困難を乗り越えられない人には “この3つ” が欠けている。つい感情的になる人、要注意です

困難から立ち上がる力を高める方法01

失敗をいつまでも引きずってしまう……。挫折からなかなかはい上がれない……。このようにお悩みの方はいないでしょうか。少なくとも、この記事に興味を持って読み始めた方であれば、そういった悩みを抱えていることかと思います。

「少しでも早く逆境から立ち上がれるようになりたい」と思っている方へ向けて、今回は、立ち上がれるかどうかを決める3つの力と、前向きに立ち上がれるようになるための方法を、詳しく解説します。

立ち上がれない人に足りない力1:冷静に考える力

困難な出来事やストレスのかかる状況に遭遇したとき、それに柔軟に対応し乗り越えられる力のことを「レジリエンス」と呼びます。この記事のテーマである「立ち上がる力」は、まさにこの力です。

レジリエンス研究の専門家である市川佳居氏は、このレジリエンスの向上に大事な要素のひとつとして「セルフコントロール(=冷静に考える力)」を挙げています。市川氏いわく、セルフコントロールがうまくできる人には次のような特徴があるのだそう。

困難な状況に陥っても……

  • 一歩下がった客観的な視点で、状況をとらえることができる
  • 柔軟に考え、対応することができる
  • 自分を取り戻す時間を持てるので、ストレスを軽減し前向きになれる

一方、セルフコントロールができない人(冷静に考えられない人)は、主観的にしか物事をとらえることができなかったり、考え方を変えられなかったり、衝動的になってしまったりします。それゆえ、つらい状況からうまく立ち上がることができません

たとえば、接客業で客に不愉快な思いをさせてしまい、客から厳しく叱られたうえに、上司からもきつい叱責を受けたとします。その場合、冷静に考えられない人は、ただただ自分を責めて混乱し、また同じ失敗を繰り返すかもしれません。

しかし、冷静に考えられる人ならば感情的にならず、「何が悪かったのか」を落ち着いて考えて反省することができます。困難からすばやく立ち上がり、前を向くことができるのです。

困難から立ち上がる力を高める方法02

立ち上がれない人に足りない力2:自己肯定感

自己肯定感とは、自分の存在や価値をプラスにとらえてありのままに受け入れたり、自分自身を好きでいられたりする感覚や感情のことです。

心理学者のガイ・ウィンチ氏は、自己肯定感が低いと心の免疫力が大きく下がってしまい、つらいことで傷つきやすく打たれ弱い状態になると言います。逆に、自己肯定感を高めれば、小さなことではへこたれない強い心になるそうです。

たとえば、あるプロジェクトのリーダーを任されることになったものの、チームの意見がバラバラでなかなかプロジェクトが進行せず、上司から「責任は、チームをうまくまとめられないリーダーにある」とプレッシャーをかけられたとしましょう。自己肯定感が低い場合、「もう私なんかでは無理だ」とすぐにへこたれてしまうかもしれません。

しかし自己肯定感が高ければ、「私ならどうにかできる」「私にはアドバイスをくれる先輩がたくさんいる」と考えることができます。たとえつらいときでも、自分に自信を持ち、物事をポジティブに考えられるのです。

困難から立ち上がる力を高める方法03

立ち上がれない人に足りない力3:気持ちを切り替える力

心理カウンセラーの高見綾氏によると、気持ちの切り替えが上手な人は、物事がうまくいかなかったり怒られたりして落ち込むようなことがあっても、暗い気持ちを長引かせることがないそうです。そういう人は、自分の気持ちを整理して、次のステップへとすぐに目を向けることができます。だから、つらいことから早く立ち直れるのです。

逆に、気持ちの切り替えが苦手な人は、あきらめが悪すぎて、犯してしまった失敗をいつまでも引きずります。そうすると、ますます暗い気持ちになり、負のスパイラルに陥っていくのです。

たとえば、作業中に会社の物を壊してしまったとしましょう。同じことを繰り返さないために、失敗の原因を考え深く反省するのはもちろん大切です。しかし、反省を終えたところで気持ちをサッと切り替えないと、落ち込み続けて動揺してしまいかねません。落ち着いて作業することができず、再び同じミスを繰り返す恐れもあるでしょう。

その点、気持ちをすばやく切り替えられる人は、過去を悔むことに時間を使い続けません。過去は変えられないとわかっているからこそ、失敗を乗り越えることができるのです。

困難から立ち上がる力を高める方法04

ではここからは、困難から立ち上がる力のない人がその力を持てるようにするための3つの方法をご提案します。

冷静に考える力は「マインドフルネス」で養う

前出の市川氏は、セルフコントロール力を高めるには「マインドフルネス瞑想」が効果的だと言います。失敗した場合や落ち込んだときでも、冷静に自分の感情をコントロールして柔軟に物事に対処できる力が、マインドフルネス瞑想によって養えるそうです。

