「インプットもアウトプットもたくさんしているはずなのに仕事で成果が出ない……」
「これ以上どうすればいいかわからない……」
こんなふうに悩んで諦めモードになっている人はいませんか?
そんな人に足りないのは他者からの「フィードバック」です。なぜなら、自分では完璧だと思っていても、まだ気づけていないことは必ずどこかにあるはずだから。
グロービス経営大学院教員の荒木博行氏は、「よい学び手はフィードバックを受けることに長けており、外部からのフィードバックを自分のなかに取り込んでうまく成長へつなげている」と述べます。今回は、実践で本当に役立つフィードバックをもらう方法についてお伝えします。
【方法1】アウトプットの質は限界まで高めておく
誰かからフィードバックをもらうときは、自分のアウトプットの質を、100点とは言わずとも事前にできるだけ高めておきましょう。
前出の荒木氏は、アウトプットの質がそれなりだと、フィードバックもそのアウトプット相応のレベルのものしか返ってこないと指摘します。たとえば、「早いうちに確認してもらおう」と30点レベルのアウトプットを誰かへ投げたとしましょう。しかしそれでは、100点レベルにするためのフィードバックは返ってきません。なぜなら、相手は「過度なフィードバックをしても意味がない」「すべて改善されるはずがない」と考えて、次は40点くらいを目指せるフィードバックに留めてしまうから。
もちろん、30点から40点、40点から50点とアウトプットの質を徐々に高めていこうとしているのであればそれでも問題ありません。しかし、「期間内でできる限り準備を重ねた結果としてのアウトプット」と「『わからないところは聞けばいいや』という思いで出したアウトプット」はまったく異なります。もし100点レベルにするためのフィードバックが欲しいなら、期間内でたどり着ける最高レベルのアウトプットを目指すようにしましょう。
【方法2】問いかけを工夫する
単純に「どう思う?」と相手へ感想を尋ねてみたら的外れなフィードバックをされた、という経験がある人も多いかもしれませんね。この場合、質問が漠然としすぎているために、相手もフィードバックの仕方に困っている可能性があります。参考にできるフィードバックをもらうためには、こちらからの問いかけにも工夫が必要です。
たとえば、「私のプレゼンテーションはどうでしたか?」と尋ねるより、「私のプレゼンテーションは100点中何点でしたか? それはなぜですか?」と点数化してもらうほうが、曖昧なフィードバックを防ぐことができるでしょう。また、「もしこのプレゼンテーションを営業先からされたとしたら、取引しようと思いますか?」のように、仮定の話として尋ねてみると、異なる角度からのフィードバックをもらえるかもしれません。さらに、「この情報はこういう狙いで入れたのですが、伝わりましたか?」などフィードバックをもらう部分を絞り込んで尋ねれば、相手は回答しやすいと感じるはず。
問いかけの仕方をちょっと変えるだけで、フィードバックのレベルは大いに高められるのです。
【方法3】相手を使い分ける
アウトプットの質を高めたいなら、目的や状況によってフィードバックを求めるべき人物を吟味する必要があります。最適な相手を選べばより多くの学びを得られますが、そうでなければ、せっかくのフィードバックの機会は無駄になってしまうかもしれないからです。
たとえば、企画プレゼンをすることになったとしましょう。アウトプットの初期の段階では、普段から関わりのある同期や先輩へ相談すれば、自分の意図を汲み取って基礎的な改善点を具体的にフィードバックしてくれるはず。この初期の段階で役員レベルの上司にフィードバックを求めるのはあまり望ましくありません。
忙しい役員レベルの上司へ貴重なフィードバックの機会を求めるなら、同期や先輩に尋ねるのでは補えない、もっと高い視座からの意見をもらうべきです。この場合、アウトプットの質が高まったと思えるような段階で、さらにプラスアルファの改善が必要な場合にフィードバックを求めるのが得策と言えるでしょう。
【方法4】事実と感情を切り離す
フィードバックのなかには、受け入れがたい、あるいは認められないようなネガティブな内容もあるかもしれません。しかし、そうしたフィードバックこそ学びの宝庫だと言えるでしょう。
前出の荒木氏は、「第三者の視点で事実を求める」ことが大切だと述べています。たとえ耳が痛いようなことでも、不満やいらだちといった感情を切り離して、改善すべき事実だけをもとにアウトプットの質を高めていくことが必要なのです。
たとえば、プレゼンで「悪くはないけれど、話が冗長だという印象を受けた」というフィードバックをもらったとしましょう。その際、あまり嬉しくないフィードバックをもらったことへの不満に意識を向けるのではなく、「話が冗長」という事実を冷静にとらえなければなりません。「具体的に、どの点が冗長だと感じましたか?」「もっと簡潔に説明しようと思ったら、どの部分を削るべきでしょうか?」などとさらに踏み込んで尋ねれば、アウトプットへ活かすことができるはずです。
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成果を出せず悩んでいるみなさんは、フィードバックの機会をぜひ学びに活かしてみてください。
監修:グロービス経営大学院
(参考)
グロービス経営大学院(2014), 『グロービス流 ビジネス勉強力』, 東洋経済新報社.
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STUDY HACKER 編集部
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