「場の雰囲気をよくできる人に憧れるけど、引っ込み思案な自分には無理かな……」
「まわりの人から好かれたい。でも、具体的に何をしたらいいかわからない……」
今回の記事では、上記のような悩みがある方に向けて、「周囲の雰囲気をよくする人」の特徴を5つご紹介します。
ご自身に当てはまるかどうかチェックしつつ、悩みの解消に役立てていただけたら幸いです。では、さっそくご説明しましょう。
1. 笑顔を積極的に見せる
引っ込み思案で、仕事のミーティングではいつも表情が硬くなりがち……という人は、笑顔を積極的に見せることを意識しましょう。
精神科医の樺沢紫苑氏によれば、笑顔を見せると、「楽しい」「喜び」「感謝」といったポジティブで好意的なメッセージを相手へ伝えられるそう。普段から笑顔でいるほか、話しかけられたときに笑顔で対応すれば、まわりの人とのコミュニケーションが円滑になると樺沢氏は言います。
そうはいっても、日頃表情が硬くなりがちな人にとって、笑顔は簡単ではないかもしれません。そんな方は笑顔のつくり方の目安として、「デュシェンヌ・スマイル」を意識してみてください。
スマイルサイエンス学会代表理事の菅原徹氏によると、デュシェンヌ・スマイルとは「本物の笑顔」。表情研究に取り組んだフランスの神経学者、ギヨーム・デュシェンヌ・ド・ブローニュ氏にちなんで名づけられました。ポイントはふたつだそうです。
- 上のまぶたが緩やかにカーブを描く程度に目を細める
- 口角を上げる
こうすると、社交辞令的な笑顔にならず、相手にポジティブな印象を与えやすくなると菅原氏は言います。
たとえばオフィスで業務の相談をするときやミーティングの際は、目元と口元に意識を向けて笑顔を心がけながら話してみましょう。ちゃんと笑顔になれているか不安な人は、鏡の前でデュシェンヌ・スマイルの練習をしてみてもいいかもしれませんね。
表情ひとつで場の雰囲気をよいものにできます。ぜひ試してみてください。
2. 素直に助けを求める
仕事をどのように進めたらよいかわからなくなったとき、自力だけでなんとかしようとしていませんか? そんな人は、素直に助けを求めると、まわりの人から好感をもたれやすくなります。
これは、コミュニケーション総合研究所代表の松橋良紀氏が述べていること。周囲を素直に頼ると、その素直さから、まわりの人が「よし、助けてあげよう」と “応援者” になってくれるそうです。
一方、頑固な態度のままだと、「扱いづらい人だな」と思われて、周囲との溝は深まるばかりだと松橋氏は指摘します。「この問題は自分ひとりで解決する。人に迷惑はかけない」という責任感が、かえって逆効果になることもあるのです。
たとえば、資料作成に必要なデータの集め方がわからなかった場合。ひとりで何時間も粘るのではなく、「データがうまく集められなくて……。助けてもらえませんか?」と上司や先輩へ素直に相談してみましょう。
そうすれば、仕事をスムーズに進められるのみならず、周囲との関係がぐっと深まって、「同僚とは互いに助け合おう」のようなよい雰囲気を職場でつくることができますよ。
3. 「ありがとう」とよく言う
同僚や部下に親切にしてもらっても、照れくさくて軽く会釈する程度で済ませている。そんな人は、きちんと「ありがとう」と伝えるようにしましょう。
『言葉の力を高めると、夢はかなう』著者の渡邊康弘氏いわく、「ありがとう」とよく言う人のほうが、ビジネスライクに淡々と仕事をこなすだけの人よりも好かれやすいのだそう。
仕事は必ず誰かとの関わりによって成り立つ以上、よい人間関係を築くことは重要。その点で、素直な気持ちで「ありがとう」をたくさん言えることは、大きな武器になるだろうと渡邊氏は言います。
より確実に感謝の気持ちを伝えるために、「ありがとう」の伝え方をひと工夫してみるのもいいでしょう。
コミュニケーション研究家の藤田尚弓氏によれば、時間をおいてあらためて「あのときはありがとう」と言うと、いっそう感謝が伝わりやすいそうです。というのも、何かしてもらったときの反射的な「ありがとう」だけでは、相手に響きづらいことがあるからだとか。
