まわりを見れば、短期間の勉強で資格試験に合格した人や、たくさん読書をして知識を蓄えている人がいる一方で、「自分は頭が悪いから勉強も読書もはかどらない……」とお悩みではありませんか?
まわりと比べると「自分には足りないものばかり」だと感じるかもしれませんが、諦めるのはまだ早い! 問題は頭の良し悪しではなく、勉強以前にすべきことができていないだけかもしれません。
本記事で紹介する “勉強以前にやってみるといい” 3つのことを参考にして、勉強に対する苦手意識を克服し、勉強をはかどらせましょう。
【ライタープロフィール】
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格を取得。現在は国際中医師合格を目指し毎日勉強している。勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。
東洋経済オンライン|東大生も悩んでた「やる気が出ない問題」解決3策
ダ・ヴィンチWeb|勉強前のある行動で記憶効率が25%もアップ⁉ 優秀な人ほど実践している、その行動とは?/絶対忘れない勉強法②
朝日新聞Reライフ.net|脳活性化とは? 専門家が簡単にできる脳活とポイントを解説
日経ビジネス電子版|『ドラゴン桜』式・頭がいい人が持つ「主観・客観」マトリックス
1.「行動を細分化」するといい
いざ勉強しようと机に向かっても、「何から手をつければいいのかわからない」と感じ、やる気がみるみるしぼんでしまうことはありませんか?
何からやればいいのかわからずつまずいてしまうなら、勉強に着手する前に自分の行動を分解して考えてみるといいでしょう。
教育事業などを手がける株式会社カルペ・ディエム代表の西岡壱誠氏によれば、「行動を分解できれば、やることが明確になって、ゲームのように1つひとつの動作を完了させていく感覚で物事に取り組め」るのだそう。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|東大生も悩んでた「やる気が出ない問題」解決3策)
勉強に着手する前に、以下のようにやるべきことを分解して順序立てて考えるのです。
- ノートを用意する
- 1ページ目に、○○を書き出す
- 次にネットで○○を調べる
(上記参考:同上)
たとえば、資格取得を目指して勉強する場合で考えてみましょう。ただ単に「資格を取得する」という目標を立てるだけ、「資格試験の勉強をしよう」と思うだけでは、漠然としていて具体的に何から手をつければいいかわかりません。
そこで、「資格取得のための勉強」を分解してみると、次のように考えられます。
【資格取得のための勉強】を分解
- テキストの目次を見て、内容をイメージする
- 得点配分が多い分野を調べる
- どの分野から勉強するかを決める など
上記のように、勉強に取り組む前に、その勉強に必要な行動を細かく分解してみましょう。「何をやればいいかわからない……」という悩みが減り、勉強に着手しやすくなるはずです。
2.「10分間散歩」するといい
“頭がいい人” というと、長時間集中して勉強しているイメージがあるかもしれません。
しかし実際は、「優秀な人ほど」スキマ時間に「軽い運動や散歩をしている」のです。スティーブ・ジョブズ氏やマーク・ザッカーバーグ氏に散歩の習慣がある(あった)と聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。(カギカッコ内引用元および参考:ダ・ヴィンチWeb|勉強前のある行動で記憶効率が25%もアップ⁉ 優秀な人ほど実践している、その行動とは?/絶対忘れない勉強法②)
優秀な人が軽い運動や散歩をするのには、理由があります。それは、脳の働きが活発になるから。
明治大学教授で『絶対忘れない勉強法』著者の堀田秀吾氏によれば、「勉強をする前に歩いて体の血液を巡らせると、脳にどんどん血液が送られてエンジンがかかり、勉強の効率がアップする」のだとか。研究に基づき、「10分間散歩する」ことを堀田氏はすすめます。(カギカッコ内引用元:同上)。
たった10分の散歩に、勉強をはかどらせてくれる役割があるとは驚きですね。
もし雨の日など散歩が難しい場合は、勉強時にこりやすい肩甲骨周辺のストレッチもおすすめ。医学博士の瀧靖之氏も、肩甲骨周辺のストレッチについて、「首には脳につながる動脈があるので、血行をよくすることで脳への血流アップにな」ると説明しています。体の前で両手を組んで上に伸ばしたり、体の後ろで両手を組んで下に伸ばしたりするといいそうです。(カギカッコ内引用元および参考:朝日新聞Reライフ.net|脳活性化とは? 専門家が簡単にできる脳活とポイントを解説)
脳へ血流が上がって働きが活発になれば、堀田氏が述べるように勉強の効率が上がるはず。やる気アップにもつながるのではないでしょうか。
このように、勉強の前に散歩やストレッチを取り入れれば、脳のエンジンがかかり、集中して勉強に取り組めるようになるでしょう。ちょっと体を動かす――そんなひと工夫で、勉強が苦手な人でも勉強をはかどらせることは可能なのです。
3.「マトリックス図で自己理解」するといい
問題演習をしてみたら、得意科目では思うように点が伸びなかったのに、逆に苦手科目では点がとれてしまったというような経験はありませんか?
