勉強エリートが本当に実践「超シンプルな勉強技術」4つ。小難しいことはいっさい不要!

勉強エリートがやっているシンプルな勉強技術01

小難しいことや大変なことをせずに、勉強の質を上げる。そんなことが実現できたら、夢のようですよね。学びのエリートたちが実践しているのは、そんな夢のような勉強法なのです。今回は、意外なほどシンプルに実践できるのに効果的な、「コスパ最強」の勉強法を4つご紹介します。

1.「答え」を見ながら解く

資格などの試験に向けて問題集を中心に勉強をしている人には、答えを見ながら問題を解くという勉強法がおすすめです。これは東京大学理学部卒・同大学院修了で、「資格コンサルタント」として710個以上の資格をもつ(2020年8月時点)鈴木秀明氏の提唱する方法。

「答えを見ながらなんて、そんな楽なことしていいの!?」と思うかもしれません。ですがこのやり方は、鈴木氏が見極めた資格勉強の本質をふまえたもの。

鈴木氏によると、多くの試験では、その場でゼロから自分で考える力は求められていないそう。必要なのは、問題を見て即座に「これはこうやって解くんだな」と思いつける力。この力を鍛えるには、基本的な知識に加えて解き方の「パターン」を身につけることが大切であり、これこそが資格試験のための勉強の本質なのだと鈴木氏は言います。「こういう問題はこう考える」ということさえ把握すれば、試験本番でも、覚えたとおりの考え方に沿って正解を導き出すことができるのです。

このことをふまえれば、「答えを見ながら問題を解く」という勉強法にも納得がいくでしょう。鈴木氏いわく、やることは、解説に書いてあることをそのまま覚えて「解答を導くための考え方」をインプットするだけ。きわめてシンプルなこの方法が、解き方のパターンを身につけるには最も効率的なのだそう。

鈴木氏は、「解き方を覚える」具体例として簿記を挙げ、次のように説明しています。

たとえば簿記なら、「損益分岐点は『固定費÷(1-変動費率)』で算出するので、まず費用を変動費と固定費に分けてそれぞれの総額を求める」(中略)といったように、問題のタイプごとに「こういう流れで解く」というのはパターン化されています。「なぜそうなるのか」のパターンがわかっていれば、出てくる数字などの細部が多少違っても対応できます。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|過去問は「解く」のではなく「そのまま覚える」

問題集と向き合っているときは、問題と格闘するより解答を見てしまいましょう。悩む時間をどんどん省いてインプットに時間を回せば、短時間で結果につなげることができるでしょう。

勉強エリートがやっているシンプルな勉強技術02

2. たったいま読んだ内容を「思い出す」

一生懸命勉強してもなかなか知識が定着しないという方には、メンタリストDaiGo氏がすすめる「クイズ化」という勉強法がおすすめです。面倒なことは必要ありません。本や参考書のたったいま読んだページの内容を覚えているか、自分自身にクイズを出すだけと、驚くほどシンプルな勉強法です。

手順は以下のとおり。

  1. 覚えたいページを1ページ読んだら、いったん教材を閉じる
  2. たったいま読んだページになにが書いてあったか、思い出す

このように意図的に情報を思い出して記憶度を確認することは「検索練習」といい、記憶の定着に効果的であることが実証されています。心理学者のJeffrey D. Karpicke氏らの実験によれば、「テキストを再読しただけ」の場合と「検索練習をした」場合とを比べると、後者のほうが約50%も多く勉強内容を記憶できていたそう。

DaiGo氏いわく、実践のコツは、「このページのポイントはこれで、説明の仕方が独特でおもしろかったな……」という具合に、特に自分にとって興味深かった箇所を思い出すこと。たとえば、筆者がいま読んでいる本の1ページでこの方法をやってみると、以下のようになります。

『ずるい暗記術』(佐藤大和著、2015年)p.136

「“感情を動かすことが目的を実現する力になる” というのがポイント。嫉妬や悔しさといったネガティブな感情も利用できるというのは、とても自分に合っている」

思い出した内容を、いちいち書き出す必要はありません。紙もペンも使わないので、移動中やスキマ時間に本を読んで勉強することが多い人にはうってつけ。「本を閉じ、興味をひかれた箇所を思い出す」たったこれだけで、勉強効率が格段にアップするのです。

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3. 目標に「数字」を入れる

勉強にいまいち集中できない人は、数字を入れた目標をつくるというシンプルなテクニックを試してみてください。これは、かつて偏差値35から東京大学合格を果たし、いまでは株式会社カルぺ・ディエム代表取締役として教育支援事業を行なう西岡壱誠氏がすすめる方法です。