たとえば、休憩時間に同僚がお菓子をくれたとき。その場で「ありがとう」と言うのに加え、時間をおいてから「さっきはお菓子をありがとう。おかげでひと息つけて仕事がはかどったよ」と伝えてみましょう。
「ありがとう」を素直に言える人と言えない人。どちらが周囲の雰囲気をよくできるかは明白でしょう。常に意識したいですね。
4. おおらかな態度をとる
仕事へ真剣に取り組んでいると、ついピリピリしてしまう……。心当たりがある人は、少しおおらかになったほうがいいかもしれません。
心理カウンセラーの笹氣健治氏いわく、おおらかな人は、人がミスしても「いいよ」と許せたり、物事が期待通りに進まなくても「まあ、仕方ないか」と諦めたりできるのが特徴。機嫌がよく穏やかな雰囲気をもつため、まわりの人に好感をもたれる傾向があるそうです。
そんなおおらかな人でいるために、具体的には次のようなことを心がけるとよいとのこと。
- 目先のトラブルに一喜一憂しない:
トラブルが起き、いまこの瞬間は嫌な気持ちでも、「長い目で見ればきっと自分にとって意味があることなんだ」ととらえれば、イライラせずおおらかな気持ちでいられる。 - 執着心をもたない:
「こうあるべき」というこだわり、価値観、理想などに執着しないようにすることで、思い通りにいかなくても感情的にならずにすむ。
たとえば、クレーム対応にあたったあと、イライラした表情で仕事を続けたり、「なんでこんな文句を言われなきゃいけないんだ」と愚痴を振りまいたりするのはNG。「勉強になったな」「こんなふうに考える人もいるんだな」と冷静に受け止めれば、周囲は穏やかな雰囲気のあなたに対して好感をもつこと間違いなしですよ。
5. 気楽に雑談する
話すのが苦手で、業務上話す必要があるとき以外はどうしても無口になってしまう……。そんな人も、ほんの少しコツを覚えて気楽に雑談してみれば、周囲の雰囲気をよくすることができますよ。
コミュニケーションアドバイザーの五百田達成氏によると、会話を続けることで、お互いの警戒心を解くことができるそう。警戒心がなくなれば、相手と親しくなれたり、気に入られたりもすると言います。
とはいえ、話下手な人にとっては「会話を続ける」こと自体が難しいもの。そこで、五百田氏がすすめる以下の方法で、話をつないでいきましょう。
- 「体験談」を話題に「自分の気持ち」を伝える
「昨日の業務でこんなことがあって……」というように自分の体験談を話題にし、「やりがいがあった」「嬉しかった」「悲しかった」といった気持ちもあわせて伝える。話が膨らんで沈黙が生じにくい。 - 相手が話し始めたら、とことん肯定・共感する
相手の話が多少間違っていたり、自分の意見と違いがあったりしても、否定やアドバイスはしない。相手も自分の気持ちを話しやすくなり、お互いに親近感が湧く。
雑談というと、時事ニュースについての堅苦しいやりとりをイメージする人もいるかもしれません。ですが、五百田氏がすすめる方法で気楽に雑談するほうが、相手に親しみやすさや居心地の良さを感じさせることができます。ぜひ試してみましょう。
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ご紹介した5つのなかに、あなたが当てはまるものはいくつありましたか? 5つの特徴をマスターして、「周囲の雰囲気をよくする人」を目指してくださいね。
(参考)
樺沢紫苑 (2020), 『精神科医が教える ストレスフリー超大全』, ダイヤモンド社.
菅原徹 (2014), “笑顔の形状と表情筋活動の分析”, 可視化情報学会誌, Vol.34, No.133, pp.14-19.
Vogue Japan|笑顔がもたらす、6つの効果とは?【笑顔の効能 Vol.2】
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五百田達成 (2019), 『超雑談力』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.
【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。