あなたの「カフェ勉」はちょっと惜しい。カフェでの勉強がもっとはかどる4つのコツ

カフェ勉を捗らせる意外なハック術01

「家で勉強すると、どうしても気が散ってしまう……」
そんな人に最適なのが「カフェ勉」です。学校のテストや資格試験のための勉強などで、すでに実践している人も多いのではないでしょうか。

そんなカフェ勉ですが、じつはちょっとした工夫で効率をさらに高めることが可能です。すでにカフェ勉を実践している人、そしてこれから実践してみようと考えている人は、ぜひ試してみてください。

【1】コーヒーではなく水を飲む

カフェで勉強するときに頼む人も多いコーヒー。コーヒーに含まれるカフェインには中枢神経系を興奮させる効果があり、眠気を覚まして集中力を向上させてくれます。

しかし「カフェイン中毒」という言葉もあるように、カフェインの過剰な摂取は考えものです。カフェインへの耐性がつくことによって上記のような効果が得られなくなるだけでなく、飲み続けなければ頭痛や嘔吐、集中力の低下などの離脱症状さえも出てしまう危険もあります

欧州食品安全機関(EFSA)が発表した「カフェインの安全性に関する科学的意見書」によると、習慣的にカフェインを摂取している体重60kgの成人にとって安全なカフェイン量は「1日342mg」。体重にとって個人差は出てきますが、1日5杯以上のコーヒーを飲むとカフェインの過剰摂取となる計算です。

そう考えると、普段からカフェインの過剰摂取には気をつけておきたいもの。そこで、長時間の勉強のお供におすすめなのが「水」です

イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学が行なった研究では、「500mlの水を飲んだ人」と「喉が渇いた人」の脳の動きを調査したところ、前者のほうが、脳の反応速度が約14%も速くなることがわかりました。ほかに、コネチカット大学の研究では、「水分を十分に摂取した状態から1.5%ほど脱水状態になったグループ」と「脱水状態になってないグループ」で比較調査を行なったところ、前者の「脱水状態のグループ」の女性は頭痛・疲労感・集中力の低下、男性は記憶力の低下、疲労・緊張・不安を感じることが判明しています。

喉の渇きと身体の水分量の低下にはズレがあり、自分でも気づかないうちに脱水状態になっていることもあります。こまめな水分摂取で脳の活性化状態を保ちましょう。

ちなみに、コーヒーを飲むのに最適な時間は、脳の覚醒状態を保つストレスホルモンが低下する「午前9時30分から11時30分」だそう。カフェインの効果は12時間継続するため、この時間に飲むだけで1日大丈夫。タイミングを合わせて効果的に活用しましょう。

カフェ勉を捗らせる意外なハック術02

【2】こまめに「締め切り」を設ける

せっかくカフェに行くのなら、時間を最大限に使いたいもの。でも、ついついスマホに手が伸びてしまうという悩みは、誰もが抱えているのではないでしょうか。そんなときは「締め切り」を設けることで作業に集中できるかもしれません。

ラトガース大学のガブリエラ・N・トニエット教授らのプロジェクトチームは、「予定外の予定を組み込まれたときに人はどのように時間を使うのか」をテーマに、2015年からの2年間、2,300人以上に8つのテストを行ないました。その結果、短い締め切りがあるとき、人は予定外の予定を入れず、いまある作業に集中しようとすることがわかりました。

行なわれたテストの中から一例をあげましょう。あるテストでは、シカゴのオヘア国際空港でフライトを待つ乗客134人に15分間の調査への参加を募りました。すると、フライトまで1時間ある乗客の約46%が調査へ参加したのに対し、30分の乗客は約26%しか参加しなかったのです。ここからわかるのは、短い時間でも「締め切り」を定めることは、自分の持っている時間を「限られた時間」ととらえ、別の予定を入れず、大切に使おうとするということです。

したがって、たとえば「このコーヒーを飲み終えるまでは勉強し続ける」「勉強しているほかのお客さんが帰るまで勉強する」など、こまめに締め切りを設けて区切ってあげれば、時間を無駄にすることなく作業に集中できるようになるでしょう。

カフェ勉を捗らせる意外なハック術03

【3】音楽を聴きながら勉強しない

カフェで勉強するときに、イヤホンをつけて音楽をかけて集中しようとしていませんか? じつは、勉強中の音楽は効率を下げているかもしれませんよ。

グラスゴー・カレドニアン大学で行なわれた研究では、40人の被験者に対して、テンポの速い曲、ゆったりとした曲、環境音、完全な無音の4つ状況のなかで認知テストを行ない、点数を比較しました。すると、完全な無音の場合が最も点数が高く、環境音、ゆったりとした曲、テンポの速い曲の順に点数が低くなっていくことがわかったのです。

