自己研磨の意味とは? 自分磨きに励む人必見!

自己研鑽の意味1

「自己研磨」とは、自分自身のスキルや知識に磨きをかける、という意味。辞書には載っていない言葉ですが、自己啓発や学問、転職などのトピックでよく見聞きするはずです。

自己研磨の大切さは誰もが認識しているでしょうが、自己研磨とは具体的に何を指すのか、どんな自己研磨が成功につながるのか、具体的にイメージできない方も多いかと思います。そこで今回は、類語の辞書的な意味や例文を交えつつ、自己研磨の意義や方法を詳しくご説明しましょう。

自己研磨の意味・例文

冒頭でも述べたとおり、「自己研磨」は、多くの辞書に掲載されていない言葉です(2020年7月時点)。しかし、「自分を高める努力をする」という意味で、すっかり世間に浸透していますね。

「研磨」とは本来、物の表面を「研いで磨く」こと。そこから派生して、「知識・技術などをより高度にするために努力すること(小学館「デジタル大辞泉」)」という意味ももつようになりました。この「研磨」に「自己」がくっつき、「自分の意志によって能力などを高める」というニュアンスが強まったのが、「自己研磨」です。

【「自己研磨」の例文】

  • 目標の達成を目指し、自己研磨に励む。
  • A部長は、常に自己研磨を怠らない立派な人だ。
  • 成功するには、小さな自己研磨の積み重ねが大切だ。

自己研磨の類義語として、「自己研鑽(じこけんさん)」が挙げられます。「デジタル大辞泉」によると、研鑽とは「学問を深く究めること」。そのため、自己研鑽は自己研磨に比べ、知識や知的能力を強く意図していると言えるでしょう。とはいえ、自己研鑽と自己研磨をほぼ同じ意味で使っても、さほど問題ありません。

自己研鑽の意味2

自己研磨の意義

ビジネスパーソンが自己研磨を行なう意義としては、主に以下の3つが考えられます。

キャリアアップ

自己研磨をする何よりの目的は、ビジネスパーソンとしての市場価値を高め、キャリアアップをすることです。専門スキルや知識を磨き、こなせる仕事の幅を広げていけば、昇進・転職で有利になります。

ビジネスパーソンとしてステップアップしたい、年収を増やしたいと考えている方は、日頃からコツコツとスキルを磨いていくことが大切です。

人格力の向上

「人格力」を磨けることも、自己研磨の意義でしょう。人格力とは、端的に言うと、他者と信頼関係を築く能力のこと。経営コンサルタントのスティーブン・R・コヴィー氏による名著『7つの習慣』では、ウソをつかないこと、公平であること、他者を受け入れることなど、「人として当たり前のモラル」を徹底することで人間関係が充実し、長期的な成功につながりやすくなると説かれています。

どんなに能力や実績が優れていても、しょっちゅうウソをついたり、人をおとしめたりするような人であれば、周囲から信頼されなくなってしまうでしょう。優れた人格力は、永続的な成功に欠かせない、基本的な条件なのです。もちろん、うわべを取りつくろうだけではいずれ露呈してしまいますから、誰に見せても恥ずかしくないような生き方を常日頃から心がけることが大切です。

QOLの向上

QOLを高める努力も、自己研磨の一環です。QOLとは「Quality Of Life(人生の質)」の略で、生活の質の高さを表す尺度。日々幸福感を感じながら生きるには、「健康な心身」「良好な人間関係」「仕事のやりがい」「生きがい」など、さまざまな要素を整えていく必要があります。

たとえば、「健康な心身」は、仕事や人生を充実させるのに欠かせない要素です。10年後、20年後に備えつつ、正しい生活習慣や食習慣、運動習慣を心がけるなど、自己研磨を怠らないようにしましょう。精神の健康という意味では、ストレス発散になる趣味に打ち込むことや、人間関係を大切にすることも、広義の自己研磨とみなせます。

そして、目標を設定して自己研磨に打ち込むこと自体が、「生きがい」や「仕事のやりがい」を生むのです。仕事や人生において成し遂げたい大きな目標はもちろん、「5キロ痩せる」「お金を貯めて旅行に行く」など、日常におけるちょっとした目標でもかまいません。何かしらの目的意識をもち、自己研磨を心がけながら暮らすことで、生活に張り合いがもたらされるはずです。

自己研鑽の意味3

自己研磨に励むには

ビジネスパーソンが取り組むべき自己研磨としては、具体的にどのようなものがあるのでしょうか? 前章で解説した「市場価値」「人格力」「QOL」という観点から、5つの具体例をご紹介しましょう。

