「勉強が嫌だ」→「勉強したい!」考えをスルッと変えるテクニック。自分に “これ” を問い続けなさい

緑あふれる公園の遊歩道で本を読む女性

人は誰でも「自分の行動は、自分自身がコントロールしている」と思いたいもの。だから「絶対に勉強するべきだ」などと言われると、余計に勉強する意欲が低下してしまいます。

ならばそうした人間心理をうまく利用して、「勉強したくない自分」を「勉強したい自分」に変えてしまいましょう。ちょっと変わった行動変容術を紹介します。

人間は自由を奪われるのが嫌い

私たちは、他者から特定の行動をとるよう強制されたり、行動の選択肢を制限されたりすると、「自由を回復しようとする心理」が働くそうです。その状態を心理的リアクタンスというのだとか。

たとえば「この服を買えばいい」「この本は絶対に読むべきだ」「この道順で行かなきゃダメだ」などと言われたとき、たとえそれが買おうと思っていたもの、読もうと思っていた本、行こうと思っていた道順だとしても、奪われた自由を回復するように動機づけられ、反発したくなってしまうのです(※参考:錯思コレクション100 Collection of Cognitive Biases(十文字学園女子大学)|心理的リアクタンス

「それ、言われなくてもいまやるとこだったのに!」と先に言われて自由を奪われ心理的リアクタンスが働き、怒って抵抗しようとする女性

「言われなくても、いまやるところだったのに! もうやらないからねッ!」

勉強したくない自分に、自分自身が「勉強するべきだ」と言い聞かせても同じことが起こるはず。“べき思考” に自由が脅かされると感じ、ますます勉強したくなくなってしまうでしょう

「行動変容を促す方法」とは?

そうしたなか、ペンシルバニア大学ウォートン・スクール教授のジョーナ・バーガー氏は、人間のクセを理解し、適切な戦術を採用すれば変化を起こせると説明しています。

たとえば人は一貫性のある行動(考え・態度・行動に矛盾がないこと)を好むのだとか。ならば矛盾を意識させることで、それを解消しようとする心理が働くはずです。具体的には次のとおり。

1. ギャップを利用

バーガー氏はその人が他者にすすめる行動と、その人自身がとっている行動のギャップを指摘することが有効だと述べます。たとえば東南アジアのタイでは、こんなことが起こったのだとか。

路上で子どもたちに「ライターを貸してほしい」と頼まれた喫煙者たちは、子どもたちの求めを拒んだり、むしろタバコの危険性について説いたりしたといいます。すると子どもたちは、喫煙者たちに1枚のメモを手渡して立ち去ったのだとか。そのメモには

――「私のことを心配してくれたのに、どうして自分のことは心配しないの?」――

と書かれていました。メモの下部には禁煙支援のフリーダイヤルも記されていたそう。

じつはこれ、タイの保健当局が行なった禁煙キャンペーンだったのです。自分の言葉と行動に矛盾を感じ、ハッとしたのか居心地が悪くなったのか、禁煙支援のフリーダイヤルにかかってきた電話の数は、いつもの1.6倍以上に跳ね上がったとのことです。

2. 質問形式にする

また、「運動しないと脳も体もどんどん老化しますよ」「ジャンクフードばかり食べているとブクブク太りますよ」などと強く言われると、むしろ「別にどうでもいいよ」と抵抗したくなってしまう可能性があります。バーガー氏によれば、そんなときは質問形式にするといいのだとか。たとえばこうです。

――「運動はまったくしないほうが体にいいですか?」――

こんな質問をされたら、どんなに運動が嫌いな人でも「そうは思わない」と答えるはず。すると自分の言葉と行動に矛盾が生じ、自分がとっている行動(たとえば運動しないこと)を正当化するのが難しくなってしまいます。

バーガー氏いわく、こうすることで人は助言に従いやすくなるとのこと。質問に答えるために考えた内容は、結局のところ自分の意見にほかならないからです。これなら自由は脅かされないし、奪われることもありません。

自分に「行動変容を促す方法」

これまでの内容をふまえて、今度は「勉強したくないと感じている自分自身に行動変容を促す方法」を紹介しましょう。

1. 自分にギャップを認識させる

自分が守りたくなる・正しい方向へと導きたくなるような存在(かわいい甥っ子や姪っ子の写真、もしくは雑誌やネットで見つけた無垢で愛らしい子どもなど)の写真に、「勉強は絶対にやらないほうがいいよね?」というセリフと、あなたがどう言おうか考えている状況を示す「・・・」を書き入れて、見えるところに貼っておく。

かわいい子どもと、「勉強は絶対にやらないほうがいいよね?」というセリフと、空白のカギカッコ

「・・・」に入る言葉が「いや、そんなことはない。勉強はやったほうがいい」だと思うたび、自分の行動との矛盾を感じ、意識を変えざるを得なくなっていくはず。

2. 自分に何度も質問する

ソフトウェアやネットサービスなどについている予定通知機能(リマインダー)を活用し、「このままずっと勉強しないほうが得ですか?」「勉強しないほうがたくさんいいことありますか?」と、たびたび質問が投げかけられるように設定しておく。

slackのリマインダーで「このままずっと勉強しないほうが得ですか?」と質問した場合

上の写真はチームコミュニケーションツールのSlackで自分にメッセージを送り、それをリマインド設定した例です。

この質問に対し「はい絶対にお得です。勉強しないほうがいいことあります!」と言いきれ “ない” なら、あなたは「勉強しないと人生はよくならない」と考えているはず。自分の考えと行動に生じている矛盾を取り除くべく、勉強する準備を始めることで、きっとスッキリしますよ。

ちなみに発言や認識した自分の考えはもう取り消せないので、矛盾が生じた場合は行動のほうを変えるしかありません……!

***
あだち健康行動学研究所所長で精神科医の足達淑子氏によれば、行動変容には「意欲」「続けるための技術」「知識(行動の方法や理由)」という3つの要素が不可欠なのだとか。

今回紹介した行動変容術は「意識を変える」という、そのなかのほんの一部分ですが、矛盾を正してできあがった自分の考えが、いい行動指針になってくれるはずです。いつの間にか「勉強したくない自分」から、「勉強したい自分」になっているといいですね。

(参考)
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|人に行動変容を促すうえで有効な3つの方法 命令や指示は効果的ではない
厚生労働省|審議会・研究会等|行動変容につながる保健指導 -生活習慣改善のための行動療法
錯思コレクション100 Collection of Cognitive Biases(十文字学園女子大学)|心理的リアクタンス

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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