自分のことほど意外とわからないものですが、頭がいい人は自分の弱みと強みを正確に把握しています。
前出の西岡氏は、「弱点を理解しているからこそ、弱点に対応する方法を考え、開発しているのが『頭がいい人』たちの特徴」であり、「弱点は、自覚した時点で半分解決している」と話します。(カギカッコ内引用元:日経ビジネス電子版|『ドラゴン桜』式・頭がいい人が持つ「主観・客観」マトリックス)
たしかに、自分の弱みを正しく認識できれば、それに対する対応策もおのずと浮かんでくるもの。苦手な単元があればそこを重点的に復習し、間違いやすい問題があれば類似の問題を繰り返し解く――こういったことができれば、苦手克服はしやすいですよね。
とはいえ、「自分の弱みや強みの把握の仕方がわからない!」という人もいるでしょう。その場合は、同氏が紹介する「『主観・客観』マトリックス」が便利です。これは、「主観的に『得意/苦手』と思うものと、客観的に『できていること/できていないこと』を整理する」もの。(カギカッコ内引用元:同上)
筆者も、実際にマトリックス図をつくってみました。下記がそのフォーマットです。
実際に問題を解いたうえで、解いた問題の勉強分野を書いた付箋をそれぞれ下記のA〜Dに振り分け、マトリックス図に貼っていきます。
貼り方のルールは、下記のとおり。
- 「得意」だと思っていて「正解」 した分野
⇒「得意」×「できた」=<A>のエリアに貼る - 「得意」だと思っていたが「不正解」だった分野
⇒ 「得意」×「できなかった」=<B>のエリアに貼る - 「苦手」だと思っていたが「正解」した分野
⇒ 「苦手」×「できた」=<C>のエリアに貼る - 「苦手」だと思っていて「不正解」だった分野
⇒「苦手」×「できなかった」=<D>のエリアに貼る
(カギカッコ内引用元および上記参考:同上)
実際に、付箋を貼ったのがこちら。図の外に貼ってある付箋は、まだ解いていない分野のものです。
実際にマトリックス図をつくってみると、自分の弱みと強みが明確になり、勉強計画を立てるのに役立つとわかりました。
勉強の優先順位については、西岡氏が以下のように説明しています。
【優先順位】
- 「得意」×「できなかった」 ⇒「あと少しの努力で『できた』にできる可能性が高い」
- 「苦手」×「できた」⇒「努力すれば得意」にもっていける可能性が高い
- 「苦手」×「できなかった」 ⇒「一番対策に時間がかかるところ」だから、必要性によっては諦めていい分野
(カギカッコ内引用元および上記参考:同上)
「どの分野から手をつければいいのかわからない」という人は、マトリックス図を使って、自分の得意分野・苦手分野を明確にしてみてはいかがでしょうか。そうすれば、勉強の優先順位がわかり、効率的に時間を使えるようになるはずです。
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「自分は頭がよくないから……」と学ぶことを諦めていたならば、本記事で紹介した3つのことを、ぜひ実践してみてくださいね。
頭がよくないというのは、あなたの思い込みかもしれないですよ。