その不安やイライラは「自己肯定感」の低さが原因かも。解消する3つの方法

日中にできる自己肯定感を高める方法01

「同期のあの人みたいにうまくできない自分が嫌だ……」
「自分のせいで、またミスが発生したらどうしよう……」
こんなふうに、「自己肯定感」が低いがために苛立ちや不安を感じてしまったことはありませんか?

過度に自信をつける必要はありませんが、逆に自信がなさすぎても、それはそれで仕事も勉強もなんとなく憂鬱になってしまうもの。そこで今回は、「“日中にできる” 自己肯定感を高めるための方法」を3つご紹介します。

自己肯定感が低いことの恐ろしい弊害……

そもそも、なぜ高い自己肯定感を持つのが大事なのでしょうか。じつはさまざまな研究で、自己肯定感が低いことの弊害が報告されています。

たとえば、学術誌「Journal of Experimental Social Psychology」に掲載されたミドルベリー大学(アメリカ)の研究論文によれば、自己肯定感が低い人に特徴的な “自己意識の強さ” が、タスクパフォーマンスを低下させる可能性があるとのこと。つまり、周りに人がいる “見られている環境下” において、自己肯定感が低い人は自身の能力を充分に発揮できないのです。

誰かの前に立ったり注目を受けたりする場面はしばしば訪れるもの。学生であればディベートや論文発表会など、社会人であれば会議やプレゼン発表の場などです。しかし、自分ではきちんと準備をしたつもりでも、自己肯定感の低さが原因で、うまく話せなかったり想定外の質問にあたふたしてしまったりする可能性があります

また、デポール大学(アメリカ)教授のジョセフ・フェラーリ氏は、習慣的に先延ばしをする人に見られる特徴のひとつとして、自己肯定感の低さを指摘しています。フェラーリ氏の調査によれば、先延ばし癖と性格には関連性があるとのこと。自己肯定感が低すぎると、「どうせやったとしてもうまくできないから……」などと、やるべきことに対して気持ちが前に向かず、結果として先延ばしすることを許してしまいます

これらのことから、仕事や勉強できちんと成果をあげるためにも、自己肯定感を高める必要性は大いにあると言えそうですね。それでは、ここからいよいよ、自己肯定感を高める具体的方法を順番にご紹介していきましょう。

日中にできる自己肯定感を高める方法02

【自己肯定感を高める方法1】仮眠をとる

国立精神・神経医療研究センターが行なった実験では、睡眠不足状態が5日程度続くと、不安感と抑うつ傾向が高まることが明らかになっています。

実験では、健康な成人男性14人を対象に実施されました。「睡眠不足状態(1日4時間の睡眠を5日間)」と「充分に睡眠をとった状態(1日8時間の睡眠を5日間)」とで、「恐怖の表情」「幸せな表情」「普通の表情」計48枚のモニター画像を見てもらったときの脳の活動量を調べたのです。

その結果、睡眠不足状態において「恐怖の表情」を見たときだけ、感情を司る偏桃体の活動量が増加することがわかりました。「幸せな表情」を見たときには特に変化は現れなかったことから、睡眠不足に陥るとネガティブな刺激に対して反応しやすくなることが示唆されたのです。

自己肯定感が低いと不安感が募ることは冒頭で述べたとおりですが、睡眠不足が続くと、この不安をさらに助長させてしまう可能性があります。そこでおすすめしたいのが、昼休みの短い時間でもとれる「仮眠」です。

睡眠障害の治療に詳しい、雨晴クリニック副院長の坪田聡氏は、「短い仮眠は脳の認知機能を回復させ、気分を穏やかにさせるセロトニンや快感を促すドーパミンを正常に分泌されてくれる」と述べています。仮眠の理想的な長さは20~30分程度ですが、坪田氏によれば、まずは少しのあいだ目を閉じてみるだけでも、視覚から入る情報が遮断されるため脳を休ませる効果が期待できるとのこと。

不安感に苛まれたら、休憩時間に少しの目をつむって休んでみてください。脳の疲れをとることで、以前よりも前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになるでしょう。

日中にできる自己肯定感を高める方法03

【自己肯定感を高める方法2】10分間の歩行瞑想

仕事に行き詰まったとき、気持ちを切り替えるために外を歩いたら徐々に気分がよくなってきた――こんな経験がある人も多いはず。じつは、立って歩くことには、ポジティブな感情を促す効果があるのです。アイオワ州立大学心理学部の実験研究によれば、“たった12分” のウォーキングでもいいそうですよ。