やり方は読んで字のごとく、「本を読む」「問題集を解く」といった目標に「本を30ページ読む」「問題集を3ページ解く」といった数字を加えるだけ。その効果は、西岡氏による実験結果によく表れています。

西岡氏は、ほとんど同じレベルの学力のふたりに、テスト前に次のように伝えました。

  • 片方の人には「次のテストでいい点がとれるように頑張ろうね」と言う
  • もう一方の人には「次のテストで80点がとれるように頑張ろうね」と言う

結果、「80点」という数字を示された人のほうが、点数がよかったそうです。被験者本人によれば、20点は落としていいとわかっていたぶん、点数をとるべきところに集中して勉強したとのこと。具体的な目標が見えているほうが、必要な勉強に集中できるというわけですね。

とはいえ、数値目標が低すぎてモチベーションが下がったり、高すぎて挫折したりしては本末転倒。そこで役に立つのが、脳科学者の澤口俊之氏がすすめる「レンジ法」による目標設定です。

レンジ法とは、目標値の上下に幅をもたせるという方法。たとえば「本を30ページぐらい読もう」と考えているのであれば、「本を20〜40ページ読む」というように、たやすく達成できそうなレベルから、少しハードルが高いと感じるレベルまで幅をもたせるのです。

ポイントは下限の部分。下限目標を楽に達成できると、さらに頑張ろうという意欲が湧き、結果として当初思い描いていたよりも高いレベルにまで到達できると澤口氏は言います。

レンジ法を使えば、目標をさほど厳密に決めなくていいので、勉強計画を立てるのも楽になります。集中力アップ、意欲アップの両方に効くレンジ法で、ぜひ数字入りの目標設定をしてみてはいかがでしょう。

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4.「歩きながら」覚える

最後は、自宅学習の効率が上がらない人にぴったりな方法をご紹介。ぜひ歩きながら覚えるという超シンプルな方法を試してみてください。これを推奨するのは、教育事業を営む株式会社ENロジカル取締役で、京都大学に首席合格した経験をもつ粂原圭太郎氏です。

以前粂原氏が、教え子たちにロシア語を覚えさせ、座ったまま覚える場合と歩きながら覚える場合の暗記効率を比較したところ、歩きながら覚えるほうが暗記効率が高かったとのこと。粂原氏はこの結果を、歩き回ると筋肉が動いて脳が活性化するためと分析しました。

その分析を裏づけるのが、京都大学名誉教授の森谷敏夫氏の解説。森谷氏によると、筋肉を動かすと「BDNF」という物質が増えるのだそう。BDNFは、脳や血中に存在するタンパク質の一種で、記憶力や学習能力の向上効果があります。

加えて有効なのが音読です。記憶力日本一に6度輝いた経験をもつ池田義博氏によれば、口に出すとリズムや韻で覚えられるため、本の内容を目で読むだけよりも記憶に残りやすいそう。

そこで、上記の方法を組み合わせて、自宅勉強に飽きてきたタイミングやいまいち集中できないときに「歩きながら本を音読する」ようにしてみてはいかがでしょう。また、最初に紹介した方法と組み合わせて、「問題の答えを見る→解説を歩きながら覚える」のも効果がありそうですね。

自室で黙々と本を読み、問題を解くという勉強は、時に飽きてしまうもの。ですがそもそも、黙々とやる必要もないのです。「歩く」「声を出す」というシンプルな動作を組み入れて、ぜひ学習効率を高めてみてください。

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複雑な手順は不要、4つのシンプルな勉強技術を紹介しました。普段の勉強にひと工夫加えて、たくさんの知識を獲得していきましょう!

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|過去問は「解く」のではなく「そのまま覚える」
メンタリストDaiGo(2019),『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』, 学研プラス.
Karpicke, Jeffrey D. and Janell R. Blunt (2011), “Retrieval Practice Produces More Learning than Elaborative Studying with Concept Mapping,” Science, Vol. 331, Issue 6018, pp.772-775.
佐藤大和(2015),『ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法』, ダイヤモンド社.
東洋経済オンライン|東大生の「脳みそが熱くなる」ほど集中するコツ
THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法
ダイヤモンド・オンライン|【落ち着きのない子向き】暗記効率がアップし、眠くもならない「アインシュタイン法」
SIXPAD STATION|【vol.10】"筋トレは脳トレ!"筋肉を鍛えてBDNFを活性化
タウンワークマガジン|記憶力日本一、池田義博さんに聞く「五感を使って暗記力を高める方法」

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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