「断るのが下手な人」は大切なものを2つ失っている。

上手な断り方01

食事や飲み会に誘われたとき、無理をすれば行けなくもないけれどできれば行きたくない……ということはありませんか? 相手に悪い印象を与えたくないからと無理して参加した結果、翌朝の大事な仕事に万全の状態で臨めなかったり、家でゆっくりする時間を確保できずに疲れを溜め込んでしまったり……といった経験がある方も多いかもしれませんね。

実は、相手に与える印象を左右するのは「断る」という行為そのものではなく、「断り方です。断り方次第で、相手に悪い印象を与えることなく、関係を良好に保つことができますよ。

そこで、今回は相手に不快な思いをさせない上手な断り方をご紹介します。

きっぱり断れないと、大切な2つのものを失ってしまう

コミュニケーション研究家で、早稲田大学オープンカレッジ講師も務める藤田尚弓氏は、断れない人は「時間」と「自己制御のためのエネルギー」を無駄にしていると指摘します。

全ての頼まれごとや誘いに応じてしまうと、時間が無駄になるというのは何となく分かりますよね。では、もうひとつ無駄になるとされる、自己制御に使われる「エネルギー」とは何なのでしょうか。

これと似た言葉に、「ウィルパワー(意志力)」という言葉があります。ウィルパワーとは、前頭葉にある、思考や感情をコントロールする力のこと。物事を判断したり意思決定したりするたびに、ウィルパワーは消費されます。ウィルパワーの総量は決まっているうえ、出所は一つしかありません。つまり、他人からの頼まれごとや誘いにウィルパワーを使いすぎると、自分のために使えるウィルパワーが少なくなってしまうのです。 

例えば、同僚から「今度の懇親会の幹事を一緒にやらないか」と誘われ、断れずに引き受けてしまった場合、「どこを会場にしようか」「案内のメールを送らなくては」「予算はどれくらいにしようか」「同僚とすり合わせをしなくては」などといった様々なことを考えなくてはなりませんよね。これらのためにウィルパワーのほとんどを使い切ってしまうと、仕事後に勉強しなくてはいけないはずなのに勉強をサボってしまったり、自分の仕事に集中できなくなったりと、自分を制御できなくなってしまいます。

誘いや頼まれごとをすべて断るのはあまり良くないかもしれませんが、それよりも優先したいことがあるときにはきっぱりと断ることも大切なのです。

 

上手な断り方02

相手を不快にさせてしまう2つの断り方

いくら自分の時間やウィルパワーを大事にするためだとは言っても、誰かからの誘いを断るとき、相手を不快にさせてはいけません。ここでは、相手に悪い印象を与えてしまう、NGな断り方の特徴を2つご紹介します。 

【NGな断り方1】 個人的に調整可能なことを理由に断る

オハイオ州立大学助教授のグラント・ドネリー氏は、断り方が相手に与える影響を調べるために、約300人の社会人の被験者を3つのグループに分け、「友人を食事に誘ったが断られた」という状況を想定してもらいました。断られた理由をグループによって「時間がないから」「お金がないから」「なし(理由を明らかにしない)」の3種類に変化させ、被験者たちに

・断られた結果、友人にどのような感情を抱いたか
・友人の説明に納得できたか
・時間とお金について、人はどれだけコントロールできるか

という3つの質問をしたそうです。

これらの質問に対する回答を分析したところ、被験者はお金を理由に断られた場合に最も相手に親近感を感じ時間を理由に断られた場合は理由無く断られた場合よりも親近感を抱かなかったという結果が出ました。

こうした結果が出た背景について、ドネリー氏は「人は時間よりもお金の方が、個人的な都合をつけるのが難しいと考えているからだ」と分析しています。「お金がない」のは致し方ないにしても、「時間がない」のは、個人の努力次第で調整することが可能なもの。個人的に調整すればどうにかなることを理由にして誘いを断るのは、相手を不快な思いにさせるNGな断り方なのです。

 

上手な断り方03

【NGな断り方2】「自分は悪くない」という姿勢で断る

話し方コンサルタントの羽田徹氏は、断る理由として印象の良くないものに、「他の用事があるからどうしようもない」という「他責」に終始した断り方を挙げています。

例えば、「妻(夫)が良くない顔をしているので、飲み会は欠席します」や「家族に〇時までに帰るよう言われているので、夜の会合は遠慮させてください」といったようなもの。こうした他責の断り方には、自分の意志を見せないことにより「自分は悪くない」という自己保身のニュアンスが込められてしまうのだそうです。

