「自尊心の低い人」がもっと心地よく生きるために。ありのままの自分を無条件に肯定できる2つの習慣

自尊心が低くいつも落ち込んでいる人

自尊心が高いとポジティブな側面で、低いとネガティブな側面で語られることが多いもの。その一方である専門家は、自尊心が低くても充実感を得られる可能性を示唆しています。

それに、自尊心が低い人の特徴は、なんだか不器用でしんどそうで、むしろ “人間らしい” とも言えるかもしれません。そこで今回は、人間味にあふれた「自尊心の低い人」が、もっとラクに生きるためにできることをふたつ紹介します。

自尊心が高い人・低い人の特徴

心理学講座を開催している公認心理師・精神保健福祉士の川島達史氏は、それぞれにエビデンスを示したうえで、自尊心(自分に対する肯定的な感覚)が心理的にどう影響するか紹介しています(※家族関係についても挙げられていますが、複雑なテーマなので省きました)。以下に示された言葉はすべて自尊心が高い人に対するものです。

  1. 「自尊心が高いとシャイになりにくい」
  2. 「怒りにくくなる」
  3. 「自尊心が高いと傷つきにくい」
  4. 「自尊心と完璧主義は負の相関」

※1と2は桜井茂男氏による研究(2000年)、3は松田信樹氏による研究(2006年)、4は片受靖氏らによる研究(2016年)から述べられています。

(カギカッコ内引用元:Direct Communication|自尊心が低い方へ,高める方法) 

川島氏の解説を参考に上記4つの項目について説明すると――自尊心が高い人は自信があるからこそ社交的になれるし、自分はすでに自分を認めているので、他者に嫌なことを言われてもあまり腹が立たないし、ひどく傷つくこともない。そして、自分には価値があると考えているからこそ、完璧ではなくとも気にならないわけです。

また、4項目の根拠として挙げられた各研究は、その反対――つまり「シャイ・怒りやすい・傷つきやすい・完璧主義」が、自尊心が低い場合の特徴であることを示しています。確かにネガティブな印象ですが、恥ずかしくて、傷ついて、イライラしていて、完璧でありたいと必死になっている人を想像してみてください。むしろ愛すべき、“いかにも人間らしい人間” が目に浮かんできませんか?

愛すべき人間味にあふれた自尊心が低い人

大切なのは自尊心より自己受容

一方で、LMFT(認定結婚・家族療法士)・LPCC(プロフェッショナル臨床カウンセラー)のAlli Spotts-De Lazzer氏は、心理学の専門誌「Psychology Today(オンライン版)」のなかで、高い自尊心は「強力で素晴らしい」としながらも、自尊心が高いゆえに生じる問題について次のように述べています。(以下の英語文は「Psychology Today」より引用。日本語文は筆者が補いました)

Performative
(パフォーマンス的)

Disconnected from reality
(現実とかけ離れている)

Even slightly (or majorly) narcissistic
(わずかに、またはきわめてナルシスト的)

Alli Spotts-De Lazzer氏が挙げた例などをもとに上記の言葉について説明すると、高い自尊心をもつ人は、自分のすごさをアピールするものの、意外とそれが現実とは違う(完璧だと言ったのに、やってみるとそうでもない)ことがあるそうです。また、自己陶酔(ナルシスト・ナルシシスト)的で、自信があるゆえに次のような傾向もあるとのこと。

The self-assuredness that often comes with high self-esteem can get in the way of curiosity and openness to others' views.
(高い自尊心にしばしば付随する自信は、他人の意見に対する好奇心と開放性を妨げる可能性があります)

自信がありすぎて聞く耳をもたなくなり、まだ知らない世界や物事、考え方を知ろう、学ぼうという気持ちが後退してしまうのでしょうか。

逆に、たとえ自尊心が高くなくても、次のように得られることはたくさんあるのだとか。

Those moments of feeling purposeful, joyful, connected, appreciated, or whatever—each can happen sans positive self-esteem.
(目的をもっている、喜びに満ちている、つながっている、感謝されているなどと感じる瞬間は、どれもポジティブな自尊心なしに起こります)

(引用元:Psychology Today|Poor Self-Esteem? Try Self-Acceptance

つまり、必ずしも自尊心を高くすることだけが最善ではないということ。だからこそAlli Spotts-De Lazzer氏は、自尊心よりも自己受容(self-acceptance・ありのままの自分を受け入れること)を優先するのだとか。それはきっと、自尊心が低くてしんどい思いをしている人が、ラクに生きるためのヒントになるはずです。

