「人間関係に疲れたな」と思ったら最初にやるべき3つのこと

「人間関係に疲れたな」と思ったら最初にやるべき3つのこと

仕事をスムーズに進めるには、良好な人間関係を築かなくちゃ――そのような考えから、苦手な人とのコミュニケーションに神経をすり減らしたり、同僚に気を使いすぎたりして、疲れていませんか?

「仕事がうまくいくなら、人間関係のことで少し疲れるぐらい大丈夫」と放置すると、いつのまにかストレスがたまって心身の健康を損なう可能性も。そうなっては、仕事に打ち込むどころではありませんよね。

そこで今回は、「人間関係に疲れた」と思ったとき、すぐ実践すべきことを3つご紹介しましょう。

人間関係に疲れたときやること1:「気を使わなくていいんだ」と思い直す

「相手の話に合わせないと、空気が読めないと思われるかも……」
「後輩には優しく言わないと、嫌われてしまうかも……」

気遣いは、人間関係を築くうえで大切なものです。でも、あまり気を使いすぎて自分が疲れてしまっては本末転倒。心当たりがある人は、心理学者がすすめる「水路づけ」という手法で、心の疲れを軽減させましょう。

心理学者の内藤誼人氏がSTUDY HACKERのインタビューで、水路づけについてこう説明しています。

――砂山の頂上から水を流すと、最初に流した水によってできた少しの溝に沿って、その後も水が流れ、溝がどんどん深くなっていく。思考もこれと同じで、最初にした考え方がその後もずっと続いていく――

(「STUDY HACKER|人間関係に疲れるのは「気を使いすぎ」だから。「人と深く関わる必要はない」と心理学研究でもわかっている」よりまとめた)

この水路づけをすべき考え方として内藤氏が挙げるのが、「人間関係に気を使いすぎる必要はない」という考えです。

内藤氏によると、「つながりの強い濃密な人間関係を周囲と築くべきだ」という考えは「思い込み」に過ぎないとのこと。研究では、「決して強いと言えないつながりでも人間関係は十分に成立するし、お互いに満足感も得られる」とわかっているそうです。(カギカッコ内引用元:同上)

たしかに、たまに連絡をとる程度の相手に対し「この人は薄情だ」と思うことは、あまりありませんよね。立場が逆になっても同じこと。自分が思うほど相手は気にしていない――そう内藤氏は助言しています。相手に必要以上に気を使う必要はないのです。

人間関係に疲れたら、相手に気を使いすぎることをやめよう

とはいえ、考え方を急に変えるのは難しいもの。そこで内藤氏は、時間をかけて、「人間関係には気を使わなければならない」という思考の水路を、「人間関係に気を使いすぎる必要はない」という水路へとつくり直すことをすすめています。具体的には、「繰り返し『思い直す』」とよいそう。

「人間関係には気を使わなければならない」なんて思ったら、そのつど、「ああ、そうじゃなかった」と思い直すのです。そう繰り返していくうち、「人間関係に気を使いすぎる必要はない」という強固な思考の水路ができあがっていくでしょう。

(引用元:同上)

たとえば、「相手の話に合わせなきゃ」「こうしたら嫌われてしまうかも」と思ったら、「そうじゃなかった、気を使いすぎなくてもいいんだ」と頭のなかで繰り返し考え直しましょう。しだいに新しい水路ができて、行動も自然と変わるはずですよ。

筆者も「相手は忙しそうだから、声をかけたら迷惑だろうか」と気を使いすぎることが多くあります。そのつど「そうじゃなかった」と考え直してみたところ、その瞬間に、気が少し楽になりました。

あなたも水路づけで「気を使いすぎる必要はない」という思考習慣を身につければ、人間関係で疲れにくくなる効果が期待できますよ。

人間関係に疲れたときやること1:「気を使わなくていいんだ」と思い直す

人間関係に疲れたときやること2:「No」と言ってみる

人から頼られたり、まとめ役を任されたりすることが多いけれど、正直、無理や我慢をしている。波風を立てたくないし、嫌われたくないから、断れない……。そんな人はいないでしょうか。

一見、あなたは頼りがいのある、優秀な「いい人」のようですが、人のために気が進まないことまで引き受けていたら、人間関係に疲れるのも無理はありません。まさに自分のことだ……と思うなら、次回はぜひ「No」と思いきって言ってみることをおすすめします。

心理カウンセラーの根本裕幸氏によると、「いい人」の役回りを買いがちな人は、「損してる」と感じやすいそう。そして、「『損してる』と感じる方は『No』が言えない方も少なくない」のだか(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「いい人過ぎる自分」に疲れない、大人気カウンセラーが教える対処法とは 以下カギカッコで示した根本氏の見解は同資料より引用)