こういった、作業中のBGMによる作業効率の低下に関しては、いくつもの研究がなされており、「無関連音効果」という形で理論化されています。カーディフ・メトロポリタン大学のニック・ペルハム上級講師によると、無関連音効果は、脳が2つの情報を同時に処理することによる負荷で引き起こされるそう。つまり、目の前に作業に対して、音楽は脳に負荷をかける邪魔な存在なのです。ちなみに、歌詞がある場合はさらに脳に負荷がかかり、作業効率がさらに低下してしまうとのこと。

また、カフェに関するおもしろい研究があります。イリノイ大学のラヴィ・メータ助教授らが行なった、環境音が創造性に与える影響を調べた研究では、被験者にさまざまな環境音のなかで新しいタイプのマットレスを考えてもらうなどの方法で創造性をテストしました。結果は、比較的静かな50デシベルの環境と比較して、70デシベル程度の環境音において創造性が最も向上し、85デシベル以上になると低下するというものでした。そして、70デシベル程度の環境音は、ちょうど「にぎやかなカフェ」で得られると、メータ助教授は指摘します。

もちろん勉強の内容にもよりますが、音楽を聞くより、カフェの騒がしさのなかでそのまま勉強したほうが、効率がアップすることもあるのです。

カフェ勉を捗らせる意外なハック術04

【4】同じカフェで勉強する

教育学者の齋藤孝氏は、かつて初めてスターバックスに訪れたときの衝撃を「いままでの日本にない、『大人が向上心を持っていてもおかしくない場所』だった」と語っています。

この齋藤氏の言葉の通り、自分のモチベーションをアップさせてくれるような環境を選ぶことは重要です。たとえば、先ほどの環境音について考え方を踏まえると、じっくりと難しい本を読むときには人の少ない静かな個人経営のカフェ、本を読みながらなんらかのワークを試してみるときにはにぎやかで机の広いカフェ、といったように。勉強の内容に適したカフェを選ぶことは、やりやすさや効率化につながります。

また、「このカフェではこの勉強をする」と決めておくことは、私たちの無意識に良い方向で働きかけてくれるかもしれません。心理学に「レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)」という考え方があります。これは、同じ条件のなかで何度も反復して「快(満足感や喜びなど)」を感じることで、その条件のなかであれば結果に関係なく快を感じられるようになるというもの。梅干しを見ると思わず唾液が出てくる現象が、このレスポンデント条件づけの典型的な例です。

ピークパフォーマンス代表取締役の平本相武氏によれば、じつはこの条件づけは自分でもできるとのこと。つまり、同じカフェで何度も勉強をすることで、勉強したという達成感が快となり、そのカフェに行くだけで自然に勉強がしたくなるという条件づけが可能になるのです。

勉強において、継続は何よりも大切なこと。何度も通いたくなるようなカフェを見つけることは、その一歩になるかもしれません。

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最後に述べた「条件づけ」の話を踏まえると、家で勉強できないという人は、家に「休む」「寝る」といった条件づけがされているのかもしれません。そんなとき、カフェ勉は新たな条件づけのチャンスです。「水を飲む」「締め切りを設ける」「集中したいときに音楽は聞かない」などのテクニックを駆使して、カフェへの良い条件づけを行ないましょう!

文 / 谷口亮祐

(参考)
NIKKEI STYLE|知っていますか? 自分のカフェインの「安全量」
Frontiers|Subjective thirst moderates changes in speed of responding associated with water consumption
STUDY HACKER|頭が働かないのは “隠れ脱水” が原因かも!?「集中脳」をつくる水分補給テクニック
Inc.com|The Best Time of Day to Drink Coffee, According to Science
Futurity|A busy schedule really does tank your productivity
Cassidy Gianna et al (2007), "The effect of background music and background noise on the task performance of introverts and extraverts.", Psychology of Music, vol35(3), pp517-537.
VICE|仕事中の音楽によって作業効率は上がるのか
The Atlantic|Study of the Day: Why Crowded Coffee Shops Fire Up Your Creativity
幻冬舎plus|出勤前の1時間、スタバで「大人の勉強」してみませんか
ITmedia エンタープライズ|やらなきゃいけないことは「快」にする 習慣化の方法

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