5分もあれば余裕でできる「脳が覚える勉強法」

ボーダーのTシャツを着た、勉強中のビジネスパーソン

「資格を取得したい。キャリアアップやスキルアップを図りたい。でも忙しくてなかなか勉強できない!」という方は、脳のワーキングメモリを活用してはいかがですか? 忙しいビジネスパーソンが効率的に勉強するための「ワーキングメモリ活用法」 を紹介しましょう。

ワーキングメモリを簡単に言うと

私たちの脳にはワーキングメモリという認知機能があります。東京都立大学教授の樋口貴広氏は「大ざっぱに言えば」と前置きし、ワーキングメモリの機能が「情報の保持と処理」に関わると説明しています。もっと簡単に言うと、入った情報をうまく扱って、まとめる機能です。

たとえば会話の際には、相手が話した内容を脳に留めておきながら、相手の言葉に反応するべく頭のなかの情報をかき集め、返答の言葉をまとめるはず。暗算ならば、複数の数字を脳に留めつつ計算処理を行なうでしょう。いずれも、ワーキングメモリがなければ正しくできない活動です。

それらに限らず、ワーキングメモリは仕事・学習・日常生活におけるさまざまな活動を支えています。

脳のメモ帳とも呼ばれるワーキングメモリを表したイラスト

ワーキングメモリと長期記憶

作業療法士の菅原洋平氏は、前項で説明したワーキングメモリが「効率のよい勉強の仕方」に関係すると述べます。詳しく説明していきましょう。

まず、どんどんインプットしていく勉強法は、情報を入力したままの状態でただ脳に貯める短期記憶を活用した方法なのだそうです。
一方で、インプット後に「テストする」「人に説明する」など頻繁にアウトプットを行ない、そのアウトプット時に脳内の情報とつなげ加工していく勉強法は、ワーキングメモリを活用した方法なのだそう。

菅原氏が例として挙げた実験では、後者の「ワーキングメモリ」を活用した勉強法を取り入れたグループのほうが、短い学習時間で効率よく成績がよくなっていたのだとか。つまり、インプットよりも「アウトプット」が多いグループです。

じつは、富山大学准教授の坪見博之氏らの論文「ワーキングメモリトレーニングと流動性知能 1 ―展開と制約― (2019)」には、ワーキングメモリは長期記憶と連動しながら働くとあります。「長期記憶」は、いわゆるアウトプット時に引っ張り出す「脳内の情報」のこと。

同論文によれば、課題遂行に必要な長期記憶を充実させることで、ワーキングメモリのリソース消費を抑えることができ、結果として課題のパフォーマンスが上がるとのこと。ワーキングメモリの機能そのものは変えられなくても、長期記憶を充実させたぶんワーキングメモリを省エネ化できれば、成績だって上げられるわけです。

抽象化した脳のイラスト

長期記憶の定着化

なんとなく “一時的な記憶” というイメージのワーキングメモリですが、前項の説明からワーキングメモリと長期記憶の深い関係がわかりました。では、どうやって長期記憶を充実させたらいいのでしょう? ――じつは、前出の論文にその方法も示されています。内容は以下のとおり。

<長期記憶に情報を定着させる方法>

  1. (入力した情報について)説明する
  2. (入力した情報について)質問を考える
  3. テキストを何度か読む
  4. 定期的にテストする

1番目と2番目は「意味が精緻化される(きわめて詳しく細かい状態になる)」から。3番目と4番目は「情報の想起を繰り返すことになる」からです。

上記の方法を見ても推察できますが、2007年発表の研究(Kornell & Bjork)では、一度にまとめて学習するよりも、分散して学習するほうが長期記憶への定着がよくなると示されています。

一度限りのテストだけが目的ならば、追い込み型の勉強でいいかもしれません。しかし、テストのあとにもしっかりと知識を活かしたいなら、長期的な勉強が必要です。その際には時間を分割して勉強したほうがいいと菅原氏は言います。ビジネスパーソンに必要なのは明らかに後者(のちのち知識を活かしていく)ですよね。

忙しいビジネスパーソンは、学ぶ時間を分散させて、説明したり、質問したり、何度も読んだり、テストしたりするといいわけです。

学習したことについて質問するビジネスパーソン

ワーキングメモリを活用した勉強法とは?

これまでの内容から、「学習時間を分散させアウトプットを頻繁に行なうと」⇒「長期記憶の定着がよくなる」⇒「ワーキングメモリのリソース消費を抑えることができる」⇒「ワーキングメモリパフォーマンスが向上する」⇒「成績がよくなる」といった正の連鎖が起こるとわかりました。

前出の菅原氏はこう述べます。

つまり、入力すればすぐに勉強したことになるわけではなく、脳内での加工作業が挟まることで、「丸暗記」から「使える知識」になるのです。

(引用元:新R25|「1つの勉強をじっくり」VS「違う勉強を同時進行」…脳をうまく使った効率的な勉強法は?) 

したがって、忙しいビジネスパーソンが効率的に勉強するための「ワーキングメモリ活用法」は次のとおりです。

  • スキマ時間で勉強
  • ちょっと覚えたら人に説明したり質問したり
  • 気がついたらテキストを読む
  • 気が向くままに小テスト

「いまは忙しいから資格なんてとれない」「スキルアップの勉強なんてできない」は思い違い。「ワーキングメモリ活用法」を知れば、1日5分~10分くらいしか空いた時間がないという方でも、効率よく勉強することが可能だとわかるはずです。

***
忙しいビジネスパーソンが効率的に勉強するための「ワーキングメモリ活用法」を紹介しました。まずは “テキストをパラパラ” からでも始めてみてくださいね。

(参考)
新R25|「1つの勉強をじっくり」VS「違う勉強を同時進行」…脳をうまく使った効率的な勉強法は?  
樋口貴広|東京都立大学知覚運動制御研究室|高次認知機能のトレーニングは可能か:ワーキングメモリトレーニングに関するレビュー(坪見他,2019)  
坪見博之・齊藤智・苧阪満里子・苧阪直行(2019),「ワーキングメモリトレーニングと流動性知能 1 ―展開と制約― 」, 心理学研究. 

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StudyHacker編集部
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