“天職” が見つかる自己分析法があった! 「好きなことを動詞で50個」書き出してみた結果

「好き」を動詞で50個書き出して天職を見つける01

ビジネスパーソンとしてキャリアを重ねているが、「天職」がまだ見つからない。そんな方におすすめなのは、マーケティング戦略を用いて自己分析をすることです。今回は、自分の本当の強みを知る方法を紹介し、実際に試してみた感想を伝えます。

天職が見つからないのはなぜ?

何か特別な才能や突き抜けて好きなことがある人ならば、すぐに天職を見つけられるのかもしれません。ですが、ごく普通の私たちにとって、自分に一番向いていて、自身の力を最も発揮できる仕事を見つけるのは、そう簡単ではないもの。それはいったいなぜなのでしょう。

1. やりたいことがたくさんあるから

講演家でキャリアコーチのエミリー・ワプニック氏によると、やりたいことがたくさんありすぎる人は、自身の天職について悩むことになります。実際に彼女自身も、かつてはそうだったのだとか。ある分野に興味をもち、ある程度まで取り組むものの途中で飽きてしまう。また次のことに興味をもっては、すぐに飽きる……。こういう人は、結局どれが天職なのかわからなくなってしまうのです。

2.「消費者として好きなもの」を仕事に結びつけているから

天職コンサルタントの梅田幸子氏は、消費者として好きなものを仕事にしようとしても、それが天職になるとは限らないと言います。というのも、消費者としての「好き」と、仕事としての「好き」には、大きな違いがあるから。たとえば、テレビを見るのが好きな人でも、テレビ番組をつくる側には立てないかもしれません。テレビ制作に必要な企画やリサーチ、編集といった仕事が自分に合わない可能性もあるからです。

3. 苦手なスキルを習得しようと頑張りすぎるから

梅田氏によると、苦手の克服に時間を費やしすぎることもよくないそうです。苦手なことを学ぶのは、好きなことを学ぶのに比べて時間がかかるもの。苦手なことに時間を費やしていると、好きなことに時間を割けなくなるため、自分の才能を磨けなくなるのだと梅田氏は言います。たとえば、デザインが苦手な人が時間をかけてデザインを学ぶより、もとから得意な文章力を磨いたほうがよい、というようなことです。

4. 過去の経験を無視できないから

「もったいないから」と、無理に過去の経験を活かそうとすることも、天職との出合いを阻みます。梅田氏いわく、たとえば「大学で○○を学んだのだから、それに関連する仕事を選ばないともったいない」というような考えは、私たちの将来を狭めることにつながるとのこと。

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「好き」を50個書き出すと天職が見つかる

では、どうすれば私たちは天職を知ることができるのでしょう。

企業のマーケティング支援を手がける株式会社刀代表取締役CEOの森岡毅氏は、企業のマーケティング戦略を、キャリア形成に不可欠な「自己マーケティング」にも活かすことができると考えました。そのカギは、「自分の強み」を把握し、それが活きる仕事を探ること。

それには、自分自身の個性・特徴を自己分析することが必要です。具体的なやり方は次の通り。

  1. 自分が「好きなこと」を「動詞」で50個書き出す
  2. 書き出した動詞を3つのパターンに分類する。
    T(Thinking):問題を解く、計算する、など
    C(Communication):人と会う、話をする、など
    L(Leadership):自分で物事を決める、人の世話をする、など
  3. T・C・Lに分類された動詞の個数を見て、自分に合った仕事を見極める。
    Tが多い人:思考力を活かせる仕事(研究職やコンサルタントなど)
    Cが多い人:対人能力を活かせる仕事(営業やPRなど)
    Lが多い人:持ち前の統率力を活かせる仕事(経営者や管理職など)

動詞を書き出す際は、自分が好きで、行動してうまくいったことを振り返るといいとのこと。こうして自分の個性がわかれば、強みもわかり、天職も見極められる、と森岡氏は言います。

森岡氏は、人間の性質を3つの同心円で定義しているそうです。中心の小さな円は「価値観(バリュー)」。そのまわりの円が「能力(コンピテンシー)」。そして最も外側の円は「職能(スキル)」です。森岡氏いわく、この自己分析によって明らかにするのは「コンピテンシー」の部分。転職すると使えなくなることもある「スキル」とは違い、「コンピテンシー」は転職しても使える人としての真の強みなのだそう。

