身近な先輩から「○○の資格に合格したんだ」と聞き、「自分もその資格をとりたい!」と思ったものの、「そのうち勉強してみようかな」と考えるだけで、結局は勉強しないままになっている……。
そんな先延ばしばかりを繰り返していませんか?
「勉強しなきゃ」と感じたときにサッと取りかかれる人と、ダラダラ先延ばしにしてしまう人の違いを本記事で学び、「即勉強できる人」に生まれ変わりましょう。
【1】即勉強できる人は、「とりあえずググる」
「将来的に役立ちそうな資格へ興味をもった。でも勉強するのは面倒くさい気がして、興味をもっただけで終わってしまった……」
そんな経験がある人は、「勉強するとなれば、参考書も読まないといけないし、問題集も解かないといけないし……」とやるべきことの多さを想像して、うんざりしたのかもしれません。
ですがそのような人でも、「とりあえずググる」ことから始めれば、うんざりすることなく即勉強できる人になれるでしょう。
習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、脳には、変化に抵抗し、現状を維持しようとする性質があるとのこと。新たな物事を始めるときには膨大なエネルギーが必要になるため、「面倒くさい」という心理が生じてしまうのです。
そこで取り入れたいのが、古川氏が提唱する「ベビーステップ」というメソッド。最初の一歩をなるべく小さく(=赤ちゃんのように)して、取りかかりのハードルを下げることです。これにより、「始める面倒くささ」を解消することができるのだそう。
勉強の場合なら、いきなり分厚いテキストに挑んだり、まとめノートをガッツリつくろうとしたりするのではなく、数分程度でできるようなちょっとした調べ物からスタートするのが得策。たとえば、身近で手軽な「インターネット検索」を使うのは一案です。
これは、株式会社カルペ・ディエム代表で勉強法に関する著作・コンサルティング活動を行なう西岡壱誠氏が提唱する方法。身のまわりの言葉を「とりあえず調べてみる」習慣をもてば、知識を深められるそうですよ。
たとえば、新聞で取り上げられていた「キャリアコンサルタント」という資格に興味をもったとき。この資格って何をする資格なんだろう。この資格があるとどんな職場で働けるんだろう。この資格をもつ著名人はいるかな……など、とりあえず検索して調べてみましょう。そうするうちにおのずと、資格への興味がより深まったり、勉強法を知ったりすることになるはず。いつの間にか資格取得への一歩を踏み出せるかもしれません。
【2】即勉強できる人は、あえて「雑に」読む
「同僚と話していて、自分には業界知識が足りないと危機感をもった。にもかかわらず、勉強はやっぱりおっくうだ……」
そんな人は、「ちゃんと体系的に学ばなきゃ意味がない」「完璧にマスターしなければ」と思い込んでいませんか? 「多少雑でもいい!」と考えるほうが、勉強を始めやすくなりますよ。
英ケンブリッジ大学でメンタルヘルスを研究するオリヴィア・リームス氏は、やる気を引き出すには、「完璧を目指さず、下手にやる」といいと提言しています。「不完全でいいのだ」と気楽に構えると、取りかかりのハードルが下がるので、面倒くささを解消できるのです。
たとえば、同僚との会話でマーケティングの知識が足りないと気づき、本は買ってみたもののなかなか開く気にならないのであれば、
- とりあえずザッと読めばいいや
- 難しい箇所、つまらない箇所は飛ばしちゃおう
- 興味がある章だけ読んでおこう
という具合に、あえて “雑な” 読み方をしてみましょう。先述の「ベビーステップ」も意識するといいですね。
そのうえで、気になった箇所があれば印をつけておいて、あとでじっくり読み込めばいいのです。最初から「完璧にやろう」とするのではなく、「手を抜きすぎかな」と思うぐらい楽なやり方で勉強を始めてみてください。
【3】即勉強できる人は、「情報の空白」を見つける
「何か資格をとりたいなと考えていたら、たまたまとある資格の広告が目についた。『よさそう!』とたしかに思ったのに、その興味はすぐ消えてしまった」
このような状況は、興味の深堀りが一歩足りないせいで起きたのかもしれません。自分のなかの「情報の空白」をうまく見つけて好奇心を刺激すれば、即勉強できるはずです。
米国NLP協会認定トレーナーで脳の仕組みに詳しい山崎啓支氏によれば、勉強への好奇心をかき立てるには、「空白の原則」を活用するとよいそうです。山崎氏いわく、脳は「よくわからない物事=情報の空白」に遭遇したとき、それをなんとか理解しようとフル回転する性質をもつとのこと。このとき、私たちの好奇心や集中力が高まります。
たとえば、「簿記の資格が役に立ちそうだから学んでみようか」と考えたものの、それより先に進めずにいるとしましょう。ここで試したいのが、自分の好奇心をかき立てるために、どこが「情報の空白」なのかをはっきりさせること。
それには、具体的な「問い」を立ててみるとよいと山崎氏は言います。以下のような感じです。
- 簿記とは、どんなフォーマットで書くものなんだろう?
- 簿記には、何を記述するんだろう?
上記のような問いを通して「わからないこと」が明確になれば、脳はそれを「知りたい!」「調べたい!」と自然と思うようになります。好奇心が湧いてきて、勉強に対するやる気がぐっと増すはず。
自分の好奇心を上手に刺激できるかどうかという点も、勉強に取りかかれる人・取りかかれない人の分かれめのひとつと言えるのです。
【4】即勉強できる人は、「先延ばしの代価」を考える
「とある資格に関心が湧いた。でもまだいまは勉強しなくてもいいか……」
そう考えて勉強を先延ばししている人は、先延ばしによってどんな損を被るのかを考えていないために、学びの機会を取りこぼしているのかもしれません。即勉強できる人になるには、起こりうる損を先回りして具体的にイメージすることをおすすめします。
生産性コンサルタントのクリス・ベイリー氏は、先延ばしを防ぐために「先延ばしの代価をリストアップする」という方法を提唱しています。
たとえば、同僚がファイナンシャルプランナーの資格をとったと聞き、自分も勉強しなきゃと思ったけれど、「いまはまだいいか」と思いかけた……そんなときは、「いますぐ勉強に取りかからないと、代償として何を失ってしまうか?」を一考して、リストアップしてみましょう。次のような感じです。
- いつまでも資格をもたない自分は、将来の活躍のチャンスを失うだろう
- 資格をとれば得られるはずの、給与アップの機会を失うだろう
- 「資格をとらなきゃ」と考え続ける羽目になり、精神の安定を失うだろう
上記のように、家計やストレス、幸福などの観点で、先延ばしの代価を想像することをベイリー氏はすすめています。「損することは避けたい……!」という感情を刺激すれば、即勉強に取りかかることができるでしょう。
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勉強を先延ばしにしがちな人は、上記4つのテクニックを取り入れることで勉強のやる気を高め、「即、学ぶ」習慣を身につけてくださいね。
(参考)
東洋経済オンライン|「勉強や運動」が続かない人が陥りがちな勘違い
東洋経済オンライン|東大生が断言「スマホは勉強に役立つ」3大理由
ダイヤモンド・オンライン|先延ばしグセを克服する、「科学的に正しい」3つの方法
山崎啓支 (2012), 『マンガでやさしくわかるNLP』, 日本能率協会マネジメントセンター.
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|「先延ばし」を克服する5つの戦略
【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。