「稼ぐ力」に直結する勉強法3ステップ。“○○主体の学び方” では評価も給与も上がらない

「稼ぐ力」に直結する勉強法3ステップ01

仕事で稼ぐために、勉強して知識やノウハウを身につけたはず。けれども、実際の給料や業績は上がっていない……というビジネスパーソンは意外にも多いのではないでしょうか?

そのような人は、これまでの勉強法を見直さなければ、学びを稼ぐ力に直結させることはできません。そこで今回は、稼ぐ力につながる勉強法3ステップをご説明します。

勉強を「稼ぐ力」に変えられない人の特徴

勉強を稼ぐ力に変えられないビジネスパーソンには、特徴がふたつあります。

ひとつめは、「将来どんな人材になりたいかが考えられていないこと」。かつてIBMで企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーを務め、現在ではSMBCコンサルティングなど大手銀行系の研修提供会社で人材育成講師を務める清水久三子氏は、勉強を稼ぐ力に変えられないビジネスパーソンは、「将来どんな人材になりたいか」というキャリアマネジメントと「理想の将来を実現するために必要な勉強は何か」というラーニングマネジメントの考え方が結びつけられていないと言います。

たとえば、営業職やクリエイティブ職の人が「簿記2級くらいの知識はもっておこう」と資格を取得しても、学んだ知識そのままを実際の場面で使うことはほとんどありませんよね。そもそもどんな人材になりたいかが考えられていないため、とりあえずもっておこうと資格を取得したところで宝の持ち腐れになってしまうのです。

そしてふたつめは、「インプット主体の勉強をしていること」。清水氏は、やみくもに資格をとろうとしてしまう背景として、学生時代から変わらず筆記試験を前提とした暗記主体の勉強を重視していることを挙げています。ビジネスパーソンの勉強は「暗記した」「テストでいい点をとった」がゴールではないため、インプットばかりでは稼ぎにも成果にもつながらないのです。

もしこれらに思い当たる点があるなら、以下の3ステップにのっとり、「稼ぐ力」にきちんとつながる勉強を始めましょう。

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【ステップ1】10年後と3年後の目標を立てる

「稼ぐ力」を身につけるための最初のステップは、10年後の長期目標と3年後の中期目標を考えること。このステップで、「これから勉強しようとしていることは、本当に自分にとって必要なのか?」といったことが見極められます。清水氏いわく、具体的な学習計画を立てるのは、これら中長期の目標を定めてから。手順は次のとおりです。

  1. 10年後、どんな自分になりたいかイメージする
  2. そのためには、3年後どんな人材になっているべきか中期目標を立てる
  3. 中期目標達成のために、まず最初の1年間で何をすべきか考える

たとえば営業に携わるビジネスパーソンなら、まず「本社で役職に就いていたい」といった10年後のビジョンを、大まかでよいのでイメージします。次に、「支部マネージャーになって年収〇〇万円以上を実現!」といった、具体的な数値も含めた3年後の目標についても考えてみましょう。ここまでイメージできたら、中期目標達成に向けて最初の1年間にとるべき具体的なアクションを導くために、次のステップへ進みます。

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【ステップ2】将来につながる分野に学習範囲を絞り込む

ここからいよいよ、具体的な学習計画を立てるフェーズです。1年間で勉強する内容を決めるために、学習範囲を絞りましょう。清水氏は、必要な学習を取捨選択する「情報マップ」をつくることをすすめています。情報マップでは、学習分野ごとに「○○氏のセミナーに参加する」「○○を読む」といったように、具体的な学習方法も考えます。先ほどの営業に携わるビジネスパーソンであれば、次のような「情報マップ」が作成できるでしょう。

