東大生作家、東大首席卒、知の巨人たち。「本当に頭のいい人」がしている文章の書き方4選

「本当に頭のいい人」がしている文章の書き方4選01

メールや報告書など、ビジネスでは文章で物事を伝える場面はいくらでもあります。それだけに、文章ひとつで「仕事ができそう」「頭がよさそう」と思わせることもできれば、逆に「仕事ができなさそう」「頭が悪そう」と判断されてしまうこともあるもの。

では実際に、「本当に頭のいい人」たちはどんなふうに文章を書いているのでしょう。知的エリートたちが実践する文章術を4つご紹介します。

1.「文章の目的」を明確化する

『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』など勉強法に関する著作を多くもつ東大生作家・西岡壱誠氏は、文章に明確な「目的」を盛り込んでいるそうです。

西岡氏によれば、文章の目的とは「読者にどうなってもらいたいのか」。取引先へのメールで、「何かを確認してもらいたい」のか「何かに納得してもらいたい」のか、あるいは「何かの行動をとってもらいたい」のか。そういった、読む側に促したいことこそが、文章の目的でありかなめなのです。

にもかかわらず、漫然と、思いついたことから文章を書いてしまうことは多いもの。たとえば、取引先へのメールでこんな文章を書いたとします。

「前回出た問題について、〜〜に変更する案、〜〜でカバーする案を、次回の打ち合わせでご説明したいのですが、ご都合いかがでしょうか。」

このメールの目的は、次回の打ち合わせのアポをとることですね。しかし、打ち合わせの内容の話ばかりをして、肝心のアポの詳細を書いていません。これでは「アポをとる」という目的を果たすまでに、メールが何往復もかかることに。そこで、目的を意識した文章に書き直してみます。

「次回の打ち合わせですが、◯月◯日午後◯時に貴社へ伺いたいのですがご都合よろしいでしょうか。前回の打ち合わせで出た問題の改善案をご説明する予定です。」

メールの目的である「次回の打ち合わせ日時の確定」についての話題を頭にもってきて、それ以外の情報は後ろに入れます。これで、目的が明確な文章になりました。

西岡氏は、文章の目的には大きく2種類あると言います。ひとつは、読み手に「情報を知ってもらいたい(=インプット)」というもの。もうひとつは、読み手に「具体的な行動を起こしてもらいたい(=アウトプット)」というものです。

西岡氏いわく、特にアウトプットが目的となる文章の場合は、ただ読んでもらうだけでなく実際に行動してもらわなければいけないので、必要な情報をより詳細にわかりやすく伝えるべきだとのこと。その点、上記のように目的を明確にすると、どの情報がどれだけ必要なのかがはっきりと見えてきて、読み手の行動につながる文章が書けますよ。

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2. 文章のタイプによって「文体」を変える

東大を首席で卒業し、元財務官僚、日本とニューヨークの弁護士、法学の研究者などさまざまな顔をもつ山口真由氏は、文章に求められる要素によって文体を変えていると言います。

たとえば、論文や法律の文書に求められるのは、徹底的な正確性。主観や感情はいっさい排し、解釈に幅の出ない文章を書くそうです。一方で、一般向けの読み物は読者の心をひきつけることが必要。この場合には、より好まれやすい、感情的でドラマチックな表現を意識するとのこと。

そんな山口氏自身も、かつてある事件について論文を書いた際、「赤子」という表現を「新生児」に訂正するよう指示された経験があるとか。読み手の感情を喚起する表現は、正確であるべき文章には不必要だということがよくわかる例です。

「うまい文章」や「きれいな日本語」を目指そうとすると、たったひとつの「うまい文章」の正解があるような気がしますよね。しかし、じつは「うまい文章」にたったひとつの正解はありません。むしろ文章に求められているものに合わせて臨機応変に文体を変えることが、山口氏流の「うまい文章」の秘訣ビジネス文章であれば、報告書など正確性が求められる文書では、技巧を凝らした文章より簡潔な文章のほうが「うまい」のです。

そこで、たとえば次のように、言葉のテイストを選びながら文章を書いてみてください。

  • 事実を述べることが目的の報告書では「顧客」とし、取引先に提案する企画書では「お客様」にする
  • インパクトを与えることが目的の宣伝文では「じつは」「驚がくの」など感情をあおる言葉を使い、報告書では具体的な数字のみを使う