早稲田大学教授の熊野宏昭氏によると、マインドフルネスとは、過去や未来を考えず、「今」という瞬間だけに心を向け集中した状態のこと。そのマインドフルネスの状態をつくるために行なうのが、瞑想です。

市川氏の解説によれば、マインドフルネス瞑想により、脳の扁桃体という部位を鎮めることができるそう。扁桃体は、危険を察知した際に、攻撃するか逃げるかという衝動的な反応を引き起こさせる部位。この扁桃体を鎮静化させることにより、困難な状況でも落ち着いて考え行動することができるようになる、と市川氏は言います。

では、熊野氏がすすめるマインドフルネス瞑想のやり方を紹介しましょう。

  1. 背筋を伸ばして座り、目を軽く閉じてゆっくり呼吸をする。
  2. 息を吸うときは、お腹や胸の膨らみを感じながら「膨らみ、膨らみ」と心の中で実況する。
  3. 息を吐くときは、お腹が縮むのを感じながら「縮み、縮み」と実況する。

最初は1日10分からにして、慣れてきたら徐々に時間を伸ばしていけばよいそうです。ぜひやってみてください。

困難から立ち上がる力を高める方法05

自己肯定感は「実体験」を積んで高める

自己肯定感の高い人には、「自信がある」という特徴があります。その自信を高めるためには、自分の目標に向かって経験を繰り返し積むことが大切です。

これは、レジリエンス研究の専門家・久世浩司氏によるアドバイス。久世氏は、実体験を積むことで、たとえ根拠がなくても「自分なら大丈夫」という自信を持つことができるようになると言います。こうして自信をつけ自己肯定感を高めることが、レジリエンスを鍛えるには欠かせないのだそうです。

ひたすらルール本を読んでも野球は上達しないように、何事も経験してみて初めてできるようになるものです。できるようにならなければ、自信も何もありませんよね。

たとえば、店頭接客で必要なレジ打ちも、マニュアルを見てやり方を確認したあと、実際にレジに立ち自分で打ってみることで身につきます。取引先との商談でも、最初こそ先輩の隣で流れや話し方を覚えますが、本当に必要なのは自らが実際に商談をしてみることです。小さなことからでもよいので実体験を積み重ね、「自分にもできる!」という自信をつけていきましょう

困難から立ち上がる力を高める方法06

気持ちの切り替え力は「ストレス発散」で身につける

「立ち上がる力を持つには、気持ちを切り替える力が大切」だと述べていた高見氏は、気分転換が上手にできる人は、気持ちの切り替えも上手だと言います。趣味や楽しみなど、気持ちを休めたり和らげたりできる自分なりの方法があると、ストレスをため込まず、その都度解消できるので、失敗から立ち直りやすくなるのです。

ですので、自分に合った気分転換の方法を見つけておきましょう。方法は何だってかまいません。好きなスポーツをするといったように、時間が経つのも忘れてしまうくらい没頭できることでもいいですし、休憩中に外に出て空気を吸ったり少し散歩をしたりという簡単なことでも大丈夫。そうすれば、失敗したり気持ちが落ち込んだりしたときでも、きっと気持ちを切り替えて前を向けるようになるはずです。

***
仕事をしていれば、トラブルや失敗は付き物。誰しも落ち込んで暗い気持ちになることがあるかと思います。そんなときは、今回お伝えした方法を実践してみてください。明るく前向きに立ち上がれるはずですよ。

(参考)
アドバンテッジJOURNAL|レジリエンス:変化にしなやかに適応するために
日経アドネット|丸の内キャリア塾 あなたのレジリエンスを見つけて折れない心を育てる
東洋経済オンライン|「心の免疫力」がどんどん高まる5つの習慣
マイナビウーマン|メンタルが強い人の特徴。強いメンタルの作り方とは
NHK健康チャンネル|「マインドフルネス」とは?めい想の方法・効果と「呼吸のめい想」のやり方
NIKKEI STYLE|失敗を引きずらない 「立ち直る力」の身につけ方
マイナビウーマン|気持ちの切り替えが苦手でできない。上手に切り替える方法とは

【ライタープロフィール】
YUKA
大学ではフランス語を専攻。高校では一年間オーストラリアへ留学。海外への一人旅も経験し、夢は海外移住。趣味は音楽鑑賞・グルメ巡り・旅行など。

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