たとえ断った側が「自分は悪くない」とは思っていなかったとしても、相手にはそう伝わってしまう可能性があります。相手に悪い印象を与えないためにも、他責にした断り方は避けたほうがよさそうです。

 

上手な断り方04

上手に断るポイント1:自責性を持つ

それでは、NGな断り方を踏まえて、相手に悪い印象を与えずに上手に断る方法を考えてみましょう。

1つ目は、先述の羽田氏が挙げる自責性を持つ(=自分の意志で断る)という方法です。他の事情のせいにして断る代わりに、自らの意志を伝えたうえで断るのです。

例えば「今夜食事会があるんだけど、来ない?」と誘われた場合は、以下のように断ると良いでしょう。

(例1)
明日は朝早くに仕事が入っているので不参加でお願いします。
◎ 明日は朝早くに仕事が入っており、それに万全の状態で臨みたいため不参加でお願いします。

(例2)
資格試験が近づいているので、不参加でお願いします。
◎ 資格試験が近づいており、それに絶対に合格するため家で勉強します。そのため不参加でお願いします。

このように、外部の要因だけではなく自分の意志を付け加えて断ることで、「自分は悪くない」という姿勢ではなく「自分の意志で断った」という姿勢が相手に伝わります。すると、相手の心証を害さないどころか「仕事に対して誠実な人だな」「ハキハキした人だな」とプラスの印象を与えることすらできるかもしれません。

 

上手な断り方05

上手に断るポイント2:断りの公式を使う

2つ目は、精神科医の樺沢紫苑氏が提案する断りの公式を使うこと。断りの公式とは、謝罪(感謝)+理由+断り+代替案です。

はじめに謝罪もしくは感謝の言葉を述べ、相手に対する気遣いを伝えてから断りましょう。また、代替案を述べることは極めて重要。このことについて、中央話し方教室代表講師の栗原君枝氏(2013年当時)は以下のように述べています。

相手の誘いを断るということは、相手の希望をくじくことです。相手を傷つけないように気遣うのはもちろん、できるだけ相手の希望に添えるよう、努力することも大切です
(中略)
"今日は無理です"とただ断ってしまうより、"明日なら可能なのですが"と申し出る方が、前向きな印象を与えます

(引用元:マイナビニュース|人間関係を良好に保つ、飲み会の上手な断り方

つまり、代替案には「他に優先したいことがあったから断ったが、誘いそのものには興味があり、ぜひ参加したい」ということを伝える役割があり、相手に良い印象を与える効果があるということですね。

では、職場の飲み会の誘いを、今回紹介した「自責性」と「断りの公式」を用いて断ってみましょう。

 「お誘いありがとうございます(感謝)。大変申し訳ないのですが(謝罪)、旧友と集まる予定が入っており、そちらを優先したいため(自責の理由)参加できません(断り)。また誘っていただけるととても嬉しいです(代替案)」

確かに、このような断り方なら受け取った側も悪い印象は受けませんよね。

 

上手な断り方06


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日本人には断るのが苦手な人が多いと言われていますが、あなたの時間やウィルパワーを守ってあげられるのはあなた自身だけです。ぜひ今回紹介した方法を使って、断りたいときにはきっぱりと断りましょう。

(参考)
SankeiBIZ|断れない人がムダにしている“2つの資源” 相手を納得させられる「最強の断り方」
ダイヤモンド・オンライン|伝え方ひとつで変わる! 嫌われない「飲み会の断り方」とは? 
東洋経済オンライン|目標を達成する人は、心をこう鍛えている! 意志力を鍛えるための「日常の習慣」 
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|誘いを断る口実に「時間がない」はもうやめよう 
東洋経済オンライン|「断る」のがヘタな人とうまい人の決定的な差  
マイナビニュース|人間関係を良好に保つ、飲み会の上手な断り方
StudyHacker|なんでも迷いたがる人は「ウィルパワー」を無駄に消費して脳を疲れさせている。

【ライタープロフィール】
梅野凌矢
東京大学工学部所属。鹿児島県立鶴丸高等学校出身。大学では人間の認知システムを中心に勉強中。大学の吹奏楽団体に所属していて、担当はホルン。趣味は音楽ゲーム、読書など。Perfumeがとても好き。

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