前出の西岡氏も述べていたように、文章は目的に合わせて書くことが大事。文章の目的は、内容だけでなく文体にも大きく関わるということです。どんな文章でもまったく同じ書き方をするのではなく、表現を臨機応変に変えられるとよいでしょう。

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3.「緩やかな演繹法」で説得力を高める

ジャーナリストで「知の巨人」とも呼ばれる池上彰氏は、長年の経験をふまえ、緩やかな演繹法」という文章の組み立て方をすすめています。

演繹法と帰納法はご存じでしょうか? 演繹法は、一般的な前提をもとに具体的な事象を導く論法。対して帰納法は、具体的な事例から一般的な規則を導き出す論法です。

  • 演繹法の例
    「SDGsが注目されているから、環境に配慮したAという商品が売れる」
  • 帰納法の例
    「環境に配慮したA、B、Cなどの商品が売れているということは、いまSDGsが注目されている」

池上氏いわく、ビジネスで推奨されるのは帰納法。なぜなら、具体的な例をいくつも挙げて主張を導くので説得力があるためです。しかし、ビジネスパーソンはただ論じるだけが仕事なのではなく、綿密にひとつのテーマを検証する時間がないことも多いもの。そこで池上氏がすすめるのが、演繹法と帰納法をミックスした「緩やかな演繹法」です。その組み立て方は次の3ステップ。

  1. 仮説:書きたいテーマについて演繹法で仮説を立てる
    例「SDGsが注目されているから、環境に配慮したAという商品は売れるはずだ」
  2. 調査:調査をして、仮説が正しいか否かを帰納法で確かめる
    例「B、C、Dなどの、環境に配慮した商品の売れ行きを調べると、好調のようだ」
  3. 結論:仮説検証から結論を導き、文章に落とし込む
    例「B、C、Dなどの商品が売れているので、いまはSDGsが注目されているようです。そのため、同じように環境に配慮しているAも売れると見込まれます」

たとえば、取引先に対して説得力のある提案文章を作成したいときなど、まず仮説を立て、実際に調べてみて結論を導くと、文章は書きやすくなりますよ。この「緩やかな演繹法」という書き方、ぜひ試してみてください。

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4.「いまある知識だけ」で書く

もうひとりの「知の巨人」で、元外務省主任分析官の佐藤優氏。書籍や連載など膨大な量の執筆を続ける作家でもある佐藤氏は、書く力・考える力を鍛えるには、あるテーマについて自分の知識だけで書いてみるとよいと言います。

というのも、何も見ないで書き、なおかつ人からフィードバックをもらえば、自分の知識や考えの甘い部分が見えてくるからです。

たとえば、自分が担当している商品の紹介文や、部署が抱えている課題、携わっている分野の現状と今後の展望などといったテーマについてまとまった文章を書き、その内容に関する知識が豊富な人に読んでもらいましょう。すると、「自分が担当している商品なのに、意外と情報が頭に定着していなくて、自力で書けない部分があった」「そもそもこの切り口で調べたことがなかった」などといった点が浮き彫りになります。こうしてわかった弱点こそが、いま自分が身につけるべき知識だというわけです。

もちろん実際の仕事においては、データや資料などを参照して文章に落とし込むのが基本です。ですが佐藤氏いわく、このトレーニングはいわば自分に課す筆記試験。書く力と考える力をともに高めたい人は、ぜひ試してみてください。

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今回は4人のエリートの文章術を紹介しました。頭のいい人の考え方には、はっとするもの、うならされるものがあったのではないでしょうか。少しでもみなさんの書き方の参考になれば幸いです。

(参考)
東洋経済オンライン|東大生が教える「文章が苦手」が一瞬で治るコツ
THE21オンライン|「簡潔に、でもカラフルに」が伝わる文章のコツ
プレジデントオンライン|池上彰が新人時代に"文章力"を養った方法
東洋経済オンライン|"知の巨人"が「どんどん書く」ことを続ける理由

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
早稲田大学文化構想学部在籍。福岡県筑紫女学園高校出身。高校時代から文芸部に所属し、小説を書いている。現在大学では、文芸・ジャーナリズム論系に進むためテクスト論を中心に日々勉強中。

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