勉強ができる人は “○○” を防いでいる。「脳を活性化させる勉強法」を試してみた

日々ルーティンで勉強している様子

「毎日机に向かっているけど、いまいち勉強に身が入らない」
「頑張って勉強しているのに、覚えが悪くなってきた」
「努力に見合った成果が挙がらない」

そんなお悩みの原因は、もしかすると勉強の “マンネリ化” にあるかもしれません。

マンネリ化を防ぐためのちょっとした工夫をすれば、脳が活性化し、勉強がもっとはかどるようになります。その具体的方法を、筆者の実践も交えながら紹介していきますので、ぜひ最後まで読んで、日々の勉強の参考にしてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格を取得。現在は国際中医師合格を目指し毎日勉強している。勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

勉強が “マンネリ” になると、効率が落ちる?

勉強を続けていると、自分なりのルーティンができあがってくるもの。筆者の場合、とにかく問題を繰り返し解くというのがお決まりのスタイルです。しかし、このような勉強のルーティン化、つまり “マンネリ化” は、脳を働きを悪くさせている可能性が。

脳科学者で公立諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀氏は、「手慣れた作業をしているときに脳活動を調べると、前頭前野はほとんど活動してい」ないと話します。前頭前野とは、「記憶や学習、言語をとりまとめる」働きを担う部分。ここがうまく働かないと、覚えが悪くなったり、勉強がはかどらなくなったりするのです。(カギカッコ内引用元:日経ビジネス電子版|脳を鍛えるのも「筋トレ」と同じ? 楽なルーティン作業では活性化しない

たとえば、「英単語の暗記をしたあとに読解問題やリスニングに取り組んでいたら、最初に覚えたはずの英単語が思い出せなかった……」という経験はみなさんにもあるかもしれません。これも、前頭前野の働きの低下によるものです。

ルーティン化した勉強でマンネリを引き起こしている女性

では、前頭前野が活発に働くのはどんなときなのでしょうか?

篠原氏は、以下のような認知機能テストを行なった場合、「(4)で最初の言葉を思い出そうとするときに前頭前野が働」くと言います。

(1)「さくら」「ねこ」「でんしゃ」という言葉を覚えてください。

(2)では、次に100から7を5回引いて、それぞれの答えを言ってください。

(3)「ふじのやま」という言葉を逆から言ってください。

(4)最初に覚えた3つの言葉を思い出してください。

(カギカッコ内および枠内引用元:同上)

つまり、上記テストのように別々のことを同時にやるとき、前頭前野が働くのですね。勉強で言えば、「暗記する」「計算する」「読む」といった行為を一度に行なうイメージです。

東北大学加齢医学研究所教授で医学博士の川島隆太氏が監修した資料では、料理を例とした場合、「短い時間でもレシピを覚えながら作業するというほうが、前頭前野が活発に働く」と説明されています。逆に、つくるのに慣れている料理だと「ほとんどが思い出す作業になるため、脳が活発に働かないことが実験でわかって」いるのだとか。(カギカッコ内引用元:Active Brain CLUB|背外側前頭前野を鍛えて、脳のオンとオフの切り替えを料理で

これを勉強に置き換えて考えると、過去に解いた問題を何度も解くのは “思い出す作業” が中心ですね。一方、自分で問題をつくったり、解答を読みながらどんな問題だったか想像したりすることは “自分で考える作業” だと言えるでしょう。

勉強の効率を上げたいなら、後者のような前頭前野を活発に働かせるための工夫が必要。その工夫こそが、勉強のルーティンを変えることです。

脳科学をもとにした効果的な学習法について詳しい、スタンフォードオンラインハイスクール校長の星友啓氏も、「特定の方法で学ぶより、様々な学習の仕方を通して学んだほうが学習効果が上がる」と話します。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|【9割の人が知らない】最新脳科学が出した「良い勉強法」と「悪い勉強法」の結論

勉強をはかどらせるには、勉強のマンネリ化を防いで脳をしっかりと働かせることが大切。勉強法を決まったものだけに固定せず、さまざまな方法で学習して脳を活性化させることで、勉強の質も効率も上がると期待できるのです。

勉強のマンネリを防いで活性化された脳のイメージ

勉強のルーティンを変えてみた

前章をふまえ、勉強のマンネリ化を防ぐ方法を筆者なりに考えてみました。以下のとおりです。

  • 音読しながら暗記する
  • 問題演習の解答から問題を予測する
  • 自分で問題をつくる
  • 誰かに問題を出してもらう
  • 勉強場所を変える

いつもは頭のなかだけで反芻して暗記していたのを、音読しながら暗記に取り組むことに。“暗記×声に出す” の掛け合わせによって、前頭前野を活発化させることを狙いました。前出の川島氏いわく、「1日10~15分の音読を行うと記憶力が20%アップする」というデータもあり、「脳の『準備体操』」に最適なのだそう。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|これほど脳が活性化する方法を見たことがない…脳研究者が驚いた「勝手に勉強する子」ができ上がるプロセス

また、筆者が現在勉強している分野の試験では選択問題が多いという特徴があります。いつもの問題演習であれば答えを選んで終わりですが、今回は選択肢だけでなく解答の内容も詳しくノートに書き込むことにしました。これは、ノートの解答欄を見直したときにどんな問題だったのかを予測するため。 前述した “自分で考える作業” を行なう仕組みをつくったのです。

以下が、実際に問題演習の解答をノートに書き込んだもの。(※実際は解答の内容だけを書くのですが、今回はわかりやすくお伝えするために問題文もあわせて書きました)

脳を活性化させる勉強法実践画像

(画像は筆者作成)

さらに、自分で問題をつくることにも挑戦。演習で解いた問題に関連する内容を考え、深く理解できるよう工夫を施しました。以下が、その一例です。

脳を活性化させる勉強法実践画像(自作問題)

(画像は筆者作成)

こちらも通常の問題演習同様、解答から問題を予測できるようにしています。

さらに、どうしても気が散ってしまうときには、家族や友人に問題集を渡してクイズを出してもらったり、カフェなどいつもと違う場所で勉強してみたりして、変化をつけました。

カフェで勉強している女性

「勉強効率向上」と「気持ちの切り替え」に効果的

勉強のルーティンを変えてみたことで、筆者は以下ふたつの効果を感じました。

ひとつめは、勉強の効率が上がったこと。具体的には、音読しながら暗記に取り組んだことで、耳からの印象が強く残り、暗記効率が上がりました。

また、理解が深まった実感もあります。解答から問題を予測したり、問題を自作したりして、いままで学習した内容を整理しながら考えをめぐらせることができたからだと思います。

家族や友人に問題を出してもらうと、自分の弱点や見落としていた箇所の新たな発見にもつながりましたよ。コミュニケーションをとりながらの勉強は、ゲーム感覚で楽しめるメリットも感じました。

ふたつめは、気持ちの切り替えがしやすくなったことです。場所を変えて勉強するとリフレッシュでき、どうしても集中できないときの気持ちの切り替えに有効だと感じました。特にカフェへの移動する際は、到着までの道のりで風にあたって新鮮な空気を吸うことで、よい気分転換になります。歩いているうちに頭もすっきりしました。

いままでは「休みの日は家から一歩も出ず、納得いくまで勉強するぞ!」と意気込んでいた筆者でしたが、結局は集中力が続かずに一日が終わってしまうことも……。気分転換できるような工夫も大切なのだと気づかされました。

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勉強がいまひとつはかどらずにお悩みなら、マンネリ状態を脱し、前頭前野が活発に働くような学習法に取り組んでみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたの日々の学習のお役に立てれば幸いです。

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