楽に生きるためのヒントを得た笑顔の女性

「自尊心の低い人」がラクに生きるために

じつは前出の川島氏が「自尊感情を高めるコツ」として挙げている内容は、Alli Spotts-De Lazzer氏による自己受容の説明(自分を知って思いやり、現実を受け入れる)に通じる部分があります。自尊心の低い人が、自己受容を目指す際のいい参考になるはず。ふたつにまとめて紹介しましょう。

1.「自分を肯定した自分」をほめまくる

川島氏は自尊心が低い人に対し、次の「無条件の肯定」を意識するよう伝えています。

いついかなる時も、成功失敗に関わらず、条件なしに肯定していく

(引用元:Direct Communication|自尊心が低い方へ,高める方法

これはつまり、「まあなんとかなるさ」「なにはさておき、なんとかやれている」といったかたちの肯定を指すのだとか(カギカッコ内「Direct Communication」より)。

もしも、それが難しいなら、川島氏が推奨するもうひとつの方法と組み合わせてみてはいかがでしょう。その方法とは、就寝時に布団に入って目をつむり、今日楽しかったことや頑張れたことなどを思い浮かべる「褒め褒めタイムを作ること」(カギカッコ内「Direct Communication」より)。

たとえば落ち込みそうなとき、あるいは何かの問題を抱えたときなどに、心が追いついていても、いなくても、次を行なうわけです。

ステップ1:「なんとかなるさ」「よくやってるよ」などと声に出して自分の耳に聞かせる。

自分の耳で聞いてしまえば、それは消し去ることのできない事実となるはず。それから就寝時の「褒め褒めタイム」に、その事実もひとつの要素として加えてしまうのです。

ステップ2:「今日は無条件に肯定する努力をした。エライぞ自分」と心のなかで思う。

じつは自尊心低めの筆者も、「今日よかったこと」を思い浮かべながら寝入る習慣を続けていますが、“ほんのすこーし前向きに考えただけ” のことも「よかったこと」に加えていくと、それだけでもジンワリと自分を誇れる感覚が湧いてきます。しかもそれが、ことのほか心地いいのです。自己受容の実現につながる期待感は大きいですよ。

今日よかったことを思い浮かべながら就寝するビジネスパーソン

2.「過去と現在の因果関係」を挙げてみる

みなさんは「嘆きの仕事」をご存じでしょうか。川島氏は次のように説明しています。

自尊心を育てるには、過去に意味を見出し、過去の失敗や、嫌な出来事に重要な意味付けをしていく必要があります。これはかなりしんどい作業になります。心理学的に「嘆きの仕事」と言われることもあります。

川島氏の説明は、この「嘆きの仕事」が “過去を受け入れること” につながると示唆しています。同氏によれば、“過去を受け入れること” は、

「辛い過去があったからこそ今の自分がある」

といった感覚を意味するそうです。

(引用元:同上)

もしもそれが、耐えがたいほどのつらい過去ならば、専門家の助けが必要となるでしょう。

しかし、これまでの内容をふまえ、ビジネスシーンでのちょっとした失敗や嫌なことを振り返り、受け入れようとするならば、過去と現在の因果関係を淡々と挙げてみるのもいいかもしれません。たとえば次のように「過去のAがあったから、現在のBになった」といった形式です。

  • 「知らないのに知っているふりをして大失敗をしたから、知っているふりをほとんどしなくなった。逆に、学ぶ姿勢が身についたかも?」
  • 「〇〇のプレゼンで大失敗をしたので、プレゼンの必要がない仕事に就いた。ストレスが激減したと思う」

大切なのは、自分が自分の過去に意味づけをすること。その内容は、誰もが感心する立派な話である必要はまったくないのです。

これを続けていけば、いまの自分をつくったどんな過去でも、受け入れようとする姿勢が身についていくのではないでしょうか。つまりそれは自分自身を受け入れていくことであり、自分自身をラクにする自己受容の取り組みでもあるわけです。

***
人間味にあふれた「自尊心の低い人」が、ラクに生きるためにできることふたつを紹介しました。よろしければ参考にしてみてくださいね。

(参考)
Direct Communication|自尊心が低い方へ,高める方法
Psychology Today|Poor Self-Esteem? Try Self-Acceptance

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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