計画的に勉強できない人がしがちな「3つのNG」。“計画性がない” のは性格の問題ではなかった!

計画的に勉強できない人が見落としている3つのこと01

「資格試験に向けて勉強を始めても、いつも計画倒れになってしまう」
「最初に計画を立ててはみるが、つい先延ばしをしてしまって、そのとおりに行動できない」

このような悩みに直面し、“どうせ自分はだらしのない、計画性のない人間だから” と諦めていませんか? じつは、計画的に勉強できないのは、必ずしも性格のせいではないのです。

今回の記事では、計画的に勉強できない人がやりがちな「3個のNG」を指摘しながら、改善策もお伝えします。

NG1. 計画に盛り込むタスクが「大きくて曖昧」である

「一応、勉強の計画は立てている。でも、自分には “先延ばし癖” があるから、なかなか計画のとおりにいかない……」

そんな人が計画的に勉強を進めていけないのには、理由があります。

習慣化コンサルタントの古川武士氏によれば、先延ばしが生まれるのは「やるべきタスクが大きくて曖昧だ」と感じるせいなのだそう。

「今日は英語をやろう」といった計画はその一例。漠然としすぎていて、どこから手をつければいいのか、どれくらいの時間をかけて取り組めばいいのかがわかりません。そのため、「勉強するのが面倒くさいな」と、先延ばしの感情を生み出してしまうと言うのです。

この問題に対する改善策はシンプルで、タスクを「小さくて明白」なものにすればいいと、古川氏。大きなタスクを、小さなタスクへと分解していくのです。上の例で言うと……

英語の勉強をする
→リスニングの勉強をする
→リスニングの問題集を4ページ解く

こうして分解していけば、「これくらいなら15分あればできそうだな」といった目安が立ちますし、着手する心理的ハードルが下がります。大きくて曖昧なタスクに比べ、格段に行動に移りやすくなりますよね。

なお、日本ブレインアップジム代表の椋木修三氏によれば、数値を入れることもポイントだそう。

「1か月以内に基本的な英文法を習得する」「朝の15分で問題集2ページ解く」など、数字を入れることでタスクがより具体的になります。大きなタスクを分解するときに、試してみてください。

計画的に勉強できない人が見落としている3つのこと02

 

NG2.「年間計画」を立てていない

「勉強の計画は、その日にやることだけ決めればいい」と考えていませんか? そんな行き当たりばったりの計画では、あとで困ることになりかねません。全体像を見ないのは、計画性に欠けてしまう原因なのです。

前出の椋木氏は、計画のなかでも特に 「年間計画を綿密に立てる」ことが重要だと説きます。その理由は、月間・週間の計画を適切に立てるのに必要なため。逆に、年間計画が曖昧で、月間・週間の計画も “なんとなく” でしか立てないと、途中で挫折しやすいのだそう。

たとえば、1年後に簿記2級の試験を受けるとしましょう。

単に「1年後の試験に向けて、全範囲勉強する」という計画では、あまりに曖昧で、どれくらいのペースで進めれば全範囲終えられるのかわかりませんよね。このままでは、途中で勉強の意欲を失ったり、試験前に慌てて内容を詰め込んだり……といったことを招いてしまいます。

そうではなく、1年という大きな単位で眺めたうえで、中期(月間)・短期(週間)の目標を明確化すれば、最終地点までの道のりが描け、着実に勉強を進められます。一例がこちらです。

  • 1年の計画→商業簿記と工業簿記のテキストを10か月でマスターする。残りの2か月は過去問を解く。
  • 1か月の計画→テキスト100ページを5か月で3周する。1か月60ページ進める。
  • 1週間の計画→1週間につき、15ページ進める。

このように「年間→月間→週間」と段階的に計画を立てれば、「いつまでに何をどのくらいやるか」が一目瞭然になります。これはすなわち、前述の「数値をともなう小さくて明白なタスク」を決めることにも通じてくるはず。

また、進めるうちに「1週間で15ページは余裕だから、少し増やしてもよさそう」「テキストをもう1周しようかな」と計画の修正点に気づき、調整を図ることも可能。

計画的に勉強できないことを性格のせいにして嘆くより、学習内容の全体像を俯瞰し、年間計画を立てることを始めてはいかがでしょうか。

計画的に勉強できない人が見落としている3つのこと03

NG3.「初期計画の見直し」をしていない

「資格をとろう! と決めた日に、勉強の計画を立てた。でも結局、計画どおりに進められずじまい。自分はなんてダメなんだ……」

こうなってしまうのも、じつは “間違った計画” のせい。

税理士・資格講師である石川和男氏によれば、「計画を立てているとき」が一番気分が高揚しているのだそう。もちろん、その高いモチベーションを維持できれば、順調に勉強計画を達成できます。

しかし実際のところ、モチベーションは次第に下がっていくもの。このことを頭に入れずに計画を立てると、「やる気はあるからできるはず!」と思い込んであれこれ詰め込みがちに。その結果、計画を達成できず消化不良のままとなり、「計画通りにいかなかった」という罪悪感だけが残ってしまうと言うのです。

また、アドラー心理学カウンセリング指導者の岩井俊憲氏によれば、「目標が高すぎる」場合に、やる気はくじけるのだそう。実現が難しい勉強計画を立てた場合、初めの頃は「達成できる!」と信じていても、仕事が繁忙期になったり、体調を崩したりしてしまえば、次第に計画へのハードルの高さを感じるようになるもの。その結果、挫折してしまうのです。

上記のような挫折を防ぐには、勉強の初期計画を見直すことが必要です。石川氏が提案するのは、計画を立てたら「20%カット」すること。石川氏の経験則に照らすと、最初の計画から20%削除すれば、“どうにか達成できる” くらいのちょうどいい計画になるそうです。

たとえば、以下のとおり。

  • 1か月で問題集を100問解く → 80問に減らす
  • 1日に単語を50個覚える → 40個に減らす

「それでも達成できなかったら?」と思う人もいるでしょう。石川氏は、「何度でも計画を修正すればいい」と述べます。

“初めの計画どおりに進めなくてはいけない”——この考えに縛られず、達成できなければ何度も修正を繰り返し、自分がこなせる量で計画を立て直すこと。これが、計画的に勉強を進めていく秘訣なのですね。

***
“計画的に勉強できない” のは、あなたの性格に問題があるからではありません。ちょっとしたコツを知らなかっただけ。

今回の記事を参考に、自分の思うとおりに勉強を進めていってくださいね。

(参考)
STUDY HACKER|「先延ばし癖」どうすれば解消できるのか? “すぐやる” ための『3つの習慣』
DIAMOND online|合否の9割は「勉強計画」で決まると断言できる理由
リクナビNEXTジャーナル|資格を取る!と決めたら、こう計画せよー「資格の大原」講師が熱弁
PRESIDENT online|アドラー心理学で解明「やる気」の出し方

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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