「また先延ばしにしてしまった……」
「やらなきゃいけないことを忘れていた……」
「あれもこれも終わっていないよ……」

わたしたちの日常生活には、部屋の片づけ、仕事のミスの報告、資料作成、経費精算、英語や資格の勉強、メールの返信など、先延ばしにしたいことがたくさんあります。先延ばしは、ある意味では「習慣」と言えます。仕事でもプライベートでも先延ばしばかり……。結果として、TODOが溜まるほどエネルギーは奪われていき、どんどん悪循環に入っていきます。どうすれば解消できるのでしょうか?

連載『人生が変わる「習慣化」』の第3回は、先延ばしをなくすための思考習慣についてです。

なぜ人は先延ばしをするのか?

わたしたちの脳は「生存を維持する」という大切なミッションを持っているため、「安全・安心・安定」を追求し、「危険・不安・変化」を避けようとします

先延ばしも習慣のひとつと言えるもので、「危険・不安・変化」を察知したときに、脳が行動に歯止めをかけた結果なのです。「危険・不安・変化」は心理的な負荷がかかり、ストレスを抱えている状態なので、脳にとってこの状態を強く感じ続けることは好ましくありません。だからこそ、心理的な負荷を避けるために先延ばしをするという選択を取るのです。


そこで今回は、先延ばしを防止するために身につけるべき3つの習慣をご紹介しましょう。この3つの習慣で、先延ばしの8割はなくなるとわたしは見ています。

英語を読むスピードを上げるためにプロトレーナーが取った戦略は「音読」だった。科学的理論に基づくパーソナルトレーニング体験談。
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すぐやる習慣1——骨太な理由をつくる

「骨太な理由」とは、行動するための強力な理由のことです。人は、「なんのために」という理由ができれば行動する生きものです。

切り口として、「危機感」「快感」「期待感」という3つのキーワードで考えてみるのがコツになります。


「危機感」(このままではマズイ)
たとえば、上司へのミスの報告を例にすると、「いますぐに報告しないと、あとでさらに大目玉を食らう」といったデメリットを回避したいから、いま報告しておこうという心の動きです。持続性はありませんが、危機感は強力な理由になります。


「快感」(うれしいことがたくさん)
たとえば、片づけができると「気持ちがスッキリする」といったことです。この快感は危機感と異なり、継続的な理由になり得るものです。


「期待感」(人生と将来に意味がある!)
快感が目先のメリットであるのに対して、期待感は長期的なメリットを意味します。資格の勉強などを行動し続けることで、半年後、1年後、3年後にどんな効果や良いことが起きるのか、想像を膨らませていくことです。

すぐやる習慣2——チャンクダウンする

「曖昧さ、複雑さ、予測不能さ」は、恐怖・不安といった感情を高めて、行動を阻むものです。そこで有効な思考習慣が、「チャンクダウン」なのです。チャンクダウンとは、ものごとを「具体化」「明確化」するということ

チャンクダウンにより、行動の「明確さ、単純さ、見える化」が実現することで、心理的な負荷が一気に下がります。


チャンクダウンのコツは、「ひとくちサイズまで行動を小さくする」ことに尽きるでしょう。一見複雑に見える作業も、具体化して5分単位の小さなタスクに分解していけば、行動することへの心理的な負荷は下がっていきます

すぐやる習慣3——ベビーステップではじめる

ベビーステップとは、「赤ちゃんの一歩ではじめる」ということです。人は止まっているときがいちばん気が重く、先延ばしにする理由を考えます。しかし、一歩でも進みはじめれば心理的負荷は下がり、意欲が高まり、行動する理由を考えるようになる

このベビーステップではじめるという習慣は、あらゆる先延ばしを一気に解消する強力な解決策になります。

事例から学んでみよう! 「面倒くさがり屋のAさん」の事例

では、具体的に面倒くさがり屋のAさんのケースにあてはめて考えて見ましょう。


Aさんは、「面倒くさい」ことをいつもあとまわしにするタイプ。仕事でも、交通費精算や週報などをギリギリまで先延ばしにするため、いつもバタバタしています。「焦りと不安を常に感じている生活から抜け出したい」と思うものの、「面倒な作業だな」と思うと、どうしても現実逃避をして先延ばしにしてしまいます。

交通費清算や週報は、面倒だからと先延ばしをして1週間ためると、余計に面倒になります。なぜなら、時間が経つと過去の記憶を掘り起こすのに思考エネルギーを使うからです。それこそ週報などは、1週間の出来事や訪問履歴などを思い出す思考の負担がかかるため、面倒だと感じがちなのです。

そこで、チャンクダウンです

作業を小さなステップにわけて思い出すエネルギーを無くすことを習慣にするといいでしょう。たとえば、週報をつくるということを小さなタスクに分解するのです。毎日の出来事をまずは簡単に手帳に書いておく、次にその手帳を見ながら隙間時間に出来事の報告ポイントを箇条書きで入力しておく、そして、週末に文章にして纏めるといった具合です。料理と同じで、仕込み作業を少しでも進めておくと、随分と作業の負担は軽減することでしょう。

ベビーステップ(小さな一歩)で踏み出してみてもいいと思います

小さな一歩とは、移動時間などに手帳に1ラインだけでもメモするというようなことです。ちょっとした空き時間に、1行だけ書くなどその場でやってみるのです。

最後に、骨太な理由を考えてみてください

それは、精神的な快適さを得られる。もしくは、不安や焦り、気の重たさから解放されるということではないでしょうか。先延ばしにすると余計に負担が大きくなるので、毎週やらなければならないような作業こそ、すぐやる習慣を心掛けて工夫する必要があります。


Aさんは、チャンクダウンやベビーステップにより、交通費精算や週報への苦手意識を軽減でき、週末の気の重たさから解放されました。

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以上が「すぐやる習慣」の3つのスキルです。ぜひ、あなたの「先延ばし習慣」にあてはめてチャレンジしてみてください。
【今回の習慣化ルール】
先延ばしをしない「すぐやる3つの習慣」はこれ!
・骨太な理由(なんのために)をつくる
・チャンクダウン(ものごとを具体化、明確化)する
・ベビーステップ(一歩を踏み出す)ではじめてみる

連載『人生が変わる「習慣化」』記事一覧はこちら↓

30日で人生を変える「続ける」習慣

古川武士

日本実業出版社(2010)