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ここで気をつけたいのが、「誰にも負けない得意分野をつくる」ということ。「営業トップになるため、コミュニケーション術の本を読みつつ、営業理論のセミナーにも参加する」といったように、一度にさまざまなことを学ぼうとするビジネスパーソンは少なくありません。これから学習計画を立てようとしているあなたも、「あれもこれも学びたい」といろんなイメージが浮かんでいるかもしれませんね。しかし、これでは稼げる勉強にならないと起業コンサルタントの松尾昭仁氏は説きます。

なぜなら、なんでも平均的にできる人材は、組織から見て「いつでも替えが利く人」という位置づけになってしまうから。稼げるビジネスパーソンになるには、将来のビジョンにつながる誰にも負けない得意分野をつくり、「社内で替えが利かない人」を目指す必要があります。

そのための基本は、ひとつずつ学ぶこと。たとえば「人と接するのがそれなりに得意」なら、学習範囲はコミュニケーション能力に絞り込みます。業界知識を磨くとしたら、コミュニケーション能力についてひととおり学んでから。松尾氏によれば、全国区や業界トップクラスをいきなり目指すのではなく、まずは社内やチーム内などの小さな世界でナンバーワンを目指せばよいとのこと。したがって、必要な知識は順番に学んでいけばよいのです。

ちなみに、学習範囲を限定することは脳科学の観点からも有益なのだそう。脳神経外科専門医の築山節氏によると、脳は自由すぎることが苦手なので、制限を設けたほうが学習意欲が高まるとのこと。学習意欲が高まれば、「稼ぐ力を身につけてなりたい人材になる」という目標に、よりいっそう近づけるでしょう。

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【ステップ3】「現場」でアウトプットを重ねる

最後は、稼ぎへつなげるために最も重要なアウトプット(実践)のステップです。どれだけ綿密に学習計画を立てても、本やセミナーで得た情報を脳内にただインプットするだけでは、稼ぐ力に直結する勉強とは言えません。なぜなら、現場であなたが学んだ成果を見せなければ、職場での評価は変わらないからです。

そこで清水氏は、学んだことを仕事に活かして成果へつなげるために、アウトプットで得られた知識や教訓をExcelなどを使って記録することをすすめています。記録を読み返せば、同じ失敗を繰り返す心配もなくなるはず。下記は、先ほどのビジネスパーソンがコミュニケーション能力を磨き、苦手な取引先(=営業の現場)でアウトプットした結果をデータベース化した一例です。

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この例は5つの項目から構成されていますが、「誰と」「何をして」「どうなったか」が最低限わかればよいとのこと。文章も数行程度の簡単なものでかまいません。「次回への教訓」には、得られたフィードバックも書いておきましょう。

同じく現場でのアウトプットの重要性を説く松尾氏は、「学んだそばから仕事に使う」姿勢が必要だと言います。完璧に学んでからアウトプットすべきだと考えず、勉強開始と同時に、アウトプットの場面についても意識してみてください。

なお、アウトプットの重要性は、脳科学の観点からも説明できます。インプットで得た情報は「意味記憶」といい、覚えにくく忘れやすい特徴があると精神科医の樺沢紫苑氏は述べます。せっかく学んだことを忘れないようにするためにも、アウトプットは欠かせませんね。アウトプットからも学びを得て成果につなげれば、評価も給与も上がっていくことでしょう。

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勉強しても稼ぎにつながらないと悩むビジネスパーソンは、自分は何で勝負したいのかを見極め、計画的に学習することが大切です。そして、学んだことを積極的にアウトプットすれば、「稼ぐ力」をきっと身につけられるでしょう。

(参考)
清水久三子(2017), 『一流の学び方―知識&スキルを最速で身につけ稼ぎにつなげる大人の勉強法』, 東洋経済新報社.
松尾昭仁(2007), 『「稼ぐ力」が身につく大人の勉強法 仕事ができるヤツにガリ勉はいない!』, ダイヤモンド社.
築山節(2012), 『脳が冴える勉強法 覚醒を高め、思考を整える』, NHK出版.
樺沢紫苑(2018), 『学びを結果に変えるアウトプット大全』, サンクチュアリ出版.

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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