この研究では、被験者となる学生たちを「大学の装飾品を歩いてチェックするだけの退屈なツアーに参加するグループ」「大学の装飾品が映し出されるだけの退屈なビデオ鑑賞会に参加するグループ」の2つに分けました。その結果、前者のグループは後者のグループに比べて、注意力が上がり、ポジティブな気分になり、さらに自信の向上や情緒の安定も見られました。しかも、このツアーで歩いた時間はわずか12分でした。

このように、ただ歩くだけでも効果は期待できそうですが、さらに自己肯定感を高めるために、メンタリストDaiGo氏がすすめている「歩行瞑想」を取り入れてみてはいかがでしょう。歩行瞑想とは、簡単に言えば「歩くことに全力で集中する」こと。座って瞑想するよりも注意を傾ける対象が明確なので、集中しやすいそうです。歩行瞑想のやり方は以下の通り。

  1. 右足(または左足)が地面から離れる感覚に集中する
  2. 右足が前に出る感覚に集中する
  3. 右足が床に向けて下がる感覚に集中する
  4. 右足がゆっくり床に触れる足の裏の感覚に集中する

DaiGo氏によると、20分程度の歩行瞑想が理想ですが、慣れないうちは10分から始めてもいいのだそう。自信を失いかけているときはぜひ外に出て、足の裏の感覚に集中しながら散歩してみてください。

日中にできる自己肯定感を高める方法04

【自己肯定感を高める方法3】エクスプレッシブ・ライティング

「上司から言われたキツい一言が忘れられない……」など、どうしてもネガティブな出来事から離れられないのだとしたら、自信を失って自己肯定感も下がる負のループにはまってしまっている可能性があります。そこでおすすめしたいのは、思考や感情を紙に書き出す「エクスプレッシブ・ライティング」という習慣です。

これは1980年代に生まれた心理療法のひとつで、「ストレス体験となった出来事とそのときの感情を正直に紙に書き出す」というもの。心理カウンセラーの中島輝氏はその効果について、アメリカの心理学者ダニエル・ウェグナー氏が行なった「シロクマ実験」を引用して説明します。

この実験では被験者を3つのグループに分け、それぞれシロクマのドキュメンタリーを見てもらったあとに以下の指示を出しました。

Aのグループ:「シロクマのことを覚えておいてください」
Bのグループ:「シロクマのことを考えても考えなくてもいいです」
Cのグループ:「シロクマのことは絶対に考えないでください」

そして1年後、研究チームがそれぞれのグループに、ドキュメンタリーの内容を覚えているかどうか確認したところ、最も鮮明に覚えていたのがCのグループでした。「何かを考えないでいよう」と思うほど、皮肉にもより強固な記憶として定着してしまうのです。このことから中島氏は、エクスプレッシブ・ライティングでネガティブな感情や思考を紙に書き出し、それを目で見て明確に意識することで、手放しやすくなると述べています。

ちなみに、この習慣はDaiGo氏も推奨しています。DaiGo氏によると、感情を “より詳細に書く” ことで高い効果が得られるとのこと。

たとえば「注意されて腹が立つ」と簡潔に書くよりも、「自分は上司の指示通りに行なった。でも、あとで上司からそれは違うと言われて納得が行かない。イライラするし、話が噛み合っていないことが悲しい」というように、出来事や感情を詳細に書いてみるとよいでしょう。

時間としては20分程度が望ましいとされていますが、最初のうちは5分からでもいいとのこと。また、紙にこだわらず、パソコンやスマートフォンに打ち込んでもかまいません。休憩時間に、自分の思いのたけを正直に言語化してみるのはいかがでしょうか。

***
「最近自己肯定感が低いな……」と感じている方は、これらのことを参考に自己肯定感を高めていきましょう。

(参考)
ScienceDirect|How to reverse the vicious cycle of low self-esteem: The importance of attentional focus
VOX|Procrastination is bad for your health
ScienceDirect|Dysfunctional procrastination and its relationship with self-esteem, interpersonal dependency, and self-defeating behaviors
Science Portal|睡眠不足で情動不安定や抑うつに
現代ビジネス|最新研究「瞬間睡眠」が、脳を若返らせる
APA PsycNET|Walking facilitates positive affect (even when expecting the opposite)
Mentalist DaiGo Official Blog|年収8.1倍!最強の集中を作る歩行瞑想のススメ
新R25|“1日3つ書く”習慣で思考が置き換わる。「ノート」で自己肯定感を高める3つの方法
東洋経済オンライン|「感情を紙に書く」習慣でストレスは減らせる

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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