ノートとペンを用意して “自分を深掘りする旅” に出かけよう。不安解消にも効く「原体験ジャーニー」とは

リモート勤務中のビジネスパーソン

休日のひとり時間や、仕事終わりに自宅で過ごすオフタイム。もしも時間を持て余しているなら、自分を深掘りしてみてはいかがでしょう。

自分の軸や土台を固めてくれる「原体験」にたどり着くことができ、迷いがなくなるのだとか。不安にも押しつぶされにくくなるそうですよ。

今はもはや不安しかない筆者が、自分の深掘りを実践してみます。まずは「原体験」の説明から。

「原体験」を掘り起こすこと

パーソナル・ベンチャーキャピタル合同会社CEOのチカイケ秀夫氏は、「原体験を掘り起こすことにより、揺るぎない自信を持つことができる」と述べます。

原体験とは「自分の思想ルーツ」のこと。その人の考え方や行動に大きな影響を与えている、過去の経験を指します。

チカイケ氏によれば、原体験に基づき生きていくようになると、周囲の意見に振り回されたり、迷いが生じたり、不安を抱えたりすることが少なくなるそう。つまり、自分の心の重心が定まり、人生のコントロール感をつかめるわけです。 だからこそ、「原体験を自覚できている人の言葉は響く」と同氏は言います。

また、ソーシャルゲームやゲーム音楽などのビジネスを行う株式会社カヤックのCEO 柳澤大輔氏によると、投資家は、起業家の「原体験」を投資の判断材料にするのだとか。強烈な原体験が、困難な状況でもブレない意志力忍耐強さをもたらしてくれるからです。

うーん、ますます自分の原体験を掘り起こしてみたくなってきませんか?

強烈な原体験を持ち、困難な状況でもブレない意志力と、忍耐強さがある男性

「原体験」の掘り起こし方

自分の原体験を知るためには、原体験(自分の内面)を掘り起こす作業が必要だとチカイケ氏はいいます。同氏はそれを旅にたとえ、原体験ジャーニーと呼ぶそう。

原体験ジャーニーには、1人で行なう「自己ワーク」と、2人1組で行なう「ペアワーク」がありますが、今回筆者は「自己ワーク」で自分を深堀りしていこうと思います。

用意するのはノートとペンだけ。まず最初は、次の基本的な5項目について答えることから始めます。

基本の5項目
  1. 今やっていること
  2. 時間を忘れてできること
  3. 好きな言葉
  4. やりたくないこと
  5. 将来やりたいこと

次に、1~5の答えそれぞれを深堀りしていきます。コツは「なぜ」から始まる問いかけです。

たとえば上記1の「今やっていること」が「フードコーディネーター」であれば、次のようになります。

1の答え「フードコーディネーター」
Q:「なぜ、フードコーディネーターになったのか?」
A:「食べることに興味があった」
Q:「なぜ、食べることに興味があったのか?」
A:「両親ともに仕事で忙しく、自分で料理するようになったから」
Q:「なぜ、料理するようになって食に興味がわいたのか?」
A:「両親と祖父母がおいしいと言ってくれたから」
Q:「なぜ、おいしいと言われ食に興味がわいたのか?」
A:「もっとおいしいものを、食べさせたいと思ったから」

深堀りは、“この経験があったから今の自分がある” と納得できたり、腑に落ちたりするまで行なうそうです。そこで、「もうこれ以上は質問も返答もできない」と感じたら、そこが「原体験」とのこと。

では、さっそくやってみましょう。

自分を深掘りしてみた

まずノートとペンを用意し、「基本の5項目」を書きます。

原体験(自分の内面)を掘り起こしのための、基本の5項目

それに答えていきます。

原体験(自分の内面)を掘り起こしのための、基本の5項目に答える

次に、それぞれの答えについて、「なぜ?」と問いかけ腑に落ちるまで深く掘っていきます。

「基本の5項目」のそれぞれの答えを、「なぜ?」と問いかけ深く掘っていく

たとえば、1に対する答えは「ライター」なので、それを「なぜ?」の問いかけで深掘りしたところ、こうなりました。

Q:なぜ、ライターになったのか?
A:小さい頃から作文が大好きだった。
Q:なぜ、作文が好きだったのか?
A:情感表現が楽しかった。
Q:なぜ、情感表現が楽しかったのか?
A:リアルでは(顔の)表情が乏しかったから。
Q:なぜ、表情が乏しかったのか?
A:自分をさらけ出せなかったから。
Q:なぜ、自分をさらけ出せなかったのか?
A:自信がなかったから。
Q:なぜ自信がなかったのか?
A:「いい子」の仮面をかぶっていた(本当の自分ではなかった)からかも?

あれ? なんだか意外な方向にすすんでしまいました。

自分を深掘りしてみた結果

自分を深掘りして、原体験にたどり着いてみた

今回、チカイケ秀夫氏の「ペンとノートだけで自分をとことん深掘りする取り組み(原体験ジャーニー)」を実践してみました。

自分の思想形成に影響している原体験(過去の大きな体験)にたどり着いた、というよりも、自分の心の奥底深くに潜んでいた秘密に触れてしまった印象です。原体験をした際の感情を自覚した、といったところでしょうか。

たとえば今、自分が執筆の仕事をしているのは、小さいころ「いい子仮面」をかぶり、本来の自分ではなかったから、情感あふれる文章を書くことで自分を解放し続けているのだ、と自覚できたのです。

いつも、「言葉が好きだから書く仕事に就いた」などと表面的なことしか言えなかったので、なんだか目からウロコの状態です。

いずれにせよ、自分を深掘りしてみた結果、自分の確固たる軸と土台を固められた安心感に包まれているのは確かです。

***
旅行には頻繁に出られなくても、自分を深掘りする旅にはぜひとも気軽に出てみてくださいな。今まで見たことのない風景を目にできるはずです。

(参考)
PHPオンライン衆知|「先の見えない不安」を払拭するために、“ノートとペン”でできること
Forbes JAPAN|起業家には「原体験重視」と「着眼点重視」の2つのタイプが存在する|面白法人カヤック 柳澤大輔
チカイケ秀夫著(2020),『原体験ドリブン 人生の答えの9割がここにある! 』,光文社 .
コトバンク|原体験(ゲンタイケン)とは

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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