必要であると頭ではわかっていても、勉強に取りかかるのは意外と難しいことです。「○時から○時まで勉強しよう!」「夜ご飯を食べ終わったら勉強だ!」と心の中で決めていたとしても、いざとなると重い腰が上がらない……なんて人も多いのではないでしょうか。
じつはこれ、元来の “人間の性質” が関係しているようです。勉強を始めるべきときに意欲が湧き上がってこない人のため、「さくっと勉強を始められるようになるコツ」を3つご紹介しましょう。
勉強を始められないのは「脳の仕組み」がそうなっているから!?
なかなか勉強を始められないのは「人間の性質が関係している」と述べました。勉強に取りかかれない多くの人は、おそらく「なんだか面倒くさいなあ……」「明日に先延ばししちゃおうかな……」なとと考えてしまうはず。
しかし、こういった思考に陥ってしまうのは、脳科学的には「正常なこと」「仕方のないこと」なのだそう。さまざまなメディアに出演するメンタリストDaiGo氏は、勉強を始められない人間の脳について次のように解説しています。
人間の脳は、非常に優秀ですが、とても心配症でいいことよりも悪いことに意識が向きやすく、何かを「すぐやろう」としたときにSTOPをかけてしまうのです。
(引用元:東洋経済オンライン|「すぐやる!」が習慣化する5つのアプローチ-脳を自在に操り、先延ばしをなくす ※太字は筆者が施した)
勉強したいと考えている多くの人が、きっと「しっかり時間をかけて勉強したい!」「バリバリ勉強して結果を出したい!」と思っているはず。けれど、そういった “高いハードル” を脳は苦手としています。「時間を確保しないと成果は出ないよな……」「勉強の結果が目に見えてくるのはまだまだ先だよな……」と脳が無意識に考え、結果として放棄や先延ばしにつながってしまうのです。
この状況を改善する方法は、何かあるのでしょうか?
1.「2分ルール」で “すぐできること” から始めよう
皆さんは「2分ルール」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。内容はいたってシンプル。「2分あればできそうことは今すぐ実行してしまう」というルールです。
『行動しなければ始まらない! 「2分ルール」を徹底したら、“先延ばし癖”がなおった話。』というコラムでは、実際に2分ルールを日常生活で試してみた大学生ライターが、「実際にアクションを起こすという引き金になり、だらだらする時間が減り、レポートや勉強など本当に時間をかけるべきところに時間をかけられるようになった」とリポートしています。これを勉強にも応用することで、勉強が始められない状態を直すことができるのです。
つまり、「しっかり勉強をしよう」と思い込まず、ひとまず2分間でできそうなことをメモ帳やノートに書き出してみましょう。
ひと口に勉強と言っても、その内容や種類はさまざまです。2分間で長文問題や高難度の問題を解くのは難しいですが、たとえば「単語帳を2ページだけ読む」「参考書に1ページだけ目を通す」といったことはできそうですよね。
脳がストップをかけてしまう前に、まずは2分でできる簡単なものを選んで手を伸ばしてみてください。
2. 難しいことから始めない。読めるものから読んでみよう
勉強とは、自分が知らない物事を覚えたり理解したりする作業。しかし、最初からすべてを吸収しようとするのは現実的ではありません。「うわ、難しそう……」という印象に足を引っ張られ、勉強に対するモチベーションが下がってしまっては、勉強を始めるのが難しくなってしまうでしょう。
そこで、教育家の粂原圭太郎氏は、まずは自分が楽に読める参考書や教本を読むことをすすめています。
まずは、入門的な本を1冊選んでください。漫画でも構いません。自分の中に情報として入りやすいものを選ぶことが大切です。
そして、その本を気軽に読んでください。一生懸命、一語一句逃さずに読もうなどと思わないことです。
(引用元:プレジデント・オンライン|京大首席が実践する興味ない分野の勉強法)
最近は、勉強に使うような本でも、漫画であったり簡単なものであったり、さまざまな形式のものがあります。自分でも読み進められそうだと感じたものを、勉強と構えずに気楽に読むのであれば、抵抗やハードルをあまり感じないのではないでしょうか。
1冊目はとにかく読みやすいものを。そして慣れてきたら、もう少し本格的なものを。このように、読みやすい本から徐々に階段をのぼっていく作戦に変えれば、勉強を始めたいのに腰が重いなんて状況に陥らずに済むはずです。
3. 「ご褒美」も意外と大事だった
勉強の成果が目に見えてくるのは、往々にして時間がかかりますよね。それが勉強になかなか取り組めない原因になっているのであれば、もっと近い未来に “別の成果” を設定してあげればいいのです。
脳科学者の澤口俊之氏は、自らにやる気を出させる方法を次のように紹介しています。
人間はどんなときに「やる気」を出すのか。それは「報酬への期待を感じたとき」に尽きる、と言えます。
「報酬」の中身は、人によってさまざま。お金や地位、評価、充実感など、個々の価値観によって内容は変わってきます。しかし「頑張ればこれが得られる」と意識すればやる気が上がる、という点は共通です。
(引用元:THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法 ※太字は筆者が施した)
例えば、「夜に1時間勉強をしたらお酒を飲んでいい」「朝2時間の勉強を1週間続けたら洋服を買っていい」のように、勉強をしたら何かを得られるよう、自分へのご褒美を設定してあげるのです。
また、「試験に合格したら旅行に行く」というように、もともとある目標や報酬をより魅力的にするのも、やる気を出すためには効果的です。
このように報酬を設置して、「勉強をする→報酬を得る」というサイクルを作りだすことで、脳が「勉強をすれば報酬が得られる」と学習し、少しずつスムーズに勉強に取りかかることができるようになりますよ。
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以上、3つのコツをご紹介しました。さくっと勉強を始められる人になるために、皆さんは今日から何をしますか?
(参考)
東洋経済オンライン|「すぐやる!」が習慣化する5つのアプローチ-脳を自在に操り、先延ばしをなくす
StudyHacker|行動しなければ始まらない! 「2分ルール」を徹底したら、“先延ばし癖”がなおった話。
プレジデント・オンライン|京大首席が実践する興味ない分野の勉強法
THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法
【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。