氏も、自己PRの作成にPREP法を推奨しています。【結論】をひとつに絞りつつ、【具体例】をしっかり書くのが大事だそうです。

PREP法に従って自己PRを書くと、以下のようになります。

【結論】
私の強みは、責任感です。任せられた仕事で目標を達成することに、強い責任と大きな喜びを感じます。

【理由】
4年間続けた塾講師のアルバイトでは、持ち前の責任感を発揮し、20人以上の生徒を第一志望校に合格させることができました。生徒たちに勉強のおもしろさを知ってもらうこと、そして希望する学校に進学する手助けをしてあげることが、講師としての自分の役目だと思い、努力と工夫を重ねたからです。

【具体例1】
たとえば、一日の授業を終えたあとは、必ず翌日以降の授業の準備を終えてから帰宅していました。高校生だと難易度の高い教材を使うこともあるため、予習には時間がかかります。次の授業で扱う範囲の問題をすべて解き、生徒がつまずくであろうポイントをあらかじめ把握し、どう説明するか考えておくため、十分な時間をとっていました。

【具体例2】
また、生徒の成績が下がってしまったときには、教室長や同僚講師と相談したり、学習計画を新しくつくったり、声かけのやり方を変えてみたりなど、あらゆる手段を試しました。生徒も保護者も、成績の向上を期待して塾にお金を払っているので、成績が下がってしまっては講師としての役目を果たせていないと考えたからです。

【結論】
以上のように、責任感の強さによって、私は生徒たちの志望校合格を達成させてあげられました。貴社においても、与えられた役目をまっとうするのはもちろんのこと、期待されている以上の成果を出せるよう努力していく所存です。

プレゼン

PREP法は、「書く」ときだけではなく「話す」場合にも役立ちます。特に、大勢の前で話すプレゼンテーションの場合、PREP法を意識して台本を組み立てるのがおすすめです。

『伝達力の基本』(日本実業出版社、2011年)『コンサル一年目が学ぶこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2014年)などの著書をもつ大石哲之氏によると、「検討」や「調査」の結果を報告するのにはPREP法が向いているそう。PREP法を意識し、論理的で説得力のあるプレゼンテーションをやってみましょう。

以下は、「昨年におけるWebサイトのアクセス数に関する報告」を想定した例です。

【結論】
昨年における当社のWebサイトのアクセス数は、約1,812万。前年比で78%増加しました。

【理由】
大幅な増加の背景としては、アクセス解析ならびにSNS運営に多くのリソースを割り振ったことが挙げられます。

【具体例1】
まず、アクセス解析についてです。メンバー1名に、アクセス解析についての外部の講習を受けてもらい、当社サイトのアクセス傾向の分析ならびに課題の発見を任せました。その結果、アクセスされやすいページのテーマが「肩こり」および「眠気」であることがわかったため、これらのテーマに関するページを増やしました。

【具体例2】
また、メンバー1名をSNS運営の専属にし、運営ノウハウに関して外部の講習を受けてもらいました。フォロワーとの交流も始め、専用ハッシュタグを通じての投稿を募ったところ、予想以上の反響があり、SNSを通じて多くのアクセスが得られました。

【結論】
以上のように、主に「アクセス解析」と「SNS運営」を通じ、アクセスを大幅に増やすことができました。本年もこれらの施策を維持してまいります。

必要に応じ、【理由】や【具体例】の数を増やしたり、【具体例】の説明を厚くしたりするといいでしょう。PREP法は、ビジネスのあらゆるシーンで便利なので、ぜひ習得してみてください。

就活やプレゼンでPREP法を活用する

PREP法の練習方法

「PREP法を習得してみてください」と言うのは簡単ですが、どうすればできるのでしょうか? 練習のやり方をご説明します。

『絶対! 伝わる図解 面白いほど通るプレゼン作成術』(朝日新聞出版、2012年)などの著書があるコンサルタントの池田千恵氏が提案するのは、気になった新聞記事について、PREP法で説明する方法。記事の概要に触れつつ、「なぜ気になったか」も盛り込みます。

新聞記事だけでなく、Webメディアの記事を使ってみるのもいいですね。以下に、STUDY HACKERのインタビュー記事「人間関係に疲れがちなビジネスパーソンには『コレ』が欠けている。」に関してPREP法で書いた文章を挙げます。

【結論】
「問題解決コンサルタント」の阿比留眞二氏が「コミュニケーション・スタイル」について語る記事が印象に残りました。

【理由】
印象的だったのは、人間はそれぞれ異なるコミュニケーション・スタイルをもっており、相手のスタイルに配慮すべきだ、という主張です。

【具体例】
阿比留氏は、「一から十まで伝えたい部下」と「無駄をなくしたい上司」の例を挙げていました。2人のコミュニケーション・スタイルは正反対なため、その違いが人間関係をこじらせてしまう、とのことです。しかし、「コミュニケーション・スタイルは個人の考え方にすぎない」というのが阿比留氏の意見でした。仕事においてはさまざまな人間と付き合わなくてはならないのだから、個人の考えにこだわりすぎず、相手に配慮すべきだ、とのことです。

