科学的裏づけあり「集中力が勝手に上がる」4つの活動。脳神経外科医や集中の専門家が推奨!

脳科学が証明する、集中力が勝手に上がる4つの活動のイメージ

どんなに集中しようと思っていても、いつの間にかボンヤリとほかのことを考えていたり、関係ないことを始めていたり、同じことをグルグルと、進展しないまま続けていたりすることが多い。こんなダメな自分はすごく嫌だ。どうしたらいいんだろう……。

大丈夫ですよ。脳の仕組みを理解したうえで行動すれば、意外とスムーズに頭が切り替わり、集中できるようになるはずです。脳科学や環境工学に裏づけられた、集中力が勝手に上がる4つの活動を紹介しましょう。

1. “怠けたがる自分” を仲間にする

多くのオリンピック選手を指導してきた、脳神経外科医の林成之氏によると、脳には以下3つの根源的な本能があるそうです。これらに逆らうと、脳のパフォーマンスは急激に落ちてしまうのだとか。

脳の根源的な3つの本能のイメージ
  • 生きたい
  • 知りたい
  • 仲間になりたい

そのため、たとえばスポーツなどで「敵に勝とう」と思った瞬間に、人間の能力にはブレーキがかかってしまうとのこと。「敵に勝とう」と考えることは、脳の「仲間になりたい」という根源的な本能に反しているからです。

そのため林氏は、オリンピックの選手ら(2008年北京オリンピック競泳日本代表チーム)に、“ライバルは敵視せず、自分を高める仲間だと思う” ようアドバイスしたとのこと。

それなら、“怠けたがる自分” のことも、「集中力が途切れたよ」と頭の切り替えどき・やめどきを教えてくれる、仲間だと思えばいいのです。“怠けたがる自分” を敵だと考え、脳の本能に逆らったうえ、集中力が途切れたまま不毛な時間を過ごしたり、「怠け心に負けた」などと自己嫌悪に陥ったりしていても、何もいいことはもありません。

集中できなくなったときは “怠けたがる自分” に「ありがとう」と告げ、いったん席を立ちリフレッシュしたほうが、集中力を取り戻せる確率は断然高くなるはずです。

2. 室内のCO2濃度を集中レベルにする

では、“怠けたがる自分” が「集中力が途切れたよ」と教えてくれたら、いったい何をすればいいでしょう? たとえば軽いストレッチでカラダをほぐす、外を散歩して気分を変える、いったん違うタスクに切り替えるなど、いろいろありますが、立ち上がって窓を開けるだけでも非常に効果的です。

集中力を測定できるメガネ型デバイス「JINS MEME」や、ひとりで深く考えるためのソロワーキングスペース「Think Lab」の開発で知られる井上一鷹氏らが行なった実験によれば、室内のCO2(二酸化炭素)濃度は低いほうが集中しやすいそうです。井上氏いわく、室内のCO2濃度は800ppm(空気全体の0.08%)以下が望ましく、1,000ppmを超えると集中が途切れてしまうとのこと。

森と木に関わるスペシャリストを育成する専門学校「岐阜県立森林文化アカデミー」の資料を参考にすると、より詳しい段階がわかります(数値は室内のCO2濃度)。

室内のCO2濃度が人に及ぼす影響を段階的に示した図
  • 350~450ppmは外気レベル
  • 450~700ppmは健康的な室内レベル
  • 700~1,000ppmは許容できるレベル
  • 1,000~2,500ppmは眠気が誘われるレベル
  • 2,500~5,000ppmは健康に害を及ぼすレベル
  • 5,000ppm以上は危険なレベル

(※上の図は、岐阜県立森林文化アカデミー|二酸化炭素濃度はどのくらい?(morinos建築秘話60)内の資料をもとに作成)

とはいえ誰もが簡単にCO2濃度を測ることはできないので、井上氏は「数時間に1回、窓を開けることで、低いCO2濃度を保てる」とアドバイスしています。

ちなみに、工学者で一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター理事長でもある村上周三氏らが、20~40代の社会人を対象に行なった実験では、換気量の少ない部屋でテスト(論理系・暗記系)を受けたグループよりも、換気量の多い部屋でテストを受けたグループのほうが、5~9%も成績がよかったそうです(2007年の資料『教室の環境と学習効率』より)。