もちろん、特に苦もなく相手の希望に沿えることもあるでしょう。しかしそれは、「心の負担が少ないとき」だからこそできることだと根本氏。忙しくて余裕がなかったり、依頼を引き受けることが続いたりすると、負担感は増してしまうもの。

そこで、いまの自分には依頼を引き受ける余裕があるのかないのか、「自分の心の状態をいつもチェック」したうえで、

もしあなたが「なんか、今回は無理かもしれない」と感じたとしたら、それは思いきって「No」を言うべきときだと覚えておいてください。

(引用元:同上)

と根本氏は述べています。

人間関係に疲れたら「NO」を言うべきとき

たとえば、臨時の仕事を頼まれたら、「いま、相手の要望に応えてあげられる余裕があるか?」と自問自答してみましょう。相手の顔色や、「嫌われるかも」のような自分への評価などは、脇に置いて考えます。

かく言う筆者も、仕事をうまく断れなかったり、忙しいにもかかわらず同僚の業務まで手伝ったりすることがあります。「本当は忙しいのに……」とモヤモヤすることもしばしば。そこで、仕事を頼まれたらそのつど「引き受ける心の余裕があるか?」とセルフチェックをしてみました。

するとこれまでは、人から物事を頼まれたときに、相手の立場ばかり考えていたことに気づいたのです。

いったん自分に目を向けることで、具体的にいつできそうか、十分なパフォーマンスを発揮できそうかなどを冷静に判断したうえで、返事ができるようになりました。その結果、モヤモヤする気持ちも減ったように思います。

前出の内藤氏が伝えているように、相手へ気を使いすぎる必要はありません。少しでも負担になるようであれば、思いきって「No」と言いましょう。

人間関係に疲れたときやること2:「No」と言ってみる

人間関係に疲れたときやること3:「ひとり」の時間をつくる

疲れていても取引先や職場の人の前では笑顔でいたり、本当は怒りたくないのにあえて後輩へ厳しく指導をしたりすることはありませんか?

キャリアカウンセラーの工藤倫子氏によると、仕事のなかで「自分の感情を抑制し、自分の真の感情とは裏腹な『行動(演技)』をしなければならない」というとき、「本来の自分と仕事の時の自分を使い分けているので、疲労感を伴」うそうです。(カギカッコ内引用元:マイナビウーマン|感情労働とは? 具体例と問題点・ストレスをためない対処法 以下カギカッコで示した工藤氏の見解は同資料より引用)

本心でない感情をあえてつくり出すことは、「強いストレス」になるほか「心身の極度の疲労により燃え尽きたように意欲を失い、無気力状態になってしまう」リスクもあるのだとか。

そうした事態に陥らないために、工藤氏がすすめるのは

  • 「仕事が終わったらなるべく『仕事から離れる』という意識を持つこと」
  • 「意識的に『一人の時間』をつくり、自分を解放する時間を持つこと」

なぜ「一人」になるべきかと言えば、

常に相手や状況に合わせて感情をコントロールしているため、時には自分の気持ちに正直に行動したり、一人でゆっくりと過ごしたりすることも必要

(引用元:同上)

だからです。「気分転換できることをいくつか見つけて」おくといいとのこと。

人間関係に疲れたときやること3:「ひとり」の時間をつくる

筆者も、取材などで常に笑顔でいたり相手の話に合わせたりと、本心でない感情をつくり出していることがあると気づきました。在宅勤務の時間が長く家族もいるため、「仕事から離れてひとりになる」時間は意外と少ないことも判明。

そこで、お風呂の時間だけは仕事のことを考えず、ひとりで好きに過ごすと決めました。お気に入りの入浴剤を入れ、タブレットで動画を見たりネットサーフィンをしたりと、自分のしたいことをやってみたのです。

すると、気持ちをうまく切り替えやすくなったと感じました。これまでは仕事の人間関係のことを考えてなかなか寝つけない日もあったのですが、実践後はそうした状況が減少。翌日、笑顔でいよう、話を合わせようと無理に思わなくても、相手の話を聞ける精神的な余裕が生まれましたよ。

***
考え方や行動を少し変えるだけで、人間関係の疲れは軽減できます。ご紹介した方法をこまめに実践して、疲れがたまりすぎる前にリセットしましょう。

(参考)
STUDY HACKER|人間関係に疲れるのは「気を使いすぎ」だから。「人と深く関わる必要はない」と心理学研究でもわかっている
ダイヤモンド・オンライン|「いい人過ぎる自分」に疲れない、大人気カウンセラーが教える対処法とは
マイナビウーマン|感情労働とは? 具体例と問題点・ストレスをためない対処法

【ライタープロフィール】
藤真唯

大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。

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