【結論】
仕事上のコミュニケーションについて、「部下の育成」や「生産性の向上」などではなく、「スタイルの違い」という観点で語られたのが新鮮に感じられました。たしかに、「自分のスタイル」の正しさを押しつけるようでは、円滑な人間関係は成り立ちません。私も、自他のコミュニケーション・スタイルの違いを認識したうえで、相手のスタイルに歩み寄ろうと思いました。

このように、PREP法を用いて記事の感想を書いてみてはいかがでしょうか。ブログに投稿するなどしてみれば、人に読んでもらえますし、PREP法のよい練習になりますよ。

PREP法の練習

PREP法とSDS法

PREP法とセットで語られることの多い文章術に「SDS法」があります。SDS法の構成は、以下のとおりです。

  1. 概要(Summary)
  2. 詳細(Detail)
  3. まとめ(Summary)

日本語にすると違う言葉になりますが、「概要」と「まとめ」では同じことを繰り返します。最初と最後で同じことを言う点では、PREP法と同じですね。

SDS法の例としては、ニュース番組をイメージしてください。キャスターは以下のような流れでしゃべっているはずです。

【概要】
6日の夜、○○大学に爆破予告が届きました。

【詳細】
大学側が7日朝に発表したところによると、6日の夜、大学宛に電子メールで爆破予告が届いたとのことです。爆破予定時刻は、9日の午後1時。○○大学は、感染症対策により、すでに学生がキャンパスに入構することを禁止していますが、9日の午後3時まで、教員・職員も含めて立ち入りを禁じるとのことです。威力業務妨害の疑いで、□□県警による操作が始まっています。

【まとめ】
以上、○○大学に届いた爆破予告のニュースでした。

PREP法とSDS法の違いは、話のどこに重点を置くかです。PREP法で最も重要なのは【結論】。【結論】について聞き手/読み手に納得してもらうため、【理由】や【具体例】を挙げます。

一方、SDS法で重要なのは【詳細】です。大石氏によると、話の内容そのものに意味がある場合、話の全体を重視している場合は、SDS法が適しているとのこと。講演会やセミナーなど、話をじっくり聴いてもらいたいときに使うといいそうですよ。

PREP法とSDS法は、最初と最後で同じことを繰り返すという点では似ているものの、活用シーンがまったく異なります。それぞれの特徴を把握し、PREP法とSDS法を使い分けてみてください。

PREP法とSDS法

PREP法がよくわかる本

最後に、PREP法についてよくわかる本をご紹介します。

『話すスキルUP すぐできる! 論理的な話し方』

スピーチ指導などを手がける株式会社スピーキングエッセイの代表取締役・大嶋友秀氏の著書。全編にわたってPREP法が説明されています。

「論理的な話とはどんなものか?」という基本的な疑問から出発し、【要点】をうまく言い切れない、【理由】と【具体例】を混ぜてしゃべってしまう……などの悩みを取り上げつつ、PREP法でプレゼンテーションを行なう際の実践的なアドバイスまで網羅した一冊。平易な口調で書かれているので、すっと頭に入ってきやすいはず。「プレゼンテーションを成功させたい!」という人は、ぜひ読んでみてください。

『きちんと伝わる! センスのよい文章の書き方』

上でも取り上げた、『きちんと伝わる! センスのよい文章の書き方』。『話すスキルUP すぐできる! 論理的な話し方』とは反対に、「書く」ことに重点を置いています。

『センスのよい文章の書き方』は、「なぜ文章が書けないのか」「なぜ文章がわかりにくくなってしまうのか」など、読者が抱えているであろう疑問に答えることから始まります。そして、「センスのよい文章を速く書く」ための具体的なテクニックが提示される、という流れです。

PREP法は、「書く内容が整理できない」という悩みの解決法として登場します。ほかにも、「文字をできるだけ減らす」「読まれ方を考える」など、すぐに実行できるアドバイスが満載です。文章を書くのに自信のない人、「文章がわかりづらい」と言われがちな人は、ぜひ読んでみてください。

きちんと伝わる! センスのよい文章の書き方

きちんと伝わる! センスのよい文章の書き方

  • 作者:赤羽 博之
  • 日本能率協会マネジメントセンター
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PREP法の使い方をおわかりいただけたでしょうか。PREP法を意識し続ければ、PREP法で書いたりしゃべったりするのがクセになります。PREP法で説得力のある説明ができれば、ビジネスパーソンとしてひとつ上の段階に行けるはず。ぜひやってみてください。

(参考)
東洋経済オンライン|企業に評価されるエントリーシートの書き方
東洋経済オンライン|まず「ロジカルスピーキング」から始めよう
赤羽博之(2019),『きちんと伝わる! センスのよい文章の書き方』, 日本能率協会マネジメントセンター.
東洋経済オンライン|エントリーシート、こんな書き方は逆効果だ
All About|ロジカルシンキングを活用したプレゼン方法
NIKKEI STYLE|新聞で発信力も強化 毎日アウトプットを習慣づけ
大嶋友秀(2013),『話すスキルUP すぐできる! 論理的な話し方』, 日本能率協会マネジメントセンター.

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

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