専門的なスキルを学ぶ

自己研磨の具体例としてまず挙げられるのは、仕事で求められる専門スキルや知識を身につけ、昇進や、よりよい条件での転職を目指すことです。

とはいえ、勉強の方法が適切でないと、せっかくの努力が実らない恐れも。教育コンサルタントの小林正弥氏によると、キャリアアップのためには、「自分中心」ではなく「顧客中心」で逆算した勉強が大切なのだそう。

学生時代の勉強と、社会人になってからの勉強は、目的が根本的に異なります。学生時代の勉強では、テキストの内容を覚えることが「点数」という成果に直結しました。しかし、社会人の勉強では、知識を身につけ利用した先にある「キャリアアップ」や「年収アップ」がゴールのはず。「顧客が何を求めているのか?」という明確な目的意識なしに、ただ知識を詰め込んでいくだけでは、いくら時間をかけても成果につながらないでしょう。

たとえば、営業職の人がプログラミングの知識を身につけたとしても、なかなかキャリアアップにはつながりにくいはず(プログラマーとして転職したい場合は別ですが)。英語を勉強するにしても、仕事で使う表現や語彙、コミュニケーション技術などを優先して身につけなければ、キャリアアップのための勉強として非効率的でしょう。

勉強を “自己満足” で終わらせないために、まずは「なんのために学ぶか」という目的を明確にし、その目的に沿った勉強内容を決めましょう。

本を読む

『声に出して読みたい日本語』などの著書でおなじみの教育学者・齋藤孝氏によると、古典などの良書を読むことは、歴史に名を残した「偉大な他者」の思考に触れることを通し、人格を磨き上げるうえで大きな意味があるのだそうです。

たとえば、パナソニック創業者の松下幸之助氏は他界しているため、直接教えを受けることはかないません。しかし、松下氏の著書『道をひらく』を読めば、その経営論や人生観をうかがい知ることができます。しかも、本というのは、表現や内容を吟味して書かれたものですから、むしろ直接話すより深い学びを得られるかもしれません。

同時代で活躍中の経営者やアスリート、著名人に関しても同じです。第一線の著名人に直接会って質問できる機会はほとんどありませんし、メディアのインタビューなどから得られる情報にしても、文量はごく限られています。しかし、本であれば、数百ページにもわたってじっくりと、その人の考え方を学べるのです。

知識やスキルを学べる実用書だけでなく、古典や名著にも触れることで、人格力を磨いてみてはいかがでしょうか。

アートに触れる

絵画などのアートを鑑賞することは、QOLはもちろん、「美意識」の向上にもつながります。

絵画とひとくちに言っても、きれいなものや楽しいもの、恐ろしいもの、不気味なもの、悲しげなものなど、さまざまな作品がありますよね。それぞれの作品を鑑賞し、自分のなかに生まれた感情を観察することで、感性が鍛えられるのです。さまざまなものを食べるうちに舌が肥えていくのと同じで、多くのアート作品に触れているうち、「美しさとは何か」「自分はどんなものに心を動かされるか」という価値観(=美意識)が形成されていきます。

アートといえば絵画を連想するかもしれませんが、映画や文学、音楽などもアート。自分の感情と対話し、「その作品のどこが気に入ったのか」「なぜ感動したのか」と注意深く考えることが、美意識を磨くうえで大切なのです。

仕事においても、美意識の高さはたびたび問われます。たとえば、以下のように、ものやアイデアを新しく生み出すシーンです。

【仕事で美意識が問われるシーンの例】

  • 企画のアイデアを出すとき
  • 広告や販促キャンペーンの案を出すとき
  • 製品のパッケージやポスター、Webサイトなどをデザインするとき
  • 資料やスライドをつくるとき

人材育成コンサルタントの山口周氏によると、新しいものをつくる際の「正解」は、マーケティング理論などのセオリーだけでは出せないのだそう。セオリー通りにつくっただけのものは、同じくセオリー通りにつくった他社の製品と区別できぬ、「つまらない」ものになってしまうからです。「おもしろい」と思われるものをつくるには、優れた美意識やセンスが必要とされます。

たとえば、テレビ東京は、斬新なテーマの番組で知られていますよね。近年では特に、池の水を抜いて底にあるものを調べる、という『池の水ぜんぶ抜く』が話題になりました。

ターゲットの設定やニーズの分析を通した “セオリー通り” の考え方では「池の水を抜く」というアイデアは出てこなかったはず。「こんな企画をやったらおもしろいんじゃないか」という、純粋な「美意識」を信頼した結果、成功したのだと言えるでしょう。

テレビに限らず、あらゆる仕事のゴールは「顧客を満足させること」。顧客の心を動かすには、たくさんのアートに触れ、「自分は何を美しいと思うか」「どんなものをおもしろいと思うか」という感覚を育てておく必要があるのです。

