「一流」と呼ばれる人々の共通点は、学ぶ意欲が非常に高く、それが永続的であることです。今回は、国内外の一流11人が「成功してもなお学び続けていること」を紹介しましょう。
1.【マイケル・デル氏】:顧客
パソコン大手デル・テクノロジーズの創業者で、CEOのマイケル・デル氏は、以前より基調講演やメディア向け発表会などで顧客重視の姿勢を示してきました(たとえば「Oracle Open World San Francisco 2013」「Dell World 2014」など)。Forbes JAPAN 2017年12月号掲載のインタビューでは、起業家を目指す人に「好奇心をもち素直に耳を傾けること、顧客から学ぶこと」をアドバイスしています。デル氏は顧客にエネルギーを注ぎつつ、そこから学んでいるわけです。
2.【孫正義氏】:憧れの人
ソフトバンクの創業者で、ソフトバンクグループ代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏は、十代のとき司馬遼太郎氏著の『竜馬がゆく』を読んで人生観が変わったそうです。同氏いわく、坂本龍馬にとっての明治維新は、われわれにとっての情報革命とのこと。「何を成し遂げることで龍馬に並べるか」との質問には「永遠にない」と答えています。 ソフトバンク新卒採用ページには、「世に生を得るは事を成すにあり」という坂本龍馬の言葉も(2021年9月現在)。孫氏は、永遠の憧れの人・坂本龍馬に学び続けているのです。
3.【アマンシオ・オルテガ氏】:現場
ZARAで知られるアパレルメーカー・インディテックス社の創業者 アマンシオ・オルテガ氏は、インタビューを受けるより従業員と一緒に現場で働くほうを選ぶ、質朴な億万長者です。その後任である現会長兼CEOのパブロ・イスラ氏いわく、オルテガ氏は「謙虚さと聴く力」に長けており、体験から学び得た「先を読む能力」にも優れているとのこと。成功してもなお、オルテガ氏は現場で学び続けていたわけです。
4.【柳井正氏】:失敗
ファーストリテイリング代表取締役 会長兼社長の柳井正氏にとっても、やはり失敗は葬り去りたいほど嫌なものなのだとか。しかし、たとえ失敗しても、そこから学んで修正していけば「よい方向」に進めるとのこと。そうしなければ、同じ失敗を繰り返すことになると同氏は説きます。柳井氏は、失敗から学び、素早くリカバリーすることを大切にしているのです。
5.【マーク・ザッカーバーグ氏】:足りないもの
フェイスブックの創業者で、会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、自身が経験豊富な人間ではないことを自覚しているそうです。そのため、他社の事例は以前グーグルや政府機関で働いていたCOOのシェリル・サンドバーグ氏に聞くことが多いのだとか。組織人事ストラテジストでエグゼクティブコーチのエリカ・ケスウィン氏によれば、強いリーダーほど自分に足りないスキルを認識し、それを補える人物を採用するとのこと。ザッカーバーグ氏は、自分に足りない部分を明らかにすることを恐れず、それを補える人から学べる強いリーダーと言えます。
6.【ラリー・エリソン氏】:毎日、新しいこと
ソフトウエア大手のオラクル創業者で、ヨット好きとしても知られるラリー・エリソン氏は、プロセーラーの鍛錬には終わりがないのと同じように、オラクルにおいても毎日、何か新しいことを学び、機会を見つけようとする試みが必要だと述べます。同氏いわく、ヨットはトップレベルになると多大な労力が必要だが、それだけの価値はあるとのこと。事業においてもトップレベルになったからこそ、エリソン氏は毎日、何か新しいことを学ぶ労力を惜しまないわけです。もちろん、それだけの価値があるから。
7.【ビル・ゲイツ氏】:ノンフィクション
年50冊以上の本を読むという、マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏は、公衆衛生、科学、ビジネスといったノンフィクションを選ぶことが多いのだとか。この選択について、Business Insider のシニアイノベーションレポーターであるクリス・ウェラー氏は、ゲイツ氏の「自分がいる世界をより深く学びたい欲求」を満たすものだとしています。食欲には食べ物、ゲイツ氏がこの世界を学びたい欲求にはノンフィクションということです。
8.【イーロン・マスク氏】:SF小説
