もうすぐ試験だとわかってはいるのに、なかなか勉強を始められない……。
読んで勉強しないといけない本があるのに、どうしても気が乗らない……。
「勉強しなくちゃ」とはいっても、いつでも「さあ、やるぞ!」という気になれるわけではありませんよね? やる気が出る方法があるのなら、いますぐにでも知りたいものでしょう。
そこで今回は、「なぜか勉強する気になれない」と悩みがちな方のために、やる気を出しやすくする4つの方法をご紹介します。
1.「勉強する意味」を自分で決める
あなたがなぜか勉強する気になれないのは、動機づけの仕方がよくないからかもしれません。動機づけには下記のふたつがあります。
- 外発的動機づけ:
外部からの誘因による動機づけ。見返りを求めてやる気を出そうとすること。
例「資格をとれば給料が上がるから、勉強しよう」 - 内発的動機づけ:
気持ちや考えなど、自分の内面から起こる意欲による動機づけ。見返りには基づかないでやる気を出すこと。
例「知識を得ることが楽しいから、勉強しよう」
外発的動機づけは短期的には効果がありますが、物理的な限界もあるため長続きはしません。一方、内発的動機づけでは達成感を味わいやすく、自分がどう考えるかによってさまざまな動機づけができます。やる気を出すのに大切なのは、後者の内発的動機づけのほうなのです。
独自の目標実現法「行動イノベーション」を提唱する大平信孝氏によると、うまく内発的動機づけをするには、取り組もうとしている物事に対して適切な「意味づけ」をするとよいのだそう。
たとえば、「資格試験に合格した状態の、知識と肩書をもった自分がこの職場では求められている。同僚たちから必要とされる存在になりたいから、私は勉強しよう」といった具合に、勉強する意味を主体的に決めて自分自身に言い聞かせるのです。勉強の意味を見いだせれば、ご褒美に頼らなくても自然とやる気が湧いてくることでしょう。
2.「少し上の挑戦」をする
勉強する内容が簡単すぎたり難しすぎたりすると、やる気は湧きにくい――そう語るのは、世界中のモチベーション研究を集めた『図解モチベーション大百科』の著者である池田貴将氏。難しすぎると「自分なんかができるのか」と不安になり、逆に簡単すぎても物足りなさを感じるため、強い意欲につながらないのだとか。
そこで池田氏は、やる気を出すために勉強の難易度を調整して適切なレベルに変えることをすすめています。一番いいと言うのは、自分の能力より少し高いレベル。つまり「少し上の挑戦」をすることです。
この考えは、心理学者のミハイ・チクセントミハイ氏が提唱した「フロー理論」をヒントにしているそう。「フロー」とは、人が物事に夢中になっている状態のこと。フロー理論によれば、自分の能力よりも少し上の水準に挑戦するとき、人は限界に挑戦しようとして、最も意欲を発揮するのだとか。
たとえば、勉強しなければいけない範囲が広すぎて嫌気がする場合は、「今日はこのページまでならなんとか頑張れそうだ」という程度にまで範囲を区切ります。反対に、量が少なかったりやさしすぎる内容だったりする場合は、短めの制限時間を決めて負荷をかけてみてください。このようにして少し高いハードルを設定することが、「よし、やってやろう!」という気になるコツですよ。
3.「いつどこで勉強するか」を固定する
勉強する時間や場所が決まっていないのも、勉強する気になれない一因だと言えます。「疲れているから今日はいいや」となり、結局気が向いたときにしか勉強できないからです。
そうならないためには、勉強する時間や場所を固定して習慣化するのがおすすめ。独自の勉強方法を編み出し数々の難関試験に合格してきた弁護士の山口真由氏の場合は、「起床したらすぐに机に向かい本を読む」と決めているそうです。生活の一部として身についているため、その日の気分などに関係なく毎日勉強に取りかかることができているのだとか。
生活習慣になっていると「そういうものだから」となにも考えないで繰り返すだけで取っ掛かりの部分が楽になります。毎朝歯磨きができるなら、毎朝机に座ることもできるはずという感覚なのです。
(引用元:STUDY HACKER|学力向上は生活習慣の確立と時間の使い方で勝負が決まる——東大首席卒・NY州弁護士 山口真由さんインタビュー【第2回】)
ちなみに山口氏は、ベッドと机をなるべく近づけて、起きたら即机に向かえるようにしているそうですよ。山口氏の場合朝の勉強を習慣化していますが、「就寝前には机に向かい、資格に関する単語を覚えてから寝る」というように夜の勉強を習慣化するのもよいでしょう。自分に合った時間帯と場所を決め、行動の流れを体で覚えてしまえば、「やる気が出ないなぁ」なんて考える暇もなく自動的に勉強できるようになるはずです。
4.「とりあえず」始める
「やらなければ!」と頭ではわかっているのに、結局スマートフォンやテレビを見てダラダラしてしまうということはないでしょうか? 何もせずにいては、いつまでたっても勉強する気にはなれませんよ。
立正大学心理学部名誉教授の齊藤勇氏によると、やりたいという気持ちにならなくても先に行動してみると、自然とやる気が出てくるのだそう。無理やりにでも「楽しい」と思って勉強を始めれば、あとから勉強意欲が高まると言うのです。
齊藤氏いわく、人間には、矛盾するふたつの考え(認知)があると不快に感じ、自然と自分にとって都合のよいように考えを変えるという心理があるとのこと。これを「不協和認知の解消」と呼び、「やる気がしない」と思っていてもひとまず勉強に取りかかってしまえば、「じつはこれがやりたかったんだ」と脳が自然とつじつまを合わせようとするのだそうです。
なんだか勉強する気がしないときでも、とりあえず机の前に座ってテキストやノートを開き、単語を声に出して言ってみたりノートに書き出したりしてみましょう。次第に気持ちが行動に合ってきて、勉強がおもしろくなってくるはずですよ。
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やる気が出ないからと言って諦めず、今回ご紹介した方法をぜひ試してみてください。きっと、それまでにはなかった大きなやる気が一気に湧いてくるでしょう。
(参考)
プレジデントオンライン|アドラー心理学で解明「やる気」の出し方
リクルートマネジメントソリューションズ|内発的動機付けとは
リクナビNEXTジャーナル|モチベーションとやる気を高める技術~行動心理学からわかった4つのテクニック
STUDY HACKER|学力向上は生活習慣の確立と時間の使い方で勝負が決まる——東大首席卒・NY州弁護士 山口真由さんインタビュー【第2回】
やる気ラボ|行動することでやる気は出てくる|やる気にさせる心理学(1)
【ライタープロフィール】
YUKA
大学ではフランス語を専攻。高校では一年間オーストラリアへ留学。海外への一人旅も経験し、夢は海外移住。趣味は音楽鑑賞・グルメ巡り・旅行など。