自分よりハイレベルな人と付き合う

ときには、自分よりも「レベルが高い」と感じられる人と付き合うこともオススメです。「レベルが高い人」とは、憧れの上司や尊敬できる先輩など、とにかく「すてきだな」と思える人のこと。

経営者の松浦弥太郎氏によると、憧れの人と交流すれば、「この人と対等に付き合うには、どんな自分であるべきか」と考えるようになるため、意識や振る舞いを正すことにつながるのだそうです。

【「レベルが高い人」と付き合う例】

  • 尊敬している上司にお願いして、食事に付き合ってもらう
  • 社内の飲み会やイベントで、仕事がデキるとウワサの同僚に話しかけてみる
  • 目標とする著名人が主催の、講演会やセミナーに参加してみる

普段は、年齢や考え方が近い友人・同僚と一緒にいることが多いはず。もちろん、そうした友人はかけがえのない存在ですし、一緒にいて楽なものです。

しかし、楽であるということは、自分の価値観や視野が脅かされないということ。成長のため、ときにはあえて、少し緊張感を覚えるくらいの人と付き合ってみることも大切です。

とはいえ、「ハイレベルな人」に合わせようと、自分を偽りすぎてもいけません。知ったかぶりをしたり虚勢を張ったりすると、自分の現状を認められなくなり、成長できなくなる恐れも。知らないことは知らない、できないことはできないと素直に認めつつ、相手から学ぼうとする姿勢が大切です。

運動を習慣にする

運動習慣を継続することも、自己研磨として大切。身体をあまり動かさない仕事をしている方にとっては、特に重要です。運動によって、以下のようなメリットがもたらされます。

メリット1. 脳の機能が高まる

精神科医の内田直氏によると、運動は脳を活性化させ、認知課題におけるパフォーマンスを高めてくれるのだそう。また、運動によって、脳の成長を促す「BDNF」の分泌も活発になり、記憶力や学習能力が底上げされるそうです。

「最近、物覚えが悪い」「頭がうまく働かないことがある」悩んでいるなら、運動不足が原因かもしれません。

メリット2. 生活にメリハリが生まれる

運動には、生活にメリハリをつけられるというメリットもあります。内田氏によると、朝に運動すると身体や頭が「活動モード」になるため、仕事のスイッチが入るのだそう。

また、日中に運動すると、適度に疲れて寝つきがよくなります。オン/オフの切り替えがスムーズにできる、ということですね。

メリット3. 心の健康が保たれる

運動には、“心の健康” を維持する効果も。精神の安定に関与する「セロトニン」の分泌が活発になり、毎日をいい気分で過ごしやすくなる、と内田氏は言っています。無性にイライラする、不安感にとらわれるなど、気分が不安定になりやすい場合、運動で改善できるかもしれません。

メリット4. 体力が維持できる

どんな職種でも、体力があるに越したことはありません。一日中デスクワークをしている人でも、長時間椅子に座って作業をするのは、意外と体力を要するもの。

運動不足で体力が低下すると、疲れやすいだけでなく、肩や腰の痛みを感じやすくなります。定期的に運動し、一定の体力を維持することで、元気に働けるはずです。

前出の内田氏は、最低でも週4日の運動を推奨しています。とはいえ、いきなりジム通いを始める必要はありません。家でできる軽い筋トレや、ウォーキングなど、軽い運動で結構です。自己研磨の一環として、意識的に身体を動かす習慣をつけましょう。

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仕事や人生において成功するには、自己研磨していくことが大切。「自分を高めるために何かを始めたい」と考えている方は、本記事の内容をぜひ参考にしてみてくださいね。

(参考)
コトバンク|研磨
コトバンク|研鑽
佐々木常夫 著, フランクリン・コヴィー・ジャパン 監修(2015),『実践 7つの習慣 何を学び、いかに生きるか』, PHP研究所.
吉川明守・宮崎隆穂(2008),「重度・重複障害者におけるQOL評価法の検討」, 新潟青陵大学短期大学部研究報告, 38号, pp.147-153.
Precious.jp|お金と時間をドブに捨てる!仕事のできる人は絶対やらない「NG勉強法」6選
東洋経済オンライン|齋藤孝「本を読まない人たちが知らない人生」
プレジデントオンライン|バスキアの絵を"123億円"で落札した理由
テレビ東京・BSテレ東 7ch|池の水ぜんぶ抜く
松浦弥太郎(2012),『40歳のためのこれから術 幸せな人生をていねいに歩むために』, PHP研究所.
@IT|脳科学で解明:運動は記憶力と創造力に効果あり

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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