“怠けてしまう自分” が「集中力が途切れたよ」と教えてくれたら、とりあえず立ち上がって窓を開けるなど、換気に注意を向けるのが得策ですね。

3. 呼吸で脳内のCO2濃度を操作

もしくは、ただ “ゆっくりと呼吸” するしてみるのも大いに効果的です。医学博士の加藤俊徳氏が代表を務める「脳の学校」によると、人間を含む動物には、こんなメカニズムがあるのだとか。

呼吸数を減らした(ゆっくりと呼吸した)際のメカニズム
  • 呼吸数を “減らす” と、肺のCO2濃度が増える⇒
  • それに伴い脳内のCO2も増える⇒
  • すると、脳の血管が開き、血流が増える⇒
  • 結果、脳に新鮮な血液が(酸素や栄養と共に)上がっていく

一方で、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター副センター長・瀧靖之氏監修の、「朝日新聞Reライフネット」内の記事には、“脳が活発に働くと酸素が消費されるため、それを補うべく脳の血流量が増える” とあります。(血流量が増えて)脳がより活発に働くことでネットワークが広がり、情報伝達の効率化が進み、脳本来の記憶力や集中力といった能力を発揮できるようになるとのこと。

これらをふまえると、意図的にゆっくりとした呼吸を行ない(呼吸数を減らし)、脳内のCO2濃度を操作することで、脳の血流量が増え、集中しやすい状態になると言えるわけです。

(※血液には「酸素や栄養」をカラダ全体に送り届けることと、「いらなくなった二酸化炭素や古くなった細胞」を運び出す役割がある――「札幌市青少年科学館」より)

4. 不要な “脳の自動起動” を防ぐ

また、前出の井上氏によると、目の前の集中すべき対象以外に、置きっぱなしの書類やToDoリスト、カレンダーといった “ほかの情報” が見えてしまうと、私たちの集中力は簡単に奪われてしまうそうです。それらが視界に入ると、“常にそれらを考えておかなければならない状態” になってしまうからです。

たしかにカレンダーを見ると、「あ、この日は〇〇しなきゃ」とほかのタスクに意識が向いたり、ToDoリストが目に入ると「あ、そういえば〇〇はどうしたかな」などと、あとで行なうはずのタスクが意識に入り込んできたり、置きっぱなしの書類があれば、ついつい手に取ったりしてしまいますよね。

いま要らないものを隠すことは、目の前のことに集中するための、最も簡単な方法かもしれません。

カレンダーを見えない場所に置くイメージ
  • いま必要ない書類は片づける
  • ToDoリストは必要なときだけ取り出して確認できるようにする
  • カレンダーは知的作業場所から見えないところに貼る・置く

ちなみに医学博士・心療内科医師の吉田たかよし氏によれば、机の上にスマートフォンを置いているだけで、脳のパフォーマンスは10%以上も低下するそうです。脳が無意識のうちに、“スマートフォンを使う準備” を始めるからなのだとか(吉田氏著『脳科学と医学からの裏づけ! スマホ勉強革命』より)。

目の前のタスク以外のものを視界に入れない配慮は、脳が不要なことに自動起動してしまうのを防ぐためなのですね。

***
集中力が勝手に上がる4つの活動を紹介しました。“当たり前のこと” ばかりですが、なぜこの行動が役立つのか理解・納得してからのほうが、よりよく行なえるはずです。ぜひ、集中したいときのヒントにしてみてください。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|集中の超プロが「見えるところにカレンダーを貼ってはいけない」と教えるワケ
ダイヤモンド・オンライン|集中の超プロが「集中が途切れたら窓を開けよう」とすすめるワケ
ダ・ヴィンチWeb|スマホが傍にあるだけで脳のパフォーマンスは1割以上低下! 受験前にスマホを味方に付けるには?
PRESIDENT Online|部屋の換気をしないと頭が悪くなる科学的証拠 オフィスなら1時間に2回換気が必要
岐阜県立森林文化アカデミー|二酸化炭素濃度はどのくらい?(morinos建築秘話60)
朝日新聞Reライフネット|脳活性化とは? 専門家が簡単にできる脳活とポイントを解説
PRESIDENT Online|脳科学理論が解説 「集中力」が増す3つの仕掛け
脳の学校|第213号 疲れた脳を接待する呼吸法
札幌市青少年科学館|血液の流れるしくみは?

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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