脳機能低下の原因は年齢ではなかった! 仕事終わりの “あの習慣” で脳は鍛えられる

光を放つ脳のイラスト

「最近ミスが多いのは歳をとったせいだ」などと、脳機能の低下を年齢のせいにしていませんか? 脳医学者の瀧靖之氏によれば、年齢を重ねても脳の一部では神経細胞がつくられており、外部からの刺激で変化することもわかっているそうです。

カラダと同じように、脳も鍛えなければ弱くなってしまいます。いますぐ始められる4つの習慣で、丈夫な脳をつくりましょう。

1. 仕事終わりに楽しむ習慣

学術誌『American Journal of Epidemiology』で発表された、イギリスの公務員を対象にした研究によると、長時間労働は加齢にともなう思考力や記憶力の低下を早めるそうです。

一方で、渡邊昌氏(2007年当時、国立健康・栄養研究所所長)らが総監修した『100歳まで元気人生!「病気予防」百科』(日本医療企画)によれば、脳の司令塔と呼ばれる前頭前野は、「相手の表情を読みながら会話、笑う、笑わせる、誰かのいいところを探す、笑顔のスライドショーを見る」といったことで活性化するのだとか。

テキパキ仕事をこなしてサッと切り上げ、何かワクワクすることを楽しむ習慣を身につければ、脳機能の低下を防いで前頭前野も鍛えられるはず。対面あるいはオンラインで表情を見ながら会話を楽しむ、もしくはバラエティやドラマ、映画、アニメで笑うのもおすすめです。

ちなみに前頭前野はほめられたときではなく、叱られたときに活性化するのだそう。自分の興味・関心が向いている習い事を楽しむ際は、優しさのなかに厳しさがある先生にお願いするといいかもしれません。

オンラインで会話を楽しむビジネスパーソン

2. デュアルタスク習慣

早稲田大学理工学術院教授の枝川義邦氏によると、パソコンやスマートフォンなどデジタル機器を用いたマルチタスクは、脳内でストレスホルモンのコルチゾールを増やすそうです。これが続くと脳機能の低下や脳細胞の死滅にまでつながってしまうのだとか。

そうしたなか、高齢者24名を対象とした筑波大学の研究では、デュアルタスク運動(二重課題運動)が、身体機能や認知機能を高めると示唆されました(2020年12月28日プレスリリース)。 デュアルタスク運動とは「身体動作」と「脳活性課題」の組み合わせのことで、同研究では前者が「じゃんけん・ボール回し」、後者が「数字・計算・言葉」でした。

働き盛りのビジネスパーソンなら、安全な場所で歩きながら仕事の案件について考えたり、歩きながら打ち合わせしたりするのもいいでしょう。 Active Brain CLUB(東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニー運営 )デュアルタスクが前頭前野を活発に働かせるとし、「テレビ&洗濯」「しりとり&ウォーキング」「足し算・引き算&ウォーキング」などをすすめています。

歩きながら打合せするビジネスパーソンたち

3. 心をさまよわせる習慣

仕事でも勉強でも「集中」は大事ですが、ときどき「心をさまよわせる」ことも必要です。東京大学大学院工学系研究科教授の中尾政之氏が、“新しいこと” を創造中の脳をMRIなどで測定してみたところ、そのプロセスは心をさまよわせている(マインドワンダリング)状態=ボンヤリ状態であったそうです。

また、2017年8月の『Neuropsychologia』に掲載された米ジョージア工科大学などの研究では、マインドワンダリングが創造性のほか、流動性知能とも正の相関にあるとわかったのだとか(片方の値が増加すると、もう片方の値も増加する関係)。流動性知能とは成人初期をピークに低下する能力のことで、計算力や暗記力、思考力や集中力などを指します。

たとえば電車やバスに乗っているとき、シャワーをゆっくり浴びているとき、食器洗いをしているとき、仕事で単純なタスクを行なっているとき、ゆっくり散歩しているとき、自然とボンヤリが生まれることがあるはず。

そうして心がさまようとき、脳はあらゆる記憶を総動員し、何かを考え出していると前出の中尾氏は言います。「ボンヤリしちゃダメだ」なんて思わないでくださいね。脳は創造し、知性を高めているのですから。

ノートブックを扱う手を止め、列車の外を眺めてボンヤリしているビジネスパーソン

4. 中枢性疲労を緩和する習慣

脳をしっかりと鍛えるにあたり、脳の疲れをとる習慣も大切になってきます。肉体的な疲労は「末梢性疲労」といいますが、頭の疲れは「中枢性疲労」というそうです。長い会議や、人間関係などのストレス増加、パソコンやスマートフォンなどの長時間使用により生じるのだとか(心臓血管病専門病院の名古屋ハートセンターサイト内コラムより)

もと東京大学大学院教授、大谷勝氏の著書を参考にした「オープンラボ」内コラムによれば、どうしても集中できない、やる気が起きないときは、中枢性疲労が起きているのだそうです。

しかし、「BCAA=ロイシン、イソロイシン、バリンの3種類」という必須アミノ酸(タンパク質)を摂取しておくことで、中枢性疲労の原因成分が脳に到達する量を減らせるため、脳の疲れを緩和しうるのだとか(「日経バイオテクONLINE」の解説より)

大阪市立大学大学院教授の由田克士氏は、通常の食事をしていれば必須アミノ酸が不足することはないと言います。ならば、タンパク質が不足していないかどうか、常に意識するだけで「中枢性疲労を緩和する習慣」になるわけです。BCAAを含む食品を以下にお伝えしておきますね。

  • 大豆製品(豆腐など)
  • 肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)
  • 魚累(サンマ、マグロなど)
  • 乳製品(チーズ、牛乳など)

(※参考:テルモ株式会社のたんぱく質補給商品情報)

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カラダを鍛えるように、脳も鍛えて丈夫になりましょう!

(参考)
ScienceDirect|Functional connectivity within and between intrinsic brain networks correlates with trait mind wandering
日経Gooday|「脳は加齢で衰える」は誤解 何歳でも「脳力」は成長する
プレジデントオンライン|人間は本質的に"マルチタスク"はできない 「一点集中」を続けるのが効率的
TSUKUBA JOURNAL|二重課題運動は高齢者の身体機能や認知機能を向上させる可能性がある
名古屋ハートセンター|“休養不足”に陥っていませんか? 心臓を長持ちさせるための休養とは
ドクターサーチみやぎ|前頭前野は「いつもと違う」刺激や、人との関わりで活性化する
Active Brain CLUB|生活の中のデュアルタスクを心がけて脳活
オープンラボ|アミノ酸と脳の関係
テルモ株式会社|栄養素補給(微量元素・たんぱく質等)
UTokyo BiblioPlaza|創造力を鍛える マインドワンダリング
Harvard Business Review|Don’t Overwork Your Brain
日経バイオテクONLINE|分岐鎖アミノ酸(BCAA)
e-ヘルスネット|アミノ酸
コトバンク|流動性知能

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STUDY HACKER 編集部
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