電気自動車企業テスラや、宇宙開発企業スペースXの創業者およびCEOであるイーロン・マスク氏は、幼い頃から大のSF小説ファンなのだとか。ダイヤモンド副編集長の杉本りうこ氏によれば、マスク氏はいまも「SF小説のシリーズを再読したら最高だった」などとSNSでつぶやいているそうです(2019年8月当時)。SF小説さながらのビジネスを具現化してきた天才実業家のイーロン・マスク氏は、いまも少年時代と変わらない心でSF小説から学び続けているわけです。
9.【ウォーレン・バフェット氏】:率直な情報
投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる、「投資の神様」ことウォーレン・バフェット氏は、毎朝のように主要紙すべてに目を通すそうです。また、アナリストの主観が入ったアナリストレポートは読まずに、「企業が発信する情報」をじかに受け取るのだとか。つまり、バフェット氏は、歪められていない「率直な情報」から社会と経済を学び続け、投資に役立ていると言えます。
10.【ベルナール・アルノー氏】:顧客の欲望
世界的なラグジュアリーブランドの買収を重ね、各ブランドの希少性を保ちながら超巨大企業となった「LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン」の、会長兼CEOであるベルナール・アルノー氏いわく、LVMH最大の強みは「実用的なクリエイティビティーを生み出すこと」なのだとか。だからこそ、顧客の強い欲望に沿う商品でなければならないとのこと。買収の際にもLVMHは、ブランド同士が競合しないよう、顧客層の違いを緻密に計算したといいます(KDDI総合研究所の調査レポート内、早稲田大学 大学院経営管理研究科教授・長沢伸也氏の言葉より)。つまり、アルノー氏は、数々の実用的なラグジュアリーファッションを生み出し、かつ価値を維持するために、「顧客の欲望」から学び続けているわけです。
11.【ジェフ・ベゾス氏】:チャレンジ
アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏は、2021年の7月5日付で同社のCEOを退任しました。IoTNEWS代表の小泉耕二氏は、ベゾス氏の後継者が失敗を恐れずチャレンジを続ける、アマゾンらしい経営を続けるかどうかに注目しているとのこと。これまでアマゾンが失敗したサービスは多いけれど、2度目のチャレンジで成功したサービスも多いそうです。つまり、ベゾス氏は、恐れずにチャレンジすることで学びを得て、企業を成長させてきたということです。
***
国内外の一流11人が、成功してもなお学び続けていることを紹介しました。ぜひ参考にしてくださいね。
(参考)
New Spanish Books JP |ザラから来た男インディテックス・グループを築いた天才の物語 THE MAN FROM ZARA The story of the genius behind the Inditex group
WWDJAPAN|「ラグジュアリー企業にマーケティングの概念は不向き」 アルノーLVMH会長兼CEO流ブランドビジネスの必勝法
現代ビジネス|新聞と縁の深いバフェットが考える「メディアと投資の深すぎる関係」
FNNプライムオンライン|「失敗を恐れない経営」続けられるか…アマゾンのベゾスCEO退任で注目される今後の戦略
プレジデントオンライン|20億円が8兆円に育つ…孫正義が出資を決めるときに"実績"より重視すること
ハーバー・ビジネス・オンライン|ZARA創業者アマンシオ・オルテガが持っていた、学歴よりも大切な「2つの能力」
Business Insider Japan|ザッカーバーグは1社でしか働いたことがない ── そのメリット、デメリット、あなたの場合は?
株式会社KDDI総合研究所|調査レポート R&A「フォルクスワーゲングループとLVMHのブランドポートフォリオ」
Business Insider Japan|著名な成功者8人が強調する「読書のパワー」
ダイヤモンド・オンライン|ハイテクガリバーはこうしてSFから着想している
Oracle 日本|ラリー・エリソンが語るOracle OpenWorld 5つの注目ポイント
朝日新聞デジタル|10兆円ファンドは「薩長同盟」 龍馬ファンの孫氏熱弁
Forbes JAPAN|柳井正の名言7選 「10回新しいことを始めれば9回は失敗する」
Forbes JAPAN|「デル」創業者兼CEOに聞く成功の秘訣
ソフトバンク新卒採用|孫 正義 創業者取締役からのメッセージ
ASCII.jp|株式非公開化から1年、マイケル・デルCEOが成果を語る
ASCII.jp|企業向け戦略、オラクルとの連携製品――デルCEOが語る
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。