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(図は編集部にて作成)

森岡氏が考える天職の見つけ方とは、まず自分の強み(コンピテンシー)を知ってから、それを最大限発揮できる企業(仕事)を選ぶこと。決して、入りたい企業から先に探すのではありません。自分のスキルが固まってしまう前に強みを見つけることができる方法だからこそ、若いうちに腰を据えてやるべき自己分析だと言えます。

好きなことを動詞で50個書き出してみた

筆者も天職を見つけるために、森岡氏がすすめる方法を試してみました。好きなことを動詞で50個書き出し、T・C・Lの3つのパターンに分類したのが、こちらです。

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50個の「好き」を書き出した感想

私の実践をもとに、この自己分析法をやってみようと思っているみなさんに向けて、いくつか提案をしたいと思います。

1. 50個もの動詞を書き出すコツ

実際にやってみると、50個もの動詞を書き出すのは少し難しく感じました。そこで実践したのが、好きな物事について、なぜそれが好きなのかを改めて考えることです。

たとえば、筆者は野球が好きですが、「野球」は名詞なので、このままだと書けません。そこで、野球のどの部分が好きなのかを考えてみました。観戦しているときに応援しているチームが勝つことも好きですし、打つことを期待したバッターが、期待通りに打つと嬉しく感じます。こう考えることで、「野球」という名詞から「勝つ」「予想する」というふたつの動詞をつくることができました。

好きなことを50個も書き出すことが難しい場合には、あるものを好きな理由を考えるのがおすすめですよ。

2. T・C・Lのうち複数に当てはまっても大丈夫

書いた50個の動詞をT・C・Lに分類したところ、TとCがほぼ同じ数になりました(T:18個、C:22個)。このことから、ひとりで思考を深めるのではなく、チームで思考力を活かせる仕事に就くことがよいのかもしれないとわかりました。

このように、T・C・Lのうち複数に当てはまる場合でも、それらの特性を複合すれば、自分なりの強みを見いだすことができるでしょう。

3. 短期的にも長期的にも効果的

森岡氏が言うように、この方法は若い人の転職や、新卒での就職活動時には特に有効な手段だと思われます。筆者自身、これまで就職活動などの場面で自己分析することは多くあったのですが、この方法で自己分析をしてみると、自分で見えていなかった強みがいくつか明らかになりとても有益でした。

加えて、10年、20年という長期的なスパンでキャリアを見つけたい方にも使えるやり方だと感じました。たとえば、まだ若い人にLの傾向が出たとしても、すぐさま統率力を発揮できる管理職などの仕事につくことは難しいですよね。そういう人は、若手にも裁量をわたすような企業を探せば、若くして統率力を発揮する経験を積むことができるかもしれません。その経験が、将来的に管理職などの仕事を得たとき、ほかの人以上にリーダーシップを発揮することにも活きてくるはずです。

4. コミュニケーションにも役立つ

この自己分析は、コミュニケーションにも役立つと思います。友人どうしや、初めて同じチームになったメンバーどうしなどで、お互いが書き出した「好き」を見せ合えば、仲良くなるための話題を見つけることができるでしょう。会話のなかで、自分の強みについての新たな気づきを得ることもあるはずです。そうなれば、よりいっそう効果的なのではないでしょうか。

***
50個の動詞を書き出すのに少し時間はかかりますが、それだけ得られる気づきも大きいはず。就職活動中の学生の方にも、天職について悩んでいるビジネスパーソンの方にも、この自己分析法はとても有益です。ぜひチャレンジしてみてください。

(参考)
TED|エミリー・ワプニック:天職が見つからない人がいるのはどうしてでしょう?
リクナビNEXTジャーナル|あなたも当てはまっていない?”天職難民”に共通する7つの特徴
ダイヤモンド・オンライン|森岡毅氏が全就活生に送る、「働くこととは、キャリアとは何か?」
プレジデントオンライン|「天職」のキャリアを導き出すただ1つの方法

【ライタープロフィール】
渡部泰弘
大阪桐蔭高校出身。テンプル大学で経済学を専攻。外出時は常にPodcastとradikoを愛用するヘビーリスナー。

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