成績の伸ばし方がわかる! 勉強法の改善点が自然と見えてくるフレームワーク「YWT」の使い方

「YWT」で1週間勉強内容を振り返り続けてみた01

「1か月も前から試験勉強をしていたのに、点数が思ったより低かった」
「もう十分勉強しているのに、これ以上勉強法をどう改善したらいいかわからない……」

このように悩んでしまうのは、勉強した「つもり」になっているだけだからかもしれません。今回は、勉強した「つもり」の状態に陥ることを防ぐのに有効なYWT」と呼ばれる振り返り法について、詳しくご紹介します。成績の伸び悩みや、勉強の行き詰まりを解消するために、ぜひ活用してください。

勉強した「つもり」になる人が気づけていないこと

教育デザインラボ代表理事で教育評論家の石田勝紀氏は、勉強した「つもり」になっている人がやりがちな、成果につながらない勉強法の一例として、以下を挙げています。

  1. 「複数冊の問題集」に挑む
    →本当は、1冊の問題集を繰り返すほうが、必要な情報を記憶しやすい。何冊もの問題集に手を出しても、記憶の定着率はなかなか上がらない。

  2. 新出用語を「最初に暗記」する
    →脳は新しいことを覚えるのが苦手。本来なら新出用語の暗記は、その用語にある程度慣れた、勉強の最終段階で行なうほうがいい。

  3. 勉強イコール「即、暗記」
    →本来必要な、覚えるための下準備(「参考書を読み込んでから、ノートにまとめる」など)を省略して即暗記しようとしても、覚えられない。

石田氏は、“子どもがやりがちな間違った勉強法” として上記を挙げていますが、どれも大人でもやりかねないもの。

「資格試験に絶対合格したいから、いろいろな問題集を解いて力をつけよう」
「少しでも早く勉強を終わらせるために、新出用語があったらすぐ覚えよう」

など、身に覚えのある人もいるのではないでしょうか。

こうした間違ったやり方で勉強していること自体問題ですが、自分がそういう勉強をしてしまっていることに “気づけていない” のはもっと問題だと言えるでしょう。自分の勉強法を改善するきっかけすらつかめないまま、「うまくいかないなぁ……」と無駄に嘆くだけになってしまうからです。

間違った勉強法で取り組んでいることにそもそも気づけなければ、いくら時間をかけたとしても勉強した「つもり」になるだけで、成績は伸びていかないということなのです。

「YWT」で1週間勉強内容を振り返り続けてみた02

 

勉強した「つもり」をなくすには「YWT」が効く!

前述のことをふまえると、「自分はいま成果につながらない勉強をしているな」と気づければ、勉強した「つもり」・覚えた「つもり」の状態に陥ることを防げる――と言えます。

そこで有効なのが、「YWT」と呼ばれる振り返りメソッド。日本能率協会コンサルティング(JMAC)により1990年代に考案されたものです。振り返りやリフレクション(内省)をする際の、考え方・実践手法として編み出されました。

具体的には、

  • Y(やったこと)
  • W(わかったこと)
  • T(次にやること)

の3つを書きます。「〇〇したら/しなかったら→効果が出た/出なかった→だから次はこうしよう」というように、実践と気づきを通して次の行動を考える、非常にシンプルな思考法です。

YWTを書く際は、紙を3分割し、それぞれのスペースに頭文字を書いておきます。あとは、それぞれに当てはまる内容を入れるだけ。

例として、試験前の勉強方法について、YWTで振り返ってみましょう。

  • Y(やったこと):試験前にどんな勉強をしたか
  • W(わかったこと):その勉強がテストの結果へどう反映されたか
  • T(次にやること):YとWをもとに、次回のテスト勉強では何をするか・何を改善するか

これらを順に書き込むと完成です。

「YWT」で1週間勉強内容を振り返り続けてみた03

このように、Y→W→Tの流れで勉強を振り返れば、反省点を見つけると同時に改善策まで練ることができるのです。

「YWT」で1週間勉強内容を振り返り続けてみた04

「YWT」で1週間勉強内容を振り返ってみた

筆者も実際にYWTを使いながら、1週間勉強に取り組んでみました。

今回取り組んだのは、韓国語・朝鮮語の勉強。筆者は大学で比較文学を研究しているのですが、その比較対象となる言語の勉強も同時に行なっています。ちょうどよい機会だと考えて実践しました。

まず、紙を3分割し、各エリアの一番上に「Y(やったこと)」「W(わかったこと)」「T(次にやること)」と記入。あとで振り返るのに役立つように、筆者はYの欄の左端に日付を書きました。

分けた3つのスペースそれぞれに書いた内容は、次のような感じです。

  • Y(やったこと):その日に取り組んだ単元や、学習した表現
  • W(わかったこと):チェックシートで隠しながら行なった確認テストの結果と、そこで間違えてしまった表現
  • T(次にやること):間違えた問題に次こそ正解するためにすべきこと、次に勉強すべきこと

じつは筆者はこれまで、「1日に10ページ程度勉強する」と漠然と決め、その日の気分で勉強範囲を広げたり、勉強自体を取りやめたりしていました。今回は、気分によらず振り返りをきちんと行なうために、10ページ進めたらその日の勉強は絶対に終えると決めて、徹底しました

そうして続けた実践の様子の一部が、以下のとおりです。

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実感した効果、実践のポイント

実際にYWTを用いて、その日の勉強について振り返ると、勉強時の改善点を自然と考えやすくなりました

たとえば、ある日のYWTがこちら。

  • Y(やったこと):否定形の表現を勉強。動詞のあとにスペースを空ける必要があると学んだ。
  • W(わかったこと):確認テストではスペースを空けるのを忘れてしまっていた。否定表現がまだ覚えきれていない……
  • T(次にやること):ほかの否定表現も一緒に勉強しよう。

このように、否定表現を体系的に学ぶ機会をつくり改善したことで、以降はミスしないよう注意できたのです。改善すべき点を放置せずにすぐ気づくことができたので、意味のある勉強につながったと感じました。

これまでの筆者であれば、「間違えちゃったな、勉強したつもりだったのに」で終わっていたかもしれません。今回「〇〇したら→効果が出なかった→だから次はこうしよう」という振り返りの流れを踏んだことは、「勉強したつもり」を脱却して、自分の勉強をアップデートしていくのに、たしかに効果的だと思いました。

また、「1日10ページ」と決めて淡々と続けたことで、その日の気分に左右されず、勉強を続けることができました。1日も振り返りを欠かさず、勉強法を改善し続けて取り組めたことは、大きな自信になったと感じています。勉強後にYWTの表を完成させることは達成感にもつながるので、勉強を習慣化させたい人にもおすすめです。

なお、先述の石田氏が紹介していた「成果につながらない勉強法の代表例」と自分の勉強法を、つど照らし合わせるようにすれば、より自分の勉強法の改善点に気づきやすくなることでしょう。

***
勉強したはずなのに覚えられない・点数が伸びない理由を明確にしてくれる、振り返りのフレームワーク「YWT」。みなさんに必ず解決策を与えてくれます。ぜひ今回お伝えしたやり方を参考に、自分なりのYWTをつくり振り返ってみてください。

(参考)
東洋経済オンライン|「1日10時間勉強してもダメな子」の本質的理由|ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
幻冬舎 GOLD ONLINE|医学部受験「現役で全落ち」から「一年でトップクラス校合格」は果たして可能か
株式会社日本能率